囲いの堅さの原則がわかっていると、実戦で知らない形が現れても応用が効きやすいです。
非常にシンプルな原則なので、将棋の初心者でも簡単にわかります。
まずは、次の3つの原則を覚えておけば大丈夫です。
将棋の実戦でよく現れる代表的な囲い(参考:将棋の囲いの紹介ページ)は、
これらの原則のいくつかを満たしていることが多いです。
以下の記事は続編です。こちらもぜひ参考にしてください。
囲いの金銀の枚数が多い方が堅い(原則1)
「玉の囲いは金銀3枚」という将棋の格言があるように、金銀3枚が囲いの基本です。
将棋の初形では、金2枚、銀2枚の合計4枚の金銀があります。
金2枚、銀1枚の合計3枚を玉の囲いに使用して、
残りの銀1枚は棒銀などの攻めに使うのが将棋の基本です。
基本の金銀3枚の囲いに金銀を付け加えて4枚にすると、元の囲いよりも堅くなります。
逆に、金銀を減らして2枚になると、元の囲いよりも守備力が弱くなります。
本美濃(中央図)が美濃囲いの基本形で金銀3枚です。
美濃囲いは簡単に組めて堅いので、初心者の方に最もおすすめの囲いです。
四間飛車、三間飛車、向かい飛車などの振り飛車戦法でのエースの囲いです。
金銀3枚の本美濃に、4七銀を加えたのがダイヤモンド美濃(左図)です。
金銀4枚の囲いになるので基本形の本美濃よりも堅くなります。
逆に、美濃囲いの基本形から5八金を減らしたのが片美濃(右図)です。
金銀2枚の囲いになるので、金1枚分だけ本美濃よりも弱くなります。
居飛車穴熊の基本形が金銀3枚です(中央図)。
穴熊は金銀3枚でも非常に堅い囲いですが、
7七銀を1枚加えた4枚穴熊はさらに強固な囲いになります(左図)。
逆に、穴熊の基本形から7八金を減らした2枚穴熊は、
穴熊とはいえ金銀2枚の囲いなので、それほど堅くないです(右図)。
将棋で最強クラスに堅い囲いは、金銀4枚でがっちり固めた囲いが多いです。
次の記事もぜひ参考にしてください。
囲いの金銀の位置が玉に近い方が堅い(原則2)
金銀を玉に近づけた方が堅い囲いになります。
玉から遠い位置にある金銀は守りに働かないことがあるからです。
例1:居飛車穴熊の基本形>金の位置が遠い穴熊
穴熊の基本形では、玉の近くに金銀3枚が密集して非常に堅い囲いになっています(左図)。
しかし、金の位置が6八と6九の穴熊は、基本形と比べて金の位置が玉から遠くて弱体化しています(右図)。あと2手かけて、2枚の金を基本形の位置まで近づけたいです。
例えば、右図では△3三角でにらまれている場合の△9五桂がすぐに詰めろとなります。次に△8七桂不成と跳ねられると、なんと先手玉が詰んでしまっています。△3三角のにらみがあるので、▲8七同銀とは取れないですし、玉の逃げ場もありません。このような角と桂のコンビネーションは、とても効果的なテクニックです。
例2:片美濃>金銀が1マス遠い片美濃
片美濃は金銀2枚の美濃囲いです(左図)。
中飛車戦法を使うときに最も基本的な囲いで、初心者の方にもおすすめの囲いです。
金銀2枚の囲いの中では一番バランスが良いです。
しかし、金銀が玉から1マス遠くなっただけで、囲いがかなり弱体化します(右図)。
特に玉頭の薄さが深刻で、△2四香~△3五桂などが非常に厳しい狙いとなります。
2七の地点に金銀の利きがないので、次の△2七桂成(△2七香成)が受からないです。
美濃囲いの基本は▲3八銀▲4九金の形なので、まずはこの形を覚えておきましょう。
美濃囲いの金銀の形は、将棋の初形から銀を一つ上がっただけなので簡単です。
玉と囲いの金銀の位置関係に注目した次の記事もぜひ参考にしてください。
玉の位置が戦場から遠い方が堅い(原則3)
玉の位置が戦場から遠い方が、王手がかかりづらくて堅い囲いです。
細かくいうと、「堅さ」と「遠さ」は異なるのですが、玉の安全度という意味ではよく似た働きをします。
横からの攻めに対しては、玉が9筋にある囲いが最も戦場から遠く、8筋、7筋と中央に近づくにつれて、玉が戦場に近くなります。
例1:居飛車穴熊>左美濃(天守閣美濃)>船囲い(横からの攻めに対して)
居飛車vs振り飛車の対抗形の将棋では、横からの攻め合いになることが多いです。
例えば、△3八龍と△4七との攻め(横からの攻め)に対する厳しさが、玉が9筋の穴熊、玉が8筋の左美濃、玉が7筋の船囲いでは全く異なります。
玉が9筋にいる穴熊が最も遠くて安全です(左図)。
4筋に「と金」ができても、玉ははるか遠く、まだ守りの金にも届いていないです。
左美濃(天守閣美濃)は玉が8筋です(中央図)。
穴熊よりは横からの攻めに近いですが、振り飛車の美濃囲いに十分対抗できます。
4筋に「と金」ができても、▲6八金寄と金をかわせば、まだ8筋の玉までは遠いです。
玉が7筋にいる船囲いは、横から攻められると玉が戦場にかなり近いので危険です(右図)。
4筋の「と金」から▲6八金寄とかわしても、△5七とが厳しい一手となります。
龍の利きがあるので▲5七同金とは取れないですし、
次に△6八とで金を取られる手が王手になってしまいます。
振り飛車の場合は、玉が9筋の代表的な囲いが振り飛車穴熊、玉が8筋の代表的な囲いが美濃囲い、玉が7筋の代表的な囲いが早囲い(三手囲い)です。
同じ金銀2枚の場合を比較すると、玉が戦場から遠い振り飛車穴熊が最も堅く、玉が戦場に近い早囲い(三手囲い)が最も弱い囲いになります。
例えば、5七に「と金」を作られた場合に、穴熊ならまだまだ遠いですが、早囲いではすぐに守りの銀が当たりになります(上図)。
→ 囲いの研究のカテゴリーに戻る
→ じゅげむの将棋ブログに戻る