The post 先手中飛車とゴキゲン中飛車の誘導成功率(将棋倶楽部24で33局を調査)【後編】 first appeared on じゅげむの将棋ブログ.
]]>先手番では先手中飛車、後手番ではゴキゲン中飛車を目指して、
どのくらい狙いの戦法に誘導できるかを調べました。
また、それぞれの戦法に対する相手の対策をまとめました。
将棋倶楽部24での調査中の対戦成績は15勝18敗です。レーティング2037からスタートして、終了時は1989なので、ほぼキープしていた感じです。
対戦相手のレーティングは2000ぐらいが中心です。
今回は【後編】で、ゴキゲン中飛車を中心とする後手番の調査です。
前回の【前編】では、先手中飛車を中心とする先手番の調査をまとめています。
中飛車が後手番の場合です。
後手番の中飛車と言えばもちろんゴキゲン中飛車です。
後手番13局のすべてでゴキゲン中飛車に誘導しました。結果は・・・
後手番でゴキゲン中飛車を狙った場合の内訳(全13局)
ゴキゲン中飛車:6局
相振り飛車:4局
ノーマル四間飛車:2局
力戦系四間飛車:1局
となりました。
後手番でゴキゲン中飛車の誘導成功率は46%です。
先手が振り飛車を目指して相振り飛車になったのが31%です。
その他が23%の結果でした。
ただし、調査局数が少ないので誤差は大きくなります。
ゴキゲン中飛車に対する先手の対策は、
ゴキゲン中飛車(全6局中)
▲4七銀型:3局
▲5八金右超急戦:1局
居飛車穴熊(一直線穴熊):1局
5筋位取り拒否型:1局
▲4七銀型が3局で一番多かったです。
▲5八金右急戦、居飛車穴熊(一直線穴熊)はプロでもよく指される戦法です。
プロ公式戦で最も多く指されている超速▲3七銀戦法がゼロなのは意外でした。
また5筋位取り拒否型は、先手中飛車に対する作戦としてはよくあるのですが、ゴキゲン中飛車対策としては珍しいです。
ただし、調査局数がとても少ないので、誤差は非常に大きくなります。
ゴキゲン中飛車対策の戦法は、将棋戦法大事典(対振り飛車編)も参考にしてください。
▲4七銀型の3局はすべて上図の形になりました。ゴキゲン中飛車の5筋位取りに対して、▲4七銀で5筋を守る陣形です。
このうち、▲4七銀型から▲5八金右で普通に船囲いを作ったのが1局です。実戦では急戦調の将棋になりましたが、ここから先手が左美濃や穴熊を目指す構想もあると思います。
▲4七銀型から左銀を6八~7七~6六と前線に繰り出す作戦が2局ありました。
4九金型がポイントで、①▲5八金右よりも左銀の進出を優先、②▲5八飛の余地を残す、などの狙いがあります。
▲5八金右超急戦が1局です。
詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
一直線穴熊と呼ばれる戦法が1局です。
右辺にあまり手をかけずに、穴熊を優先させるのがポイントです。
▲4七銀型からの穴熊や、超速▲3七銀からの穴熊と区別して、一直線穴熊と呼ばれます。
▲5六歩と受ける5筋位取り拒否型が1局です。
先手中飛車に対する作戦としてはよくあるのですが、対ゴキゲン中飛車で成立するかは分からないです。角交換から△5七角で馬を作る筋が気になります。
ゴキゲン中飛車への誘導に失敗したのが54%もあるので、「ゴキゲン中飛車に組ませない序盤の指し方がある」ということになります。
1.相振り飛車(先手番が振り飛車を目指すパターン)
2.角道を空けずに▲2六歩~▲2五歩で飛車先を早めに決める
3.早めに角交換をする
大きく分けると、以上の3つの方法でゴキゲン中飛車を回避できます。(あるいは、回避の確率を上げられます。)
先手が振り飛車を目指せば、後手のゴキゲン中飛車を回避できます。
今回の調査では、先手が振り飛車を目指した場合に、相振り飛車で対抗しました。
このパターンは全4局で、内訳は以下の通りです。
相振り飛車の内訳(全4局、vsの左側が先手)
向かい飛車vs三間飛車:1局
中飛車vs三間飛車の力戦系:1局
中飛車左穴熊vs三間飛車:1局
相三間飛車:1局
