木村一基八段 vs 広瀬章人八段の叡王戦の感想戦より。
ぼやきの名言で有名な木村一基さんの台詞をまとめています。
「僕は考えすぎて不幸になったのか」「将棋界は厳しいよ」「おっさんにはできないですよ」「あんまりな展開」「そうか・・・泣きたい」
(上の画像は投了直後の両対局者の様子)
名言が生まれる木村一基八段の感想戦
感想戦が始まって10分ぐらいすると、
木村一基八段のぼやきにエンジンがかかってきます。
名言が生まれそうな予感です。
「いやー、これを負けるかね私は」
「いやー、まあしかしね、まあ、柄にもなく前に進んだから駄目なんだ」
「もう寄せようと思ってんだもんな、ひどいね」
「バカヤロウでしたね、しかし」
「桂馬跳ねるんだったよな、それで・・・」(下の画像の▲8五桂)
「寄せられたらお上手ですね、っつって終わって」
(笑)(広瀬八段)
しかし、広瀬章人八段に▲8五桂に対する△3九馬を指摘されて・・・。
次から次へと、ぼやきが止まらない木村一基八段。
(3九馬・・・)(広瀬八段)
「3九馬・・・そうだそうだ、いやいやいや、3九馬、こんなんじゃ駄目だ」
「じゃあ、負けてんのか?・・・負けてんのか?・・・負けてるのかぁ・・・」
「そうか、おめでたい人だったか」
(笑)(広瀬八段)
「負けてんのか? あれれ? おめでたかったか、ただ・・・あーそう」
「じゃあ、負けかぁ・・・あれー、負けかぁ」
「だめか、じゃあ、おめでたかったのか」
「銀がまずかった・・・そうか・・・おめでたかったか・・・」
「おめでたい人・・・」
「そうか、そりゃあ無念だねえ」
「負けかぁ」
「なんだ・・・そっか」(心底残念そうな木村八段)
先崎学九段が感想戦に加わって、木村一基八段のぼやきが加速します。
「いやー、普通にやってるのが一番いいっすよ、たぶん」
「まあ、これもあったと思いますけど、難しいこと考えるよりも
頭悪いんだから、もう普通にやってりゃ良かったですよ(怒)」
先崎学九段の名アシストから、木村一基八段の名言が生まれます。
「金打たれると?」
(あー、まあ打たれてから考える)(先崎九段)
「そうか、そういう人なんですね」
「そうか、そういう人が幸せになるのはわかってるんだけど」
「僕は考えすぎて不幸になったのか」
「ああ、神様って感じだなあ」
「何も考えない人の方が幸せになるんですよ」
自虐に走る木村一基八段。
「王様寄せないでこれを決め手にしようと・・・」(上図の▲1五角)
「病気ですか、こういう」
さらに自虐に走る木村一基八段。
「こわいけど、まあわたしだからね」
木村一基の初級者でもわかる受けの基本 (NHK将棋シリーズ)
名言? 迷言? 木村一基八段の謎のぼやき
(取って△4三金じゃ負けだよね)(先崎九段)(上図の△6七金のこと)
「いやー、取って△4三金なら、流石にわたしもキラリと・・・」
(キラリと?(笑))(広瀬八段)
(キラリと)(先崎九段)
「ないんですか?」
(いや、わかんない)(先崎九段)
キラリと??? 思わず広瀬章人八段も聞き返す謎のフレーズです。
「こんだけもらってもいい勝負ですけどね、きっとね、たぶんね」
「ふるえるから、たぶん、ふるえるから」
「やっぱり間違えたか・・・」
(△6九角が詰めろなのが悲惨だったんじゃ?)(先崎九段)(上図で)
「これは、なんとなくこう・・・なんとなくこうね・・・
いや、どうでもいい人がやればあれだけど
広瀬さんがやるなら詰めろだと、推定詰めろだと思いましたよ」
「・・・流石だと思いましたよ」
「しかし、それを上回るつもりが、はるかに下回ってて愕然としたなぁ」
木村一基八段のぼやきは絶好調です。名言が次から次へと生まれます。
「悪いと思いましたよ」
「こんなね、もう何の足しにもならない銀打って」
「どうなってんだと思いましたよ、わ・れ・な・が・ら」
「いや、冷たいですよ、世の中は」
「いや、あれ、なんでもないすもん」
「ひどいもんなぁ」
「そこら辺の石ころよりひどいですもんね」
「ひどいよなぁ」
先崎学九段が指摘した手について検討中。
将棋界の厳しさをぼやく木村一基八段。
「気合いを込めてここ?」(上図の▲8二龍)
「でもなんか、歩ぐらいちょこんと打たれて、ぐうの音も出ない」
(ぐうの音も出ないか・・・)(先崎九段)
「駄目だなあ、もう、将棋界は厳しいよ」
(笑)(広瀬八段)
「もう、全然駄目だこりゃ」
「いやー、もう将棋界は・・・もう、
そうか、まあ、長くいればいるほど、こう、つらい目にあってるねえ」
遊び駒の銀をぼやく木村一基八段。
「この銀なんですか、誰ですかって感じだよねえ」(上図の▲2八銀)
「なんか、おかしくなってきた?」
「やればやるほどおかしくなる」
「なんか黙ってた方がいい」
「何も言わずに黙ってた方がいい」
「ひどいねえ、しかしねえ」
「ここで、ひっくり返されてるんじゃ」
「おっさんの要素丸出しじゃないか」
木村一基八段の口から、とうとう自分で「おっさん」発言が・・・。
下図の▲1一角成と香車を取らせた辺りの局面。
本局のポイントの一つで、感想戦の検討にも熱が入ります。
「しかし、香車を取らせてっていうのは、ぼくは感動しましたよ」
「いや、びっくりしましたよ。香得だからって発想じゃないんだね」
「いやー、これはちょっと才能を見せつけられたなと思った、内心ね」
「しかし、香損かぁ」
「香得して勝てないんじゃ、香落ちでも勝てないんじゃないか?」
「ひどいねえ」
「(馬の筋を)何か遮断されたときに・・・遮断法人・・・」
木村一基八段がマンモス???
