将棋戦法大事典の居飛車編です。
居飛車の戦法や定跡を分類をしています。
振り飛車編、対振り飛車編、相振り飛車編もあります。
まだまだ大事典と呼べるほどではありませんが、少しずつ戦法を増やしていきます。
棋譜を整理しているだけもページも多いのですが、少しずつ中身を充実させたいです。
このページの目次
相矢倉
急戦矢倉
角換わり
一手損角換わり
横歩取り
相掛かり
その他の居飛車の戦法
戦法の分類など
(A):基本
(B):頻出 or 最新流行形
(C):有力 or 過去の流行形
(D):ややマニアック
(E):マニアック
A~Eの分類はじゅげむの主観です。適当です。
A~Eのアルファベットの右の数字は分類した棋譜の数です。
公式サイトに棋譜が掲載されているタイトル戦、叡王戦、NHK杯の棋譜が中心です。
タイトル戦の整理は今のところ2014年王位戦まで。
表記の例:王位戦②2014木村vs羽生
→2014年の王位戦七番勝負第2局▲木村vs△羽生(丸付きの数字はタイトル戦、左が先手)
棋聖戦五番勝負の2010~2016年までの棋譜を分類済(棋聖戦公式サイトの棋譜へのリンク)
相矢倉の戦法
相矢倉(A18)
相矢倉・▲3七銀戦法(▲4六銀▲3七桂型)(C6)(王位戦②2014木村vs羽生)
相矢倉・▲3七銀戦法 vs △4五歩反発(C3)(日本シリーズ決勝2014羽生vs渡辺)
相矢倉・加藤流(C5)
相矢倉・脇システム(C2)
相矢倉・森下システム(C1)
相矢倉・早囲い(B13)
相矢倉・相早囲い(D1)
相矢倉・▲3五歩戦法(C1)
相矢倉・雀刺し(C)
相矢倉・一手得後手番作戦(D2)
相矢倉・相飛車先保留型(D1)
無理矢理矢倉(D2)
相矢倉は居飛車の戦法の中で、最も基本的かつ本格的な戦法です。
プロ将棋界で昔からよく指されている伝統的な戦法で「矢倉は将棋の純文学」と言われます。
互いにがっちりと矢倉囲いを組み合う持久戦調の将棋です。
急戦調の将棋では矢倉以外の囲いで戦う場合も多く、急戦矢倉の戦法として分類しています。
急戦矢倉の戦法
急戦矢倉(A)
矢倉中飛車(C)
右四間飛車(C)
中原流急戦矢倉(C1)
△5三銀右急戦(C)
△5三銀右急戦・△5三銀保留型(D2)(王座戦2016豊島vs阿久津)
居角左美濃(B6)
居角左美濃 vs 5手目▲7七銀型(D1)(叡王戦2016羽生vs屋敷)
屋敷流忍者銀(D)
急戦矢倉の未分類の棋譜(1)
急戦矢倉は、矢倉模様の出だしから急戦を仕掛ける戦法です。
後手番でも主導権を握って積極的に動けることが大きな魅力です。
相矢倉の序盤戦で隙を見せると、急戦矢倉に誘導される場合も多いので要注意です。
急戦調の将棋では序盤の一手の価値が高くなります。
最近、プロ将棋界で再燃している問題の一つに「矢倉の5手目問題」というものがあります。
矢倉の5手目を▲7七銀と▲6六歩のどちらにするかという問題です。序盤のたった一手の違いですが、急戦矢倉では▲7七銀と▲6六歩の違いで、後手が選べる戦法が異なります。
近年は長い間、5手目▲6六歩が最善と考えられてきました。
しかし、最近流行している居角左美濃の影響で、▲7七銀を選ぶプロ棋士が増えています。
このことは、他の急戦矢倉の戦法にも大きな影響を与えることが予想されます。
角換わりの戦法
角換わりは、序盤に角交換して互いに角を持ち合う戦法です。
角を持ち駒にした強力な攻めが持ち味の将棋です。
