美濃囲いは振り飛車の将棋では最も基本的な囲いです。
「玉の守りは金銀3枚」が将棋の基本で、美濃系ではいわゆる「本美濃」が基本形です。
発展性に優れているので、様々なバリエーションを知っておくと役立ちます。
バランスが非常に良い囲いで、振り飛車だけではなく、居飛車や相振り飛車でも使われます。
居飛車の場合は左側に美濃囲いを作るので「左美濃」と呼ばれます。
美濃囲いの崩し方、片美濃囲いの崩し方の手筋をまとめた記事もあります。
このページの目次
美濃囲いの崩し方(攻め方)について非常に詳しいベストセラーです↓
振り飛車の美濃系の囲い
「振り飛車と言えば美濃囲い」というぐらいで、振り飛車の囲いの基本は美濃囲いです。
どの囲いに組むか迷ったら、とりあえず美濃囲いにしておけば大丈夫です。
手数があまりかからない囲いなので、実戦で非常に組みやすいのが長所です。
美濃囲い(基本形)
美濃系の囲いの基本形で、振り飛車や相振り飛車で頻繁に現れます。
「玉の守りは金銀3枚」の格言通りで、基本に忠実な堅い囲いです。
矢倉よりも手数がかからないこと、横からの攻めに強いことが特長です。
一方で、上部からの攻めには弱く、端(1筋)、玉頭(2筋)、こびん(3筋)が弱点です。
金銀2枚の片美濃と区別して「本美濃」、上部に発展した高美濃と区別して「平美濃」、
と呼ばれることもあります。
美濃囲いの崩し方(攻め方)については、以下の記事を参考にしてください。
美濃囲い側の受け方について非常に詳しくまとめられています↓
美濃囲いを極める77の手筋(マイナビ将棋BOOKS、2016年)
高美濃
高美濃囲いは、美濃囲いの5八の金が▲4七金と上がった囲いです。
美濃囲いから手数をかけて上部に発展した形で、実戦で頻繁に現れます。
美濃囲いと比べて、上部が手厚い囲いですが、横からの攻めには少し弱くなっています。
▲3七桂と跳ねて桂馬を攻めに使えることが大きな利点です。
銀冠
高美濃囲いの3八の銀を▲2七銀として、4九の金が▲3八金と上がった囲いです。
美濃→高美濃→銀冠、の順で高美濃囲いからさらに上部に発展しています。
2七の銀が美濃囲いの弱点である玉頭と端を守っており、上部に手厚くなっています。
バランスが非常に良い囲いで、プロ棋士が好んで使うことで知られています。
振り飛車の持久戦調の将棋でよく現れます。
銀冠穴熊
銀冠からさらに手数をかけて、穴熊にもぐった囲いです。
美濃→高美濃→銀冠→銀冠穴熊、の順で囲いを発展させた最終形です。
ただし、高美濃や銀冠のときに▲3七桂と跳ねていると、銀冠穴熊には組みづらいです。
通常の銀冠に比べて、玉が戦場から遠くなるのが利点で、堅さと遠さを兼ね備えた囲いです。
穴熊の弱点である端は、銀冠の2七の銀でカバーされています。
「銀冠から2手」かけた銀冠穴熊A(上図)、
「銀冠から5手」かけた銀冠穴熊B(下図)などのバリエーションがあります。
ヒラメ
美濃囲いの基本形から5八の金が一段下がった囲いです。
中飛車で5八の地点に飛車がいて、金が5八に行けない場合に現れる形です。
普通の美濃囲いと比べて、高美濃に組み替えるのに余分に1手かかります。
美濃囲いと堅さ自体は同じくらいですが、横からの攻めに対する受けにやや偏っています。
5九の地点を金が占めているので、▲5九角と引く形がない、底歩を打つとすると6筋になる、などの微妙な違いもあります。
片美濃
美濃囲いの基本形(本美濃)と比べて、5八の金が1枚足りない金銀2枚の囲いです。
金銀3枚の本美濃よりは当然薄いですが、金銀2枚の囲いとしてはしっかりしています。
本美濃が完成する1手前の形でもあるので、実戦で非常に頻繁に出現します。
本美濃と区別しないで、普通に「美濃囲い」と呼ばれることも多いです。
片美濃囲いの崩し方(攻め方)については、以下の記事を参考にしてください。
ちょんまげ美濃
玉頭の2六の歩がちょこんと出ている美濃囲いです。
序盤に▲2六歩を突いてから飛車を振る「陽動振り飛車」の戦法でしばしば現れます。
普通の美濃囲いと比べて、玉頭からの攻めに対して弱体化しています。
坊主美濃
玉頭の2七の歩がない美濃囲いです。
相掛かりのひねり飛車でよく現れる形です。
最近では、横歩取りからのひねり飛車というパターンも多いです。
木村美濃
片美濃から上部に発展させた金銀2枚の囲いです。
中央を4七銀がカバーし、3七に桂馬も使えるので、金銀2枚でもバランスに優れています。
ただし、5七と4九の地点に金銀の利きがなく、弱点となっています。
木村義雄十四世名人が香落ちの上手で愛用した形として知られています。
ダイヤモンド美濃
美濃囲いに4七の銀を加えた金銀4枚の囲いです。
