新しい囲いを創ってみる(美濃囲いからオリジナル四枚銀冠へ)

囲いの創作と発展性がテーマの記事です。
オリジナルな高美濃囲いや銀冠などを考えます。

今まで、矢倉美濃穴熊その他に分けて、
実戦でよく現れる名前のある囲いを中心に紹介してきました。

これらの形を覚えると実戦で非常に役に立ちますが、
オリジナルな形を自分で創作してみるのも面白いです。

このページの目次

美濃囲いの弱点を補強するためのアイディア

美濃囲い

発想の原点は美濃囲いです。(上図)

実戦で美濃囲いを使っていると、
たまに「2九に金を打てたらなぁ・・・」と思うことがあります。

①一段金の好形
②3八銀との相性は抜群
③美濃囲いの弱点「玉にヒモがついてない」を解消

と、美濃囲いの2九に金を打ちたい理由はたくさんあります。

もともとの美濃囲いでも4九の金が、
①一段金の好形、②3八銀との相性は抜群
の2つの条件を満たしていますが、

③美濃囲いの弱点「玉にヒモがついてない」は、4九金型では解消できないです。
玉にヒモがついていない形で、一度王手をかけられると、
次々と連続で王手をされて一気に寄ってしまう場合があります。

しかし、美濃囲いの2九の地点には桂が居座っているので、
2九に守りの金を置くためのスペースはありません。

どうやったら、2九金のアイディアを生かせるでしょうか?

美濃囲いを銀冠まで発展させる

美濃囲いの特長の一つは発展性が優れていることです。

美濃囲い → 高美濃囲い → 銀冠

のルートは実戦で非常によく現れます。

美濃囲い

上図は、発展させる前の美濃囲いです。

ここから▲4六歩~▲3六歩~▲4七金~▲3七桂の4手で、
高美濃囲いに発展させることができます。(下図)

高美濃囲いは▲3七桂を跳ねるかどうかを選べます。

高美濃囲い

上図の高美濃囲いには、まだ発展性が残っています。

ここから▲2六歩~▲2七銀~▲3八金の3手で、
銀冠に発展させることができます。(下図)

銀冠も▲3七桂を跳ねるかどうかを選べます。

銀冠

さて、2九金のアイディアの話に戻ります。

高美濃囲いと銀冠では▲3七桂が可能です。
▲3七桂と跳ねれば、2九金のスペースが生まれます。

ただし、3八銀を動かしてしまうと2九金との相性の問題があるので、
高美濃囲いからの発展を考えたいところです。

高美濃囲いからのオリジナルな発展

高美濃囲い

3七に桂を跳ねれば、2九に金を移動できます。
高美濃囲いから▲3九金~▲2九金の2手をかけると、
下図のような囲いになります。

オリジナル高美濃囲い

このようにして作った囲いが「オリジナル高美濃囲い」です。

パッと見で、そんなに悪くなさそうな囲いです。
高美濃囲いから組み替えるのに2手余分にかけていますが、
高美濃囲いとの比較では一長一短です。

オリジナル高美濃囲いの長所
①玉にヒモがついている
②金の位置が戦場から遠く、当たりを避けている
③珍しい形なので崩し方の手筋が見えづらい

オリジナル高美濃囲いの短所
①5八と5九の地点に利きがない
②▲5九歩の底歩が打てない
③▲3九玉と逃げた時に玉の横が空く

ダイヤモンド美濃と、5八銀付きの高美濃囲い

2九金型の利点をもっと生かせるような発想はないでしょうか?

高美濃囲い+5八銀の四枚美濃について考えます。(下図)

高美濃囲い+5八銀

この囲いは同じ金銀4枚のダイヤモンド美濃と比べると、
横からの攻めに対して弱体化しています。

というのは、横に飛び出ている5八の銀が狙われて、
かえってお荷物の駒になる場合が多いからです。(下図)

5八銀が負担になる場合

金銀を玉の近くに引きつけるのが守りのコツです。
参考記事「将棋の守り方のコツ:玉の囲いと2マス以内のエリア

5八の銀を、もっと玉の近くに引きつけたいのが本音ですが、
4七にも4九にも金がいるのですぐには無理です。

そこで、先ほどの2九金型の「オリジナル高美濃囲い」を念頭に、
4九の金を▲3九金~▲2九金と横に移動させます。

そうすると、4九にスペースができるので、
▲4九銀左と、懸案の左銀を引きつけることができました。
このように「オリジナル四枚美濃」の囲いができあがります。

オリジナル四枚美濃

オリジナル四枚銀冠の完成

ここまで来ると、銀冠まで囲いを発展させたくなります。

上図から▲2六歩~▲2七銀~▲3八銀上の3手をかけて、
とうとう「オリジナル四枚銀冠」が完成しました。

オリジナル四枚銀冠

さて、この囲いをもう一度よく眺めてみます。

銀冠に似た囲いでバランスは非常に良いです。
横、斜め、上部、端のどこから攻められても、けっこう耐久力がありそうです。

囲いの堅さの原則(1~34~5)から考えると、

原則1:金銀4枚で文句なし。
原則2:金銀の位置は玉から2マス以内。
原則3:玉が2筋なので戦場からは遠い。
原則4:金銀の連結は優れている。離れ駒はない。
原則5:玉が2筋なので桂香が守りに働いている。

このように、非常に優秀な囲いだと思います。
もともと優秀な美濃系の囲いをベースにしているので、
「オリジナル四枚銀冠」が同じように優秀なのも納得です。

もし、囲いの堅さランキングに入れるなら3位以内は確実です。

オリジナル四枚銀冠を実戦で組めるか?

問題は実戦で「オリジナル四枚銀冠」を組めるかどうかです。

高美濃囲い+5八銀の囲いは実戦でそこそこ現れるので、
そこから発展させることができるかどうかです。

途中、▲3九金の瞬間や、▲2七銀の瞬間は、
金銀の離れ駒ができるので特に危ないです。(下図)

▲3九金の瞬間は危険▲2七銀の瞬間も危険

しかし、通常の高美濃囲いから銀冠に発展させる手順でも
▲2七銀の瞬間は同じように危なくなります。

その意味では、「オリジナル四枚銀冠」への組み換えも同じです。

ただし、「オリジナル四枚銀冠」では、大きなスキが2度できるので、
完成させるまでの難易度が普通の銀冠よりも高くなります。

組み上げるまでのリスクを補える最大のメリットは、
5八の銀を自然に玉に近づけて、囲いに組み込めることです。

5八に銀がいる形では、通常の銀冠に組み換えるよりも
「オリジナル四枚銀冠」に組み換えた方がメリットが大きいと思います。

実戦でも使えそうな囲いだと思いませんか?

もし、じゅげむの実戦で現れたら報告しようと思います。

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