プロ将棋界では角換わり腰掛け銀が主流で、タイトル戦でも頻繁に指されています。
角換わり腰掛け銀では、戦いが始まってから一気に終盤戦に突入する展開が多いです。
木村定跡や富岡流など、詰みまで結論が出されている非常に洗練された定跡もあります。
仕掛けるまでの駒組みの駆け引きが緻密で、細かな形の違いが綿密に研究されています。
角換わり(A)
角換わり腰掛け銀(B)
角換わり腰掛け銀同型(C)
角換わり腰掛け銀同型・木村定跡(C)
角換わり腰掛け銀同型・升田定跡(C)
角換わり腰掛け銀同型・富岡流(C)
角換わり腰掛け銀・ツツカナ新手(C1)(NHK杯2016船江vs近藤誠)
角換わり腰掛け銀・△5二金保留型(D1)
角換わり腰掛け銀・▲4八飛型(C4)
角換わり腰掛け銀・▲4八飛型 vs △7三歩型(C1)
角換わり腰掛け銀・▲4八金型(C)
角換わり腰掛け銀・▲4七金型(C1)
角換わり腰掛け銀・4筋位取り型(C3)
角換わり腰掛け銀・1筋位取り型(C1)
角換わり腰掛け銀・△9四歩省略(B)
角換わり腰掛け銀・△6二金型(C1)
角換わり腰掛け銀・△6三金型
角換わり腰掛け銀・△4二玉△6二金型(D2)
角換わり腰掛け銀・△6五歩△7三歩型(C2)
角換わりでは、右銀の使い方で大きく戦型が変わります。
プロで主流の腰掛け銀の他に、棒銀、早繰り銀を加えた3種類が代表的です。
棒銀は腰掛け銀に強く、腰掛け銀は早繰り銀に強く、早繰り銀は棒銀に強い、
(棒銀 > 腰掛け銀 > 早繰り銀 > 棒銀・・・)という三すくみの関係が有名です。
しかし、必ずしも絶対的なものではなく、プロ棋戦でもたまに新工夫が試されています。
角換わり:先手腰掛け銀 vs 後手棒銀(C2)
角換わり:先手棒銀 vs 後手腰掛け銀(C1)
角換わり:先手早繰り銀 vs 後手腰掛け銀(C1)
まれに、従来の常識にとらわれない角換わりの戦型が出現することがあります。
たとえば、5筋の歩を突く形や、先後の片方のみ飛車先の歩交換をする形です。
角換わり・2筋歩交換型(E2)
一手損角換わりの戦法
一手損角換わり(A9)
一手損角換わり・相腰掛け銀(C1)
一手損角換わり・相早繰り銀(B3)
一手損角換わり・腰掛け銀 vs 早繰り銀(C1)
一手損角換わり・早繰り銀 vs 腰掛け銀(C)
一手損角換わり・早繰り銀 vs 四間飛車(C1)
一手損角換わり・早繰り銀 vs その他の対策
一手損角換わり・棒銀 vs 腰掛け銀(C2)
一手損角換わり・棒銀 vs 右玉(B2)
一手損角換わり・棒銀 vs 四間飛車(C1)
一手損角換わり・右玉 vs 腰掛け銀(C1)
一手損角換わり・▲4五桂速攻 vs 腰掛け銀(C)
一手損角換わり(先手番)(D)
一手損角換わりは、後手番が一手損して角交換するタイプの角換わりです。
普通の角換わりでは相腰掛け銀が圧倒的に主流となっていますが、
一手損角換わりでは棒銀、早繰り銀、右玉などの、相腰掛け銀以外の形が頻繁に現れます。
現在のプロ将棋界では、スペシャリスト寄りの戦法として考えられています。
B(頻出 or 最新流行形)かC(有力 or 過去の流行形)の分類は、
丸山忠久さんや糸谷哲郎さんなどのスペシャリストの採用を参考にしています。
横歩取りの戦法
横歩取り(A)
横歩取り△2三歩型(C)
横歩取り△2三歩型・飛車切り定跡(▲3二飛成△同銀型)(C)
横歩取り△2三歩型・▲3二飛成△同飛型(D2)
