将棋で最強の囲いは何か?
実戦でよく現れる有名な囲いを中心に11種類の囲いを徹底比較します。
囲いの長所、短所、総合評価をランキング形式でまとめました。
縦、横、斜め、端のそれぞれの攻めに対する守備力、
金銀の枚数、金銀の連結、玉の戦場からの遠さを評価しています。
・最強の囲いランキング(11位~8位)
・最強の囲いランキング(7位~5位)
・最強の囲いランキング(4位~1位)
・囲いの堅さランキングのまとめ
以下の記事は、囲いランキングの続編です。
四間飛車の定跡局面をテーマとして、将棋ソフトの評価値で囲いをランク付けしています。
まずは、今回登場する11種類の囲いを紹介します。
美濃系の囲いでは、本美濃、銀冠、ダイヤモンド美濃、
穴熊系の囲いでは、普通の金銀3枚の穴熊、松尾流穴熊、ビッグ4、
矢倉系の囲いでは、金矢倉、片矢倉(天野矢倉)、
また、実戦でよく現れるその他の囲いとして、船囲い、金無双(二枚金)、
のエントリーです。
さらに、特別枠として、いわゆる「最強囲い」と呼ばれている囲いを付け加えました。
これらの11種類の中で、最強の囲いをランキング形式で決定します!!
最強の囲いランキング(11位~8位)
第11位 最強囲い
最強という名前が付いていながら、実は11種類の中で最弱の囲いです。
縦(上部)からの攻めにはやや耐久力がありますが、
横から攻められても斜めから攻められても弱いです。
金銀4枚の物量を誇りながら、どうしてこうなってしまったのでしょうか?
居玉、金銀分裂形、壁形、桂香が守りに働かない、など色々な理由があります。
囲いの守備力:縦○、横×、斜め△、端-
金銀の枚数4枚、金銀の連結×、玉の戦場からの遠さ×
棋士とAIはどう戦ってきたか~人間vs.人工知能の激闘の歴史(新書y、松本博文)
第10位 船囲い
対振り飛車の将棋でよく現れる基本的な囲いです。
穴熊や左美濃などへの発展性が売りの囲いで、このままだとあまり堅くないです。
特に、縦の攻め(上部からの攻め)に非常に弱いのが弱点です。
そんなにへなちょこな囲いではないのですが、今回のランキングでは第10位です。
それだけ他の囲いが猛者(もさ)ぞろいということです。
囲いの守備力:縦×、横△、斜め△、端○
金銀の枚数3枚、金銀の連結△、玉の戦場からの遠さ△
第9位 金無双(二枚金)
相振り飛車でよく使われる金無双(二枚金)が第9位です。
上部と端はなかなか強いのですが、斜めと横からの攻めには弱いです。
また金銀が左右に分裂していて、粘りづらいとの評判です。
船囲いよりも横からの攻めに対してやや弱くなっていますが、
上部がかなり強化されているので、トータルの堅さでは金無双がやや上です。
囲いの守備力:縦○、横×、斜め△、端○
金銀の枚数3枚、金銀の連結△、玉の戦場からの遠さ△
第8位 片矢倉(天野矢倉)
藤井流早囲いで脚光を浴びている片矢倉(天野矢倉)が第8位です。
金無双のような左右分裂型が解消されて、金銀の連結が良くなりました。
けっこう堅いのですが、やはり本家の金矢倉には勝てないです。
縦、横、斜め、端のどの方向からの攻めにもそこそこ堅いので、
バランスが良いはずなのですが、逆に突出した強みもない囲いです。
8筋の弱さや一段飛車などの隙も気になります。
守っているエリアが広めで、どこもやや手薄になっています。
囲いの守備力:縦○、横△、斜め△、端○
金銀の枚数3枚、金銀の連結○、玉の戦場からの遠さ△
最強の囲いランキング(7位~5位)
最強には届かないですが、将棋の実戦でよく現れる優れた囲いが並びます。
それぞれ、相居飛車のエース、振り飛車のエース、「プロが好む囲い」です。
第6位を同位で2つとしたので、第6位からの登場です。
第6位 金矢倉
相居飛車のエース、金矢倉が本美濃と同位の第6位です。
縦の攻め(上部からの攻め)に対して非常に堅い囲いです。
端攻めと横からの攻めに弱いとよく言われますが、
▲8六銀で端を強化、▲6八金引で横を強化するなど、
単純な堅さだけではなく、柔軟性も持ち合わせています。
片矢倉よりも一路深く囲えており、
8筋や一段飛車の弱点も補強されているので第6位にランクインです。
囲いの守備力:縦◎、横△、斜め○、端△
金銀の枚数3枚、金銀の連結△、玉の戦場からの遠さ○
