棋書の紹介(6月の新刊、5月の新刊のまとめ)

棋書の紹介記事です。2017年6月の新刊と、2017年5月出版の棋書をまとめています。

定跡書では「堅陣で圧勝! 対振り銀冠穴熊」がAmazon1位のベストセラーとなっています。銀冠穴熊の本は少ないですし、本書で紹介されているのは、コンピュータが指しはじめた新しいタイプの銀冠穴熊とのことです。

また、詰将棋パラダイス編集の詰将棋本や、横歩取りの名局集が6月の後半に出版されます。

<このページの目次>
棋書の紹介(6月の新刊)
新書・読み物(5月出版)
入門書・初級者向けの本(5月出版)
戦法書・定跡書(5月出版)
棋譜集(5月出版)

棋書の紹介(6月の新刊)

Amazonの将棋ランキングで1位のベストセラーです↓


堅陣で圧勝! 対振り銀冠穴熊(増田康宏、2017/6/14)

若手精鋭による対振り飛車新戦法!

第47期新人王戦決勝三番勝負第2局。

石田直裕四段の四間飛車に対し、増田康宏四段は▲6六角から見たこともない駒組みで序盤から圧倒的な優位を築き、最後は鮮やかな詰み。初タイトル新人王を勝ち取りました。

増田四段の使った作戦は銀冠穴熊。しかもただの銀冠穴熊ではありません。
旧来の左美濃からの発展形としての銀冠穴熊ではなく、最初から銀冠穴熊を含みにします。▲6六角から角道を開けたまま駒組みするのがポイントで、相手の△6五桂の両取りを防ぎつつ堅く囲うことができるという仕組みです。

相手が無理な動きをしてくればそれをとがめればよし、持久戦になれば自玉は無類の堅陣となります。

実は、この「対振り銀冠穴熊」はコンピュータが指しはじめたもの。増田四段がたまたまアマチュア将棋ファンのブログを見て知り、プロでも通用する戦法に仕上げたといいます。

まだ誕生して間もないものの、駒組みがわかりやすく、狙いがシンプルな戦法なので、アマチュアでも十分指しこなせます。何しろ堅陣に囲えるので勝ちやすいのが大きな魅力でしょう。

本書で増田流銀冠穴熊をマスターして、ぜひ振り飛車対策の一つとして加えてください。


将棋・序盤完全ガイド 相振り飛車編(上野裕和、2017/6/14)

1冊で相振り飛車の序盤がわかる!

プロの序盤戦術を分かりやすく解説し、多くの方に序盤の魅力をお伝えする「将棋・序盤完全ガイド」シリーズ。

大好評いただいた「振り飛車編」、「相居飛車編」に続く、待望の第3弾は「相振り飛車編」です。

相振り飛車は、相居飛車や居飛車対振り飛車の戦いと比べ、指し手の自由度が高く、定跡が確立されていない分だけ基本の駒組みや全体像をつかむのが難しいジャンルでもあります。

そこで本書がその道しるべとなります。

第1部の「相振り飛車の基礎知識」では「相振り飛車って何ですか?」から始まり、将棋においてどのような形を相振り飛車というのか、どんな囲いや駒組みをするものなかを説明します。

第2部は「相振り飛車の歴史を振り返る」。その戦法の歴史をさかのぼって解説することでより深い理解を得られるのが本シリーズの真骨頂。上野裕和五段の深い研究と分かりやすい進化の解説を読むことができます。

第3部は「相振り飛車、4つの戦法の解説」。多岐にわたる相振り飛車の戦型を
(1)先手向かい飛車
(2)先手三間飛車
(3)先手四間飛車
(4)先手中飛車
の4つに分けてそれぞれの特徴や歴史、最新形まで解説しています。

相振り飛車における序盤戦術の基本から最新形までを、大まかに、楽しく理解していただける一冊です。


サクサク解ける 詰将棋練習帳 風の巻(詰将棋パラダイス編、2017/6/23)

詰パラが贈る3~7手詰の良問200題!