横歩取り△2三歩型・飛車角交換定跡(C)
横歩取り△3三角戦法(B)
横歩取り△3三角戦法・△7二銀型(B13)
横歩取り△3三角戦法・△7二銀型ひねり飛車(B)
横歩取り△3三角戦法・松尾流(C)
横歩取り△3三角戦法 vs 青野流(C)
横歩取り△3三角戦法 vs ▲4八銀型(C2)
横歩取り△3三角戦法 vs ▲6八玉型(C1)
横歩取り△3三角戦法 vs ひねり飛車模様▲9六歩(D1)
横歩取り△8五飛戦法(C5)
横歩取り△8五飛戦法・相中原囲い(C2)
横歩取り△8五飛戦法・△6二玉型(C1)
横歩取り△8五飛戦法 vs 新山崎流(C1)
横歩取り△3三桂戦法(C)
横歩取り△4五角戦法(C)
相横歩取り(C)
相横歩取り▲7七桂型(C1)
相横歩取り超急戦(C)
横歩取らせ▲2八飛(C1)
横歩取り回避策▲5八玉(C)
横歩取り回避策▲7八金保留(E)
横歩取りは後手番でも戦法の選択権があり、主導権を握りやすい戦型です。
低い陣形で飛車角の大駒が乱舞する将棋になりやすいです。
序盤から超急戦や大乱戦などの激しい変化が多いので注意が必要な戦法です。
相掛かり戦法の一つのバリエーションとして分類されることもあります。
相掛かりの戦法
相掛かりは、序盤で互いに飛車先の歩交換をする相居飛車の戦法です。
飛車の位置、角交換の有無、玉の囲い方など、陣形や戦い方の自由度が高い将棋です。
自由度の高さから力戦調になりやすく、序盤の構想力が問われます。
居玉の急戦からがっちり組み合う持久戦まで、非常に幅広い戦い方がある戦法です。
相掛かり(A)
相掛かり▲2八飛型棒銀(引き飛車棒銀)(B)
相掛かり▲2八飛型棒銀 vs △8二飛型(C1)(王将戦③2016郷田vs羽生)
相掛かり▲2八飛型棒銀 vs △8四飛型(B3)
相掛かり▲2八飛型棒銀 vs △8四飛型中原囲い(C)
相掛かり▲2八飛型棒銀 vs △8五飛型(C1)
相掛かり▲2八飛型棒銀・▲6七銀型 vs △8四飛型(D)
相掛かり▲2八飛型 vs △5二玉(D)
相掛かり飯島流引き角戦法(D)
相掛かり鎖鎌銀(D)
相掛かり▲2六飛型(浮き飛車)(C)
相掛かり▲2六飛型 vs 5筋位取り中飛車(E)
相掛かり腰掛け銀(C)
相掛かり▲3七銀戦法(C)
相掛かり塚田スペシャル(C)
相掛かりひねり飛車(C1)
相掛かり佐藤流△4一玉戦法(D)
相掛かり一手得後手番作戦(E)
相掛かり一手得後手番作戦・横歩取り回避策△5二玉(E)
以下の3戦法は、片方のみが飛車先の歩交換をする「歩交換非対称型」の戦法です。
最近、コンピュータ将棋の影響で飛車先の歩交換を重視しない戦法が試されています。
飛車先の歩交換の代わりに、手得や駒の働きなどを主張する指し方です。
研究熱心なプロ棋士が採用しており、最先端の将棋かもしれないです。
相掛かり2筋不交換型(E1)
相掛かり2筋歩交換保留型(E1)
相掛かり8筋不交換型(E1)
相掛かりの未分類の棋譜(1)
その他の居飛車の戦法
右玉(C)
雁木(C3)
右四間飛車(C1)
袖飛車(D)
嬉野流(D)
初手▲7八金(D1)
初手▲4八銀(D1)
6手目△9四歩(C3)
相矢倉、急戦矢倉、角換わり、一手損角換わり、横歩取り、相掛かりの6つのカテゴリーに分類しにくい居飛車の戦法を集めています。
これらの6つの戦法に枝分かれする前の最序盤の指し方もここに分類しています。