先手が3手目▲6六歩で角道を止める場合は、先手のノーマル振り飛車が濃厚です。後手は中飛車にすることもできますが、どのみち相振り飛車になる可能性が高そうです。今回のじゅげむの実戦では、先手向かい飛車vs後手三間飛車の相振り飛車になりました。
先手が▲6六歩で角道を止めるパターンの2局目です。端歩の付き合いの駆け引きがあってから、先手が▲6六歩で角道を止めました。おそらく、先手番のゴキゲン中飛車(端歩の関係で先後が逆になる)を目指していたと思います。実戦では、先手中飛車vs後手三間飛車で、見慣れない形の力戦系の相振り飛車になりました。
初手▲5六歩で先手中飛車(あるいは中飛車左穴熊)を目指せば、後手はゴキゲン中飛車にはできないです。もし、後手が中飛車にすると相中飛車になります。じゅげむの実戦では、中飛車左穴熊vs三間飛車になりました。
先手が3手目▲7五歩で石田流を目指す場合も、後手はゴキゲン中飛車にはできないです。じゅげむの実戦では、相三間飛車になりました。
以上のように、先手が振り飛車を目指せば、後手のゴキゲン中飛車を回避できます。
角道を空けずに早めに▲2六歩~▲2五歩を決めると、ゴキゲン中飛車を回避できる可能性があります。(下図)
ただし、初手▲2六歩なので、相掛かりか角換わりを目指す居飛車党向けです。矢倉を目指す居飛車党は初手▲7六歩なので、この方法でのゴキゲン中飛車回避は不可能です。
後手は△3三角で飛車先を受けることになりますが、このタイミングで▲7六歩と角道を空けます。(下図)
上図から①△4四歩、②△2二銀、③△3二銀、④△4二銀が実戦でよく指されます。
①△4四歩なら後手のノーマル振り飛車が濃厚(あるいは、無理矢理矢倉)、②△2二銀なら相居飛車模様、③△3二銀と④△4二銀は振り飛車と居飛車の両方があります。
③△3二銀は、後手が居飛車なら左美濃の含みですし、後手が振り飛車なら四間飛車になりやすいです。
④△4二銀の場合はゴキゲン中飛車に組まれる可能性があるので要注意です。(参考棋譜:2016年NHK杯▲永瀬拓矢vs△戸辺誠)
ただし、△4二銀を決めさせることにより、ゴキゲン中飛車側の作戦の幅を狭くしています。
今回のじゅげむの実戦では、私が①4四歩からノーマル四間飛車を目指しました。(2局)
調査中は気付いていなかったのですが、上記の④△4二銀からあくまでもゴキゲン中飛車を目指す指し方がありました。この方が、ゴキゲン中飛車の誘導成功率が若干上がっていた可能性があります。
下図のように、4手目に早くも角交換をされた対局が1局ありました。
角交換によってゴキゲン中飛車を回避できます。
ただし、先手から角交換すると一手損になります。
ここから相居飛車の角換わりを指向すると、先後が逆になってしまうので、先手としてはやや損な指し方です。また、普通の角交換四間飛車を目指すなら、このタイミングで角交換をする必要はありません。
先手の狙いは何なのでしょうか?
この対局では、変則的な角交換四間飛車が先手の作戦でした。先手陣の左辺の金銀桂の形は、ノーマル中飛車から角交換をした場合によく現れます。
四間飛車のケースは珍しいですが、作戦としては有力だと思います。
将棋倶楽部24での調査です。
後手番でゴキゲン中飛車の誘導成功率は46%。
先手も振り飛車を目指して、相振り飛車になったのが31%です。
その他が23%の結果でした。
ゴキゲン中飛車対策として、
▲4七銀型、▲5八金右超急戦、居飛車穴熊(一直線穴熊)、5筋位取り拒否型
が実戦で現れました。
しかし、ゴキゲン中飛車対策の本格的な調査には、もっと多くの局数が必要です。
ゴキゲン中飛車に組ませない序盤の指し方として、
①相振り飛車
②角道を空けずに▲2六歩~▲2五歩で飛車先を早めに決める
③早めに角交換をする
以上の3つの方法が実戦で現れました。いずれも有力です。
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どのくらい狙いの戦法に誘導できるかを調べました。
また、それぞれの戦法に対する相手の対策をまとめました。
将棋倶楽部24での調査中の対戦成績は15勝18敗です。レーティング2037からスタートして、終了時は1989なので、ほぼキープしていた感じです。
対戦相手のレーティングは2000ぐらいが中心です。