将棋上達の最短ルートは短手数の詰将棋を数多く解くことだと言われます。

詰将棋を解くことはどんな戦法を得意にしているかに関係なく、将棋を指す方全員の棋力アップに役立つもので、やって無駄になることがありません。

詰将棋を頭のなかで考え、玉を詰ますのを繰り返すことで将棋の基礎体力となる「読む」力が磨かれますし、詰みテクニックを学ぶこともできます。

本書は詰将棋専門誌「詰将棋パラダイス」編集による詰将棋問題集です。

形がキレイで解きやすく、棋力アップにつながる3~7手詰200問を収録しています。

サクサク解いて、ドンドン将棋の力を磨いてください。


将棋戦型別名局集6 横歩取り名局集(中原誠監修、2017/6/23)

古今の横歩取りの名局を100局

厳選本書は戦型別名局集の第6弾です。
序盤から大駒が飛び交い、いきなり終盤戦になることもある激しい戦型の横歩取り。その名局を100局厳選し、詳細な解説で堪能できる内容になっています。

「横歩3年の患い」という、横歩取り後手有利という定説に挑み、それを覆してみせた木村義雄十四世名人。空中戦法で華麗に戦った内藤國雄九段。一番好きな戦法は横歩取りの羽生善治三冠。横歩取りを武器に名人の座を射止めた佐藤天彦名人など、名棋士達の名局を余すことなく収録。

また、前人未到の七冠王誕生の一局や、歴史のターニングポイントになった8五飛戦法の1号局など、棋史に残る対局も鑑賞できます。

珠玉の100局を盤に並べることで、棋士が試行錯誤を積み重ねて進化させてきた横歩取りの歩みを追体験してください。


9マス将棋の本(青野照市、2017/6/29)


将棋世界 2017年7月号(2017/6/2)

トップ棋士が見た藤井聡太の将棋

●巻頭カラー
・第88期棋聖戦挑戦者インタビュー・斎藤慎太郎七段
「対局は勝負と表現の場」 構成/諏訪景子

・第75期名人戦七番勝負[第3局]佐藤天彦名人×稲葉陽八段
「充実の挑戦者」解説/阿久津主税八段 構成/大川慎太郎

・インタビュー・藤井聡太四段「十四歳の地図」構成/北野新太


内藤國雄の短編詰将棋(将棋世界2017年7月号付録)

将棋世界誌に巻頭詰将棋を出題中、「5分で詰ませばアマ初段〜九段」と書いたことがある。九段とはどういう意味だと、棋士たちに不思議がられた。いま頃になってその事情を説明すると、ある日メモ帳の中から形のよいのを選び、出題しようとしたらそれが詰まない。2分ほどで諦めて破って捨てた。とたんに答えが分かった。試しにアマ初段くらいの友人に見せたら、駒を動かしまくってすぐに詰めた。それで良心的(?)にアマ初段〜九段としたのだった。仲よくしてもらった先輩・二上達也さんの「近頃、自分の作った詰将棋が詰まねぇんだよ」の言葉を懐かしく思い出す。今回は、面倒な変化もないのに解きにくいと思う短編(5手〜13手)を集めてみました。配列は手数の短い順ではありません。「全題詰まして九段」の意気で挑戦してみてください。(はしがきより)


NHK将棋講座 2017年7月号(2017/6/16)

棋書の紹介(5月出版)

新書・読み物(5月出版)


不動心論(大山康晴、2017/5/19)

『3月のライオン昭和異聞』の田中七郎名人のモデル、プロ将棋棋士:大山康晴(十五世名人/永世十段・王位・棋聖・王将)が、自らの「強靭な精神を磨く思考術」を伝授。

勝負強さの秘訣は「不動心」にあり! 不運に取りつかれた時、あきらめてはいけない。あきらめは心の乱れであり、不動心を失っている状態である。


棋士とAIはどう戦ってきたか~人間vs.人工知能の激闘の歴史(松本博文、2017/5/2)

