中原流急戦矢倉

中原流急戦矢倉

中原流急戦矢倉のタイトル戦

2016年7月13日:棋聖戦④(▲永瀬拓矢六段vs△羽生善治棋聖)

中原流急戦矢倉について

△5四銀と△4四銀の二枚銀を繰り出す攻撃陣が中原流急戦矢倉と呼ばれます。

20年以上前の古い将棋で、現在のプロ公式戦ではめったに見られないようです。

2016年の棋聖戦第4局で角番の羽生善治棋聖が、永瀬拓矢六段の得意としている最新流行形の相矢倉早囲いを避けてこの戦法になりました。矢倉の5手目▲7七銀が背景にあり、古い戦法が掘り起こされた例と言えます。

ちなみに、矢倉の5手目▲6六歩の場合は、7七に銀を上がらせるために△8五歩の一手が必要となり、中原流急戦矢倉は難しいというのがプロ棋士の見解です。

矢倉の5手目▲7七銀の場合に、後手の中原流急戦矢倉に対して、先手の決定的な対策は現れていないようです。その意味では、現在でも有力な戦法です。しかし、後手は玉が薄いので、勝ちにくいというのがプロ棋士の認識です。

この戦法を考案し、かつて多用していた中原誠十六世名人は、このように話しています。

・・・玉が薄いので常にすれすれの将棋なんです。私も昔よく指しましたけど、玉が薄く、反撃され出すと踏ん張りが利かないんですね。ただ、後手としては攻めきってしまえばよいわけです。飛車角金銀桂の攻めですし、勝つときは気持ちがよいです。

中原誠十六世名人(将棋世界2016年9月号)

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