今回は【前編】で、先手中飛車を中心とする先手番の調査です。
次回は【後編】で、ゴキゲン中飛車を中心とする後手番の調査です。
先手番の中飛車の場合です。
将棋倶楽部24での全33局中、先手番20局の調査結果です。
全33局中、先手番20局のすべてで初手▲5六歩と指しました。
狙いはもちろん、先手中飛車に誘導するためです。
初手▲5六歩と指せば、先手中飛車vs後手居飛車の対抗型になるか、後手も飛車を振って相振り飛車になるかの2択です。その割合は・・・
じゅげむ(寿限無)の先手番の初手▲5六歩に対して(全20局)
先手中飛車(vs 後手居飛車):12局
相振り飛車:8局
全20局中、先手中飛車が12局なので、先手中飛車の誘導成功率は60%です。
すなわち、先手の中飛車に対して、後手が居飛車で対抗する割合が60%です。
残りの40%は相振り飛車になりました。
前回の調査「将棋の戦法の人気調査:じゅげむの実戦50局」では、居飛車党と振り飛車党の割合がおおよそ半分ずつぐらいという結果でした。将棋倶楽部24の居飛車党勢力と振り飛車党勢力は拮抗しているようです。
今回の調査もそれを裏付ける結果となっています。ただし、「中飛車に対しては相振り飛車を指さない」という方針の振り飛車党の方もいると思います。
また、前々回の調査「ノーマル四間飛車の誘導成功率:将棋倶楽部24で30局を終えて」では、ノーマル四間飛車の誘導成功率がおおよそ50%ぐらいという結果が出ています。50%でもなかなか高い数字ですが、先手中飛車の60%はそれよりも高い数字です。
先手中飛車vs後手居飛車の対抗型の後手の対策についてまとめます。
先手中飛車vs居飛車での序盤のポイントは次の5つです。
参考:将棋戦法大事典(振り飛車編、対振り飛車編)
①先手に5筋の位を取らせるか取らせないか。
②5筋の位を取らせない場合に、5筋の歩交換を拒否するか。
③後手が銀を使う場所とタイミング。
④後手が飛車先を保留するか。(あるいは不突き)
⑤後手が角道を保留するか。(あるいは不突き)
これらの5つの選択権は、後手の居飛車側が持っている場合が多いです。
従って、先手中飛車に対する後手の対策の人気調査ということになります。
以下は結果です。
先手中飛車に対する後手の対策(全12局)
5筋位取り型 vs 船囲い△6三銀型 1局
5筋位取り型 vs 二枚銀 1局
5筋位取り型 vs 角道不突き超速△7三銀 → 二枚銀 1局
5筋位取り型 vs 角道不突き△7三銀 2局
5筋位取り型 vs 飛車先不突き超速△7三銀 1局
(5筋位取り拒否型)佐藤康流 1局
(5筋位取り拒否型)5筋交換型 vs 引き角戦法 1局
(5筋位取り拒否型)△6四金戦法 1局
(5筋位取り拒否型)飛車先保留、角道保留で△5三銀~△6四銀 1局
(5筋位取り拒否型)ノーマル中飛車へ移行 1局
(5筋位取り保留型)相穴熊 1局
後手の対策がかなりバラつく結果となりました。
先手中飛車の全12局中で、5筋位取り型になったのが6局、後手が5筋位取りを拒否したのが5局、その他(5筋位取り保留型)が1局です。
飛車先不突き(保留)、角道不突き(保留)など後手の工夫が多く、先手番を持って苦労しました。
ただし、「先手番のじゅげむがあまり先手中飛車を指し慣れていない」ということがあります。もしかすると、先手の指し方が甘かったために、後手のさまざまな対策を誘発してしまったかもしれません。
まずは、先手の5筋位取りを後手が許した6局での、後手の先手中飛車対策です。
△6三銀型(上図)は1局のみでした。他の5局はすべて△7三銀から銀を使う作戦です。
二枚の銀を前線に進出させる、いわゆる「二枚銀」が2局です。上図の後手の形が普通の二枚銀で、先手は▲5六銀型の好形に組めています。もう1局は後手の工夫がありました。
二枚銀のもう1局は、角道不突きで超速△7三銀からの二枚銀です。(上図)
先手は▲5七銀~▲6六銀の銀対抗にしたので、銀対抗vs二枚銀となりました。
超速は、ゴキゲン中飛車対策でよく現れる戦法ですが、先手中飛車対策としても使えます。
先手中飛車に対しては角道不突きのバリエーションがあります。
上図は(超速ではありませんが)、角道不突きでの△7三銀型急戦の1局目です。