木村一基八段のぼやきに哀愁が漂ってきます。
「ここはセンス問われると思ったんですよ」(上図)
「しかし、センスは問われたって・・・」
「問われてるだけか・・・」
「こうですか」(上図から▲7九玉)
「これはだけど、おっさんにはできないですよ」
「気が短くなってるから」
(笑)(広瀬八段)
上図から▲7七歩△同歩成▲同銀△7六歩▲同金△同銀▲同銀△同飛▲7七香で、後手の飛車を捕獲(下図)
先崎学九段に持ち上げられても、ぼやきで返す木村一基八段。
(でも、上手いことひねり出したと思ったよ。金から行くのは)(先崎)
「いやー、私はこうやって生きてきたもんで」
(いやいや、なかなか気がつかない手だよ)(先崎)
「いや、まあそうですけど、全然むくわれなかったな」
「生き方を否定された感じですよ」
(生き方ですか(笑))(先崎九段)
(笑)(広瀬八段)
まだまだ、木村一基八段のぼやきは続きます。
「いやー、勝ちだと思って負けだった。ほんとおめでたいなぁ」
「正月みたいな人だよ」
先崎学九段が気になっていた手順を検討。
しかし、先手玉が詰んでも詰まなくても、
どちらにしろ木村一基八段が勝てない展開で・・・。
「ほんとにおもしろくないね」
(詰まなくても負けなんですけどね。詰むかどうかだけ(笑)(先崎九段)
「あんまりな展開」
「そもそも詰ますこと考えてないでしょ?」
(それを言われると身も蓋もないからなあ)(先崎九段)
「駄目なんだ、やっぱり不幸は不幸のままで終わるのか」
「つまんないねえ、こんなことがあるのか」
「駄目だよもう、神様、仏様・・・」
「泣きそうだよね」
「銀とかこう、いい手ばっかりやられてるよね。全然おもしろくない」
「全然、ちっともおもしろくない」
「いいとこばっかり見せつけられちゃって」
(広瀬八段の疑問手△5八飛に対して)
「ちょっとその気にさせて負かすつもりだったんだよな・・・きっと」
(笑)(広瀬八段)
「そういう人ですよ」
「そういう人だと思ったから」
上図の▲3七桂で馬を取る手なら勝ちの可能性があり、先崎学九段にも指摘されて・・・。(先手の持ち駒に+角)
「そうなんですか」
「言ってくれればよかったのに」(解説者の先崎九段に対して)
「あれ? やる気十分か?」
「ひょっとしたらよかった?」
「まじすか、そうかいな・・・それはショックですねえ」
「気付かない方がよかったねえ」
「勝ちかもしんないんじゃないこれ?」
「ホントに?」
「ウソだといってくれ、っていいたいとこだが」
「そうか・・・泣きたい」
「俺勝ち? 勝ち?」
「あれ、俺なにやってんだよ、そうか」
感想戦もだんだん落ち着いてきます。
しかし、木村一基八段のぼやきに終わる気配はありません。
「取りましたと、打ちましたと、○してくださいと」
「欲張りでね、あくまでも欲張りで」
「なんだ、勝ってんのかよ、ひどいねえ」
「銀が悪手かあ、ひどいねえ」
「それはひどいですねえ」
「負けかぁ」
「まあ、流れは負けですね、やっぱり」
・・・・・・ようやく感想戦が終わりそうな雰囲気です。
「なんだ、けっきょく、いい感じになって、駄目だったってことですね」
「つまんないねえ」
「負けですね、負けか」
木村一基八段が締めの感想でまとめて感想戦が終わります。
「いやー、かえすがえす、やっぱり腹銀でしたね、悪かったのは」
「それと、もう一手落ち着いてから決行するんだったな」
「△4三金は才能あふれる対応だったか」
木村一基八段、お疲れ様でした。数々の名言をありがとうございます。
ニコニコ生放送:2016年7月15日 叡王戦八段予選 木村一基八段 vs 広瀬章人八段
(6:46:00ぐらいから感想戦)