【四間飛車 vs 急戦】山田定跡の基本手順と将棋ソフト「技巧」による解析結果(6)

山田定跡(対四間飛車急戦)

四間飛車の定跡を将棋ソフト「技巧」を使って研究しています。

前回の続きで、対四間飛車の急戦定跡として有名な山田定跡の△1二香型です。前回は前半の3つの変化手順について検討したので、今回は残りの3つの変化手順と、定跡の結果図からの変化を調べています。

<山田定跡の記事>
山田定跡の△5四歩型△6四歩型(1)△6四歩型(2)△6四歩型(3)△1二香型(前回)

四間飛車:山田定跡(△1二香型)の基本手順

山田定跡の(△1二香型)の基本手順の部分は前回の記事と全く同じです。

初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲6八玉△9四歩▲9六歩△7二銀▲7八玉△3二銀▲5八金右△6二玉▲5六歩△7一玉▲6八銀△5二金左▲2五歩△3三角▲3六歩△8二玉▲5七銀左△1二香(図1)が対四間飛車(△1二香型)の急戦の基本図です。

対四間飛車急戦(△1二香型)の基本図

基本図から▲3五歩(図2)と仕掛けるのが山田定跡の仕掛けです。図2での将棋ソフト「技巧」の評価値は74で、形勢判断はほぼ互角です。

山田定跡の仕掛け

図2から△3五同歩▲4六銀△3六歩▲3五銀△4五歩▲3三角成△同銀▲2四歩△同歩▲同銀(図3)が山田定跡の基本手順です。図3は山田定跡の分岐点で、①△3四銀、②△4四銀、③△2四同銀などの変化がありますが、定跡の本手順は①△3四銀です。

山田定跡の分岐点

図3から△3四銀▲3五歩△4三銀▲2三銀不成△4四角▲5五角△同角▲同歩△4四角▲7七角△3五角▲3八飛△4六歩▲3六飛△3四歩(図4)までが山田定跡の定跡手順です。図4の技巧の評価値は224で、先手やや優勢となります。

山田定跡の結果図

上記の山田定跡の基本手順は「四間飛車の急所2(藤井猛著)」を参考にしています。図4は形勢不明ながら、先手の居飛車が不満というのがプロ棋士の評価です。


四間飛車の急所2 急戦大全(上)(藤井猛著)

将棋ソフト「技巧」による山田定跡の解析

四間飛車(山田定跡)のソフト解析結果

山田定跡と将棋ソフト「技巧」の読み筋が、図2の仕掛け以降で異なるのは、

①7手目▲3三角成(技巧の推奨手は▲5五歩。以下括弧内が技巧の読み筋)
②9手目▲2四歩(▲2六飛)
③12手目△3四銀(△同銀)
④16手目△4四角(△6四角)
⑤22手目△3五角(△1四歩)
⑥24手目△4六歩(△2八歩)

の計6手です。

前回の記事では前半の①~③の変化について研究しました。今回の記事では後半の④~⑥の変化と、山田定跡の結果図(図4)以下の手順を研究します。

④16手目△6四角の変化

山田定跡の変化図1

④16手目△6四角(変化図1)以下、▲5五角△同角が将棋ソフト「技巧」の推奨手順で、山田定跡の基本手順と合流します。角を打つ場所が4四でも6四でも、▲5五角と合わせて交換になれば同じことです。

⑤22手目△1四歩の変化

山田定跡の変化図2

⑤22手目△1四歩(変化図2)以下、▲2六飛△6四歩▲3六飛△2八歩▲3七桂△2九歩成▲2二歩△1三桂▲2一歩成(変化図3)が将棋ソフト「技巧」の推奨手順の一例です。

変化図3の評価値は254で先手がやや優勢です。互いに「と金」を作る変化で、玉の堅さは四間飛車の美濃囲いが勝りますが、駒の働きは先手がかなり良さそうです。

山田定跡の変化図3

⑥24手目△2八歩の変化

山田定跡の変化図4

⑥24手目△2八歩(変化図4)以下、▲同飛△2六歩▲3八飛△2七歩成▲3六飛△3四歩▲2二歩△2六と▲3九飛△3三桂(変化図5)が将棋ソフト「技巧」の推奨手順の一例です。

変化図5の評価値は97でほぼ互角です。後手の「と金」が大きそうですが、先手には▲3五飛△同歩▲3四歩の攻め筋があります。

山田定跡の変化図5

山田定跡の基本手順の結果図である図4からの変化

山田定跡の結果図

図4から▲3七桂△2八歩▲3三桂△同桂▲4六歩△2九歩成▲5四歩△4四角▲3四銀成△同銀▲同飛△7七角成▲同桂△3二歩(変化図6)が将棋ソフト「技巧」の推奨手順です。

変化図6の評価値は151で、ほぼ互角~先手がやや指しやすいです。「形勢不明ながら、先手の居飛車が不満」という図4のプロ棋士の見解と矛盾しないです。

山田定跡の変化図6

まとめると、④16手目△6四角は基本手順に合流します。

⑤22手目△1四歩は疑問手で、先手やや優勢になります。

⑥24手目△2八歩は後手の四間飛車の変化として有力で、ほぼ互角になります。

山田定跡の基本手順だと、ほぼ互角~先手がやや指しやすくなります。ただし、先手の居飛車が不満というのがプロ棋士の見解です。

山田定跡(△1二香型)のまとめ

前回の記事と合わせて、四間飛車の△1二香型に対する山田定跡の仕掛けをまとめます。

図2の仕掛けから、基本手順でそのまま図4まで進んでも形勢は難解です。さらに、先手の居飛車と後手の四間飛車の両方に変化の余地があり、互角に近い分かれが多くなります。

居飛車は、①7手目▲5五歩、②9手目▲2六飛が有力で、いずれも形勢は難解です。

四間飛車は、③12手目△同銀、⑥24手目△2八歩が有力で、いずれもほぼ互角となります。

先手の居飛車が明確に良くなる順がなく、玉も薄くて実戦的に勝ちづらそうなので、居飛車が不満というプロ棋士の見解もうなずけます。


四間飛車の急所2 急戦大全(上)(藤井猛著)