角道を空けないことで、角交換のさばきを防ぎながら、先手の角頭を狙う構想です。
形がやや違いますが、角道不突きでの△7三銀型がもう1局です。(上図)
後手は△1三角の端角から角を使い、△7三桂~△6五桂と攻める構想でした。
飛車先不突きでの超速△7三銀が1局です。
以下、△6四銀から5筋の位を狙う構想で、後手は飛車を8筋ではなく△5二飛から5筋で使いました。ここまでの先手の駒組みがやや疑問だったかもしれません。
このように、5筋位取り型だけでも、後手の対策がかなり幅広いです。
初手▲5六歩で早くも作戦を明示しているために、飛車先不突きや角道不突きなどの対策を誘発している面があります。
後手が△5四歩と受けて5筋位取りを拒否したのが5局です。
この場合に、後手が5筋の歩交換を許すかどうかもポイントです。
上図のタイミングでの△5三銀が定跡の一手で、先手は5筋の歩(と角)を交換することができません。
▲5五歩△同歩▲同角△同角▲同飛とすると、以下△4四角▲5九飛△9九角成で、香を取られて先手が失敗です。4二玉型だと▲5五同飛のときに、5三の銀にヒモがついているのがポイントです。
△4二玉型での△5三銀は、平成12年王位戦(▲近藤正和vs△佐藤康光)で、佐藤康光さんがひねり出したアイディアです。(参考資料:『ゴキゲン中飛車で行こう(p. 70)』、近藤正和著、2013年)
先手の5筋の歩交換を許すパターン(5筋交換型)もあります。
じゅげむの実戦では、後手は引き角から角を使う構想でした。
ノーマル中飛車に対する▲4六金戦法を応用した△6四金戦法が1局です。
▲4六金戦法の定跡形と比較して、後手は角道を空けていないのがポイントです。
一方、先手も▲6六歩型ではないので、普通の▲4六金戦法の定跡とは全く異なる展開になります。
飛車先と角道を保留して△5三銀~△6四銀を急ぐ指し方が1局です。
「歩越し銀には歩で対抗」で▲6六歩としたので、ノーマル中飛車に変化しました。
▲6六歩と角道を止めて、ノーマル中飛車に変化したパターンがもう1局です。
上図の1手前に△1四歩と端歩を受けたので、後手が居飛車穴熊にしづらいと判断してのノーマル中飛車です。このように、状況によって先手中飛車(角道オープン型)からノーマル中飛車に変化させるのも有力です。
以上が、5筋位取り拒否型の5局です。
注意点として、いくつかの対局で、じゅげむが5筋の歩交換のタイミングを逃している可能性があります。
5筋の歩交換は先手中飛車の得です。
5筋の歩交換のタイミングを逃すと、(5筋歩交換型では選びづらい)さまざまな後手の対策を誘発します。
5筋位取り保留型は、先手が工夫したパターンです。
後手の飛車先不突きを警戒して、▲5五歩の位取りを保留しました。
先後ともに玉の囲いを優先する展開となり、相穴熊になりました。(上図)
相振り飛車(先手は中飛車)の内訳(全8局)
相中飛車:3局
中飛車vs三間飛車:4局
中飛車vs向かい飛車:1局
相振り飛車(先手は中飛車)で、後手が飛車を振る場所として、中飛車(3局)と三間飛車(4局)が人気です。向かい飛車(1局)もありました。今回の調査では四間飛車(0局)は全くありませんでした。
相中飛車の3局の図面です。美濃囲い同型、角交換型、5筋不突き型など、相中飛車でも色々なパターンがあります。
中飛車vs三間飛車の4局の図面です。
三間飛車側が、角道オープン型(△4三歩型:2局)と角道クローズ型(△4四歩~△4三銀型:2局)に分かれます。角道クローズ型の2局は、後手が穴熊を目指しました。
また、後手が角道オープン型の時に、油断して先手の8八角を浮き駒にしてしまうと、△5四歩と逆に突かれる危険性があります。
中飛車vs向かい飛車の相振り飛車は1局だけでしたが、戦法としては有力だと思います。
将棋倶楽部24での調査です。
先手番で先手中飛車の誘導成功率は60%。
すなわち、先手の中飛車に対して、後手が居飛車で対抗する割合が60%です。
残りの40%は相振り飛車になりました。
先手中飛車に対する後手の対策はかなりバラつきます。
①5筋位取り型、5筋位取り拒否型、5筋交換型