棋士とコンピュータとの戦いは、人類とAIの未来を暗示している!?
2017年4月1日、現役タイトル保持者が、はじめてコンピュータ将棋ソフトに敗れた。
AI(人工知能)が、ついに人間の王者を上回ったのだ。
それは予想だにしない奇跡だったのか、それとも必然だったのか?
コンピュータ将棋の開発が始まってから40年あまり、
当初、「人間に勝てるはずがない」ともいわれたコンピュータ将棋は、
驚異的な進化を遂げて、いま、人間の前に立ちはだかる。
この間、棋士は、そしてソフト開発者は何を考え、何をめざしてきたのか?
そして、人間とAIは、どのような関係へと向かうのか?
将棋界の最前線を十数年取材してきた将棋記者の、懇親のルポルタージュ!


将棋から学んできたこと これからの道を歩く君へ(羽生善治、2017/5/1)

天才棋士・羽生善治がこれからの道を歩む若い人に向けて語った
「力を伸ばすプロセス」
「挑戦する姿勢」
「正解なき道の歩み方」
「才能よりも大事なこと」など珠玉のメッセージ。
将棋ブームの今、親子で読む本としても最適な一冊!

入門書・初級者向けの本(5月出版)


一冊で差がつく! 将棋 上達のコツ50 勝ち方がわかる本(屋敷伸之、2017/5/30)

◎ 第1章
将棋は礼に始まり、礼に終わる

◎ 第2章
将棋に勝つための「基本」を知ろう
◆1 最初の一手は何か?
◆2 飛車の位置、居飛車と振り飛車
◆3 なぜ“王”を囲わないといけないのか?
◆4 陣形のバランス

◎ 第3章
手筋と格言で将棋に強くなる
手筋を覚えて棋力アップ
◆1 桂、香、金、銀、角、飛の手筋
◆2 歩、玉の手筋
◆3 格言いろいろ

第4章
詰め将棋10題
なぜ詰め将棋が棋力アップにつながるのか!


おもしろいほどよくわかる羽生善治の将棋入門(羽生善治、2017/5/24)

ルールが難しいイメージのある「将棋」。しかし、実際は駒の動かし方や基本的部分さえ覚えてしまえば、子供からお年寄りまで、年齢の垣根なく楽しむことができるゲームなのです。

そんなコミュニケーションツールとしても活躍する「将棋」を羽生善治名人監修で、簡単に解説していきます。

本書はビギナーにも分かりやすいように、イラストつきで駒の動かし方や役に立つ手筋を掲載。中身はパート分けしてあるので、徐々にステップアップしていく楽しみもあります。

また、羽生名人が語る幼年期のエピソードや将棋が強くなるためにはどうすればいいのか?

プロになるためにはなどの読み物も盛り込まれているため、将棋の基礎の基礎はこの1冊があれば十分理解できるでしょう。

戦法書・定跡書(5月出版)


今日からすぐ勝てる 奇襲虎の巻(神谷広志、2017/5/24)

一発勝負は奇襲で勝て!

本書は神谷広志八段による「奇襲虎の巻」と「居飛穴なんかコワくない―振り飛車の逆襲」の2冊を合わせて文庫化したものです。

「奇襲虎の巻」では、四間飛車独走銀、ハメ手中飛車、△7四歩戦法、カニカニ銀、相掛かり宇宙戦法など、相手が一手受け間違えればたちまち勝勢になるような破壊力抜群の奇襲が紹介されています。

「居飛穴なんかコワくない」では三間飛車、向かい飛車、四間飛車の3つの戦型でそれぞれユニークな居飛車穴熊破りを解説しています。

どちらも神谷八段ならではの独特の指し回しがユーモアあふれる口調で語られており、楽しく読んで棋力アップにもつながる内容です。本書でレパートリーを増やして普段勝てない相手をアッと言わせてください。


1冊でわかる右四間飛車 その狙いと対策 (藤倉勇樹、2017/5/17)

四間飛車VS右四間飛車の決定版!

