相矢倉・一手得後手番作戦のタイトル戦
2015年6月2日:棋聖戦①(▲豊島将之七段vs△羽生善治棋聖)
相矢倉・一手得後手番作戦の棋譜(敬称略)
相矢倉・一手得後手番作戦の名称について
「一手得後手番作戦」という名称(分類)にはかなり私の主観が入っています。
一時期、「相矢倉と言えば▲3七銀戦法(▲4六銀▲3七桂型)」というぐらいにプロ公式戦で▲3七銀戦法が頻繁に指されていました。
しかし、▲3七銀戦法に対する△4五歩反発作戦が有力で、相矢倉の勢力図が一変します。相矢倉の先手番は▲3七銀戦法の採用が難しくなったために、脇システム、早囲い、▲3五歩戦法などさまざまな別の相矢倉の戦型を模索するようになります。
2015年の第86期棋聖戦五番勝負(羽生善治棋聖vs豊島将之七段)はそのような時期に行われたタイトル戦です。全4局中の3局が相矢倉で、互いの相矢倉研究をぶつけ合うようなシリーズとなりました。その第1局に豊島将之七段が採用したのが「一手得後手番作戦」です。
上図のように、先手番の▲3七銀戦法を先後逆にしたような局面になっています。飛車先の歩、端歩の関係が違いますが、先手番なので後手番と比べて一手得しています。豊島将之七段がこのような発想で本作戦を採用したかはわかりませんが、私の目にはそのように見えたので「一手得後手番作戦」と分類しています。
→ 将棋戦法大事典(居飛車編)に戻る
→ じゅげむの将棋ブログに戻る