第6位 本美濃
振り飛車のエース、本美濃囲いが金矢倉と同位の第6位です。
本美濃囲いは、長所と短所がはっきりしている囲いです。
横からの攻めには金矢倉よりもかなり強いですが、
縦や斜めの攻めには金矢倉よりもかなり弱いです。
強みが生きるような戦い方が求められます。
金矢倉の方がトータルバランスが良さそうですが、
本美濃にはもう一つ「広さ」というメリットがあります。
玉が2八から逃げ出して、3九、4八の位置でもそこそこ堅いです。
その点を考慮に入れて、金矢倉と本美濃を同じ第6位としました。
囲いの守備力:縦△、横◎、斜め×、端△
金銀の枚数3枚、金銀の連結○、玉の戦場からの遠さ○
美濃囲いの崩し方(攻め方)については、以下の記事を参考にしてください。
第5位 銀冠
「プロが好む銀冠」とよく枕詞が付く銀冠が第5位です。
居飛車でも振り飛車でも使えて、非常に汎用性が高い囲いです。
縦、横、斜め、端のどこから攻められても耐久力があります。
本美濃と比べると、縦、斜め、端が強くなっており、
金矢倉と比べると、横、端が強くなっています。
バランスを評価して、本美濃や金矢倉よりも上位の第5位にランクインです。
1八、1七、3七へ逃げてもけっこう堅く、玉の広さもあります。
純粋な堅さでは後述の穴熊勢に劣りますが、
これほどバランスに優れている囲いは他にはありません。
囲いの守備力:縦○、横○、斜め○、端○
金銀の枚数3枚、金銀の連結○、玉の戦場からの遠さ○
最強の囲いランキング(4位~1位)
第3位を同位で2つとしたので、ナンバー3からの登場です。
誰もが納得する非常に堅い囲いがずらりと並んでいます。
第3位 ダイヤモンド美濃
ダイヤモンド美濃が穴熊と同位の第3位にランクインです。
金銀が4枚で枚数が多く、金銀の連結も非常に優れています。
上部や端の弱さが弱点ですが、それを補う玉の広さがあり、
4八まで逃げても金銀4枚が近くにあるので安心感があります。
横からの攻めに対する圧倒的な強さと、金銀4枚の物量を評価して、
銀冠よりも上位の第3位にしました。
囲いの守備力:縦△、横◎、斜め○、端△
金銀の枚数4枚、金銀の連結◎、玉の戦場からの遠さ○
第3位 穴熊
堅い囲いの代表格と言えば穴熊で、堂々の3位にランクインです。
玉の戦場からの遠さ、王手のかかりにくさが大きな強みです。
金銀3枚の囲いの中では銀冠、本美濃、金矢倉を抑えてのトップです。
端が唯一の弱点と言われますが、銀桂香の3枚で守っています。
ただし、端から逃げられないという玉の狭さは要注意です。
ダイヤモンド美濃と比べて、金銀の枚数と、玉の広さは劣りますが、
玉の戦場からの遠さ、王手のかかりにくさを評価して、
ダイヤモンド美濃と同じ第3位としました。
囲いの守備力:縦○、横◎、斜め○、端△
金銀の枚数3枚、金銀の連結◎、玉の戦場からの遠さ◎
第2位 松尾流穴熊
金銀4枚の松尾流穴熊がおしくも第2位です。
それでもトップクラスに堅い囲いであることは間違いないです。
金銀3枚の穴熊でも十分堅いのに、さらに1枚加える贅沢な囲いです。
普通の穴熊と比べて、7九の銀が端の守りの応援に行けるので、
金が応援に行くよりも受けやすいことが多いです。
囲いの守備力:縦○、横◎、斜め◎、端○
金銀の枚数4枚、金銀の連結○、玉の戦場からの遠さ◎
第1位 ビッグ4
プロも認める最強の囲いビッグ4が、文句なしのナンバーワンです。
金銀4枚の穴熊で、駒の密度と連結も最強です。
縦、横、斜め、端と全く隙がない鉄壁の囲いです。
囲いの守備力:縦◎、横◎、斜め◎、端◎
金銀の枚数4枚、金銀の連結◎、玉の戦場からの遠さ◎
囲いの堅さランキングのまとめ
囲いの堅さランキングを表でまとめました。
縦、横、斜め、端:それぞれの方向からの攻めに対する強さ
枚数:金銀の枚数
連結:金銀の連結の強さ
遠さ:玉の戦場からの遠さ
以下の記事は続編その1です。
囲いの堅さについて、原理的なところから考察しています。
以下の記事は続編その2です。
四間飛車の定跡局面をテーマとして、将棋ソフトの評価値で囲いをランク付けしています。
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