金銀4枚の連結が非常に良く、堅さと広さと美しさを兼ね備えた形です。
横からの攻めや、コビン攻めに対しては、1枚加えた4七の銀が受けによく働きます。
端攻めに対しては、玉の広さが生きる展開になりやすいです。
たとえば、端攻めをされて、玉が3七や3九から4八の地点に逃げたとしても、金銀4枚に囲まれていて安定感があります。
その他の4枚美濃
高美濃+4六銀、高美濃+5八銀、など。
4枚美濃Aは高美濃+4六銀で、上部に手厚い囲いです。
4筋の位を4六の銀で支えていて、▲3七桂の応援も利く形です。
三間飛車で現れやすく、左銀は6八→5七→4六のルートでスムーズに進めます。
4枚美濃Bは高美濃+5八銀です。
ダイヤモンド美濃の5八と4七の金銀を入れ替えた形です。
6七の銀を5八に引いて、陣形を引き締めたときによく現れます。
美濃囲いから高美濃に組み替えると、横からの攻めに対してやや弱くなるのですが、その弱点を5八の銀が補強しています。
ただし、6八の地点が隙になっていますし、横からのと金攻めなどに対して、かえって当たりが強くなる場合もあります。
居飛車の左美濃系の囲い
美濃囲いは振り飛車だけではなく、居飛車の将棋でもよく使われます。
それだけ優秀で汎用性の高い囲いと言えます。
左側(角がある側)に美濃囲いを作るので「左美濃」と呼ばれます。
左美濃
左美濃からは居飛車における美濃囲いのバリエーションになります。
金銀の形は美濃囲いと同じですが、左右が反対です。
振り飛車における美濃系の囲いとの一番の違いは、角がある左側に玉を囲うということです。
将棋の初形では角が8八の地点にあるので、玉がすんなり8八に入城することができません。
左美濃A(上図)は、角道を空けて7七に角を移動させてから入城するパターンです。
角が移動すると、玉の斜めのラインが空くのが弱点です。
左美濃Bは、振り飛車の美濃囲いと同じで、玉の斜めのラインは7七の歩で守られています。
7九→5七のルートで引き角から角を移動させたパターンで、飯島流引き角戦法で現れます。
左美濃Cは、7九玉型の左美濃です。
角を動かさなくても囲えること、上部からの攻めに対して玉が遠いことがメリットです。
角のラインを警戒して、5筋の歩は突かないことが多いです。
相居飛車の居角左美濃(左美濃急戦)の戦法で現れる囲いです。
天守閣美濃
左美濃のバリエーションで、対振り飛車で使われる囲いです。
玉が角の上に乗っていますが、8七玉型の左美濃を特に「天守閣美濃」と呼びます。
玉が七段目にある囲いはかなり珍しいです。
8八玉型の左美濃に比べて、玉が角筋に入っていないのが一番のメリットです。
一方で、玉頭がかなりの弱点なので注意が必要です。
長所と短所がはっきりしている囲いと言えます。
横からの攻めに対しては、普通の美濃囲いよりもやや抵抗力があります。
玉が七段目にいるので、通常の美濃囲いに対する横からの攻め筋は、実はやや下からの攻めになっています。
横(下)からの攻めに対して、玉が少しだけ遠くなっているわけです。
端玉銀冠
天守閣美濃から4手をかけて、さらに深く囲った形です。
玉頭の弱点が緩和され、かなりバランスが良くなっています。
通常の銀冠と比べると、9九の香の上に玉が乗っているのが特徴です。
端攻めや銀頭が怖い形ですが、横からの攻めに対しては、堅さと遠さを兼ね備えています。
金銀4枚の左美濃(四枚美濃)
天守閣美濃+7七銀、高美濃+7七銀、銀冠+7七銀、銀冠穴熊+7七銀など。
天守閣美濃+7七銀
天守閣美濃に7七の銀を加えた囲いです。
右銀は4八~5七~6六~7七のルートで、スムーズに7七の地点に配置できます。
天守閣美濃の弱点である玉頭や角のラインを、7七の銀がカバーしています。
対振り飛車の持久戦調の将棋で現れる囲いです。
高美濃+7七銀
天守閣美濃+7七銀が、上部に発展した囲いです。
玉の位置が8七で、6六歩で角筋を止めているので、角のラインに対して抵抗力があります。
6七の金で玉のコビンが強化されていることもポイントです。
銀冠+7七銀
高美濃+7七銀から玉を引いて、銀冠に発展させた囲いです。
天守閣美濃の時とは様変わりして、上部に非常に手厚い形です。
8八玉型の他に、角筋をさけた9八玉型(端玉銀冠)もあります。
8八玉型だと玉が角筋に入りますが、銀冠穴熊への発展性があるのがメリットです。
銀冠穴熊+7七銀
銀冠+7七銀から2手かけて、穴熊にもぐった囲いです。
美濃→高美濃→銀冠→銀冠穴熊、の流れで発展させた場合の最終形に近いです。
あと3手かけると、「ビック4」と呼ばれる穴熊系で最強の囲いになります。
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