指されて困る戦法は何ですか? この質問の答えとして最もよく聞くのが右四間飛車です。飛車、角、銀、桂を理想的なポジションに配置し、4五(または6五)の地点から集中砲火を浴びせます。この攻めがあまりにも強力すぎて、わかっていても受け切れないのが悔しいところで、多くの将棋ファンを悩ませ続けています。

本書は、現在は振り飛車党で、奨励会時代には右四間飛車を多用して独自に研究を進めていたという藤倉勇樹五段が「四間飛車VS右四間飛車」という戦型について、徹底的に解説した一冊です。右四間飛車の圧倒的な破壊力と、四間飛車の正しい対応の両方を熟知している藤倉五段だからこそ書けたこの戦型の決定版です。

第1章で「右四間飛車の基本形」を学んだあと、第2章からは「右四間飛車急戦型」、「右四間飛車左美濃型」、「右四間飛車穴熊型」と右四間の3つの形における成功例と対策を解説しています。また、第6章では「その他の戦型」と題して、飛先不突き右四間や早めの▲6五歩といった変則的な形を網羅しています。

四間飛車に対して右四間飛車で攻め倒したい方も、いつも右四間に悩まされている四間飛車党の方も必見の一冊です。


これだけで勝てる 石田流のコツ(大平武洋、2017/5/17)

石田流はこの1冊でOK

本書は各戦法で勝つために必要な定跡や考え方を伝授する「これだけで勝てるシリーズ」の石田流編です。

振り飛車の中でも最も攻撃力の高いのが石田流。玉の囲いは最小限にして、さばきが生命線となります。ただ、組み上がりまでの手順に変化が多いのでそこはしっかりと押さえておかなければなりません。

本書第1章で解説されている石田流の3つのコツは以下の通り。
(1)組み上がるまで油断しない
(2)低い形で戦う
(3)▲7七桂と▲7七角を使い分ける

これらのコツを念頭に置きながら具体的な指し方を第2章以降で学んでいきます。

第2章「石田流に組むまで」で駒組みを覚えた後、対急戦、対左美濃、対居飛車穴熊と一通りの居飛車の形に応じた指し方を解説しています。

振り飛車を指したくて、しかも攻めたい。という方にぴったりの戦法です。

ぜひ本書で指し方のコツを身につけて、実戦で試してください。


村山慈明の居飛車対振り飛車 知って得する序盤術(村山慈明、2017/5/12)

序盤研究家の著者が、駒組みを丁寧に解説

『将棋講座』テキスト(2016年4~9月号)の「村山慈明の知って得する序盤術」を単行本化。本書は特に、居飛車対振り飛車の対抗形にしぼった内容を紹介する。居飛車党の著者が、対振り飛車の序盤対策を惜しみなく解説。振り飛車党の方に参考になるエッセンスも満載!

棋譜集(5月出版)


将棋戦型別名局集5 中飛車名局集(将棋戦型別名局集5、鈴木大介、2017/5/24)

古今の中飛車の名局を100局厳選

本書は戦型別名局集の第5弾です。中飛車の名局を100局厳選し、鈴木大介九段が指し手の解説と共に、「鈴木大介の見た急所」として現代の目線で一局を通した分析を行っています。

前半は大山康晴十五世名人、升田幸三実力制第四代名人らがツノ銀中飛車で居飛車急戦を迎え撃った名局を中心に収録。後半は近藤正和六段が生み出したゴキゲン中飛車に久保利明王将、鈴木大介九段、菅井竜也七段らが工夫を凝らして中飛車を進化させてきた足跡を辿ることができます。

受身の戦法だったかつての中飛車と、後手番でも主導権を握って積極的に攻勢を取る現代のゴキゲン中飛車。同じ中飛車ながらテイストの違う将棋の見所を解説の鈴木九段はこう言います。「大山先生の時代の中飛車は一手一手の味わいを見てもらいたい。また、進歩した現代の将棋とどこが変わってどこが変わらないのかというところにも注目です。新しい時代の中飛車は一手一手の積み重ねはもちろん、思想や細かい考え方に着目して並べてもらえればと思います」

一冊で中飛車の歴史の全てが分かる、中飛車党のみならず全将棋ファン必携の書です。ぜひ、盤上中央で繰り広げられる華麗な戦いを堪能してください。