②△7三銀型、超速△7三銀型、△6三銀型、佐藤康流△5三銀型、△6四金戦法
③飛車先保留(不突き)、角道保留(不突き)、引き角(△3一角)、端角(△1三角)
などのバリエーションの組み合わせです。
相振り飛車(先手は中飛車)で、後手が飛車を振る場所は、中飛車と三間飛車が人気です。
すなわち、相中飛車、中飛車vs三間飛車がよく指されます。
次回は、【後編】のゴキゲン中飛車の誘導成功率と、ゴキゲン中飛車対策の調査です。
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今回はほぼ居飛車で、さらに対戦相手が戦法を選びやすい序盤を意識しました(一部、じゅげむが積極的に戦型誘導している部分もありますが)。
今回の50局の目的の一つは戦法の人気調査です。戦法の選択権を対戦相手に委ねるような序盤を多くしたので、どの戦法がどのくらいの人気があるのかを大まかに把握することができたと思います。
全50局中、先手番の24局のすべてで初手▲2六歩としました。初手▲2六歩の狙いは、後手番での相掛かり党がどのくらいいるかの調査です。後手番で相掛かりを受けて立つ対戦相手なら二手目△8四歩と指してくるはずです。その割合は・・・
じゅげむ(寿限無)の先手番の初手▲2六歩に対して(全24局)
△3四歩→23局
△8四歩→1局
24局中たった1局ですか・・・。相掛かりが不人気な戦法とはいえ、まさかここまで二手目△3四歩に偏るとは思いませんでした。先手相掛かりの誘導成功率はたったの4%です。(ただし、サンプル数が少ないので、その分誤差は大きくなります。)
逆に先手番での初手▲2六歩の勢力はどのくらいなのでしょうか?
じゅげむ(寿限無)の後手番(全26局)
▲7六歩→20局
▲2六歩→5局
▲5六歩→1局
初手▲2六歩はやはり少ないのですが、5局ありました。後手のじゅげむはすべて二手目△8四歩と指して、▲2六歩△8四歩▲2五歩から相掛かりに進行したのが4局、▲2六歩△8四歩▲7六歩から角換わりに進行したのが1局です。後手相掛かりの誘導成功率は15%になります。
先手番と比べて後手番の相掛かりの誘導成功率の方が高くなっています。サンプル数が少ないので誤差の範囲でしょうが、「後手番では相掛かりを指さないけれど、先手番なら相掛かりを指してもいい」という層が一定数いるのかもしれません。
相掛かりという戦法は、先手と後手の同意がないと成立しないので、「先手番だけで相掛かりを指す」あるいは「後手番だけで相掛かりを指す」ということが可能です。相掛かりは序盤早々から超急戦や大乱戦になる変化も少なくないので、準備なしではやや指しづらい戦法かもしれません。さらに後手番の相掛かりとなると、▲2六飛型(浮き飛車型)と▲2八飛型(引き飛車型)の両方に対応する必要があります。
ネット将棋で不特定多数と指す場合は、どうしても不人気な戦法の対局数が少なくなります。一度相掛かりをひたすら指してみたいのですが、ネット将棋がメインだと相掛かりの経験値を上げるのはなかなか大変のようです。
初手▲2六歩に対して二手目△3四歩の割合がほとんどだったわけですが、それに対してすべて▲7六歩と指しました。この進行は後手番にとって戦法の選択肢がけっこう幅広いです。戦法の人気調査のために、対戦相手が戦法を選びやすい序盤にしています。(ちなみに▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角の方が後手の選択肢を狭めることができます。)
じゅげむ(寿限無)の先手番で▲2六歩△3四歩▲7六歩に対して(全23局)
△8四歩(8局)→ 横歩取り(6局)、一手損角換わり(2局)
△4四歩(6局)→ 四間飛車(2局)、三間飛車(2局)、向かい飛車(1局)、雁木(1局)
△5四歩(3局)→ ゴキゲン中飛車(3局)
△8八角成(3局)→ 角交換四間飛車(2局)、一手損角換わり(1局)
△3五歩(2局)→ 石田流(2局)
△3三角(1局)→ 角換わり(1局)
居飛車11局、振り飛車12局でした。ニコニコ動画の将棋中継のアンケートでも居飛車党と振り飛車党が半々ぐらいだったと思うのですが、同じような結果となりました。
▲2六歩△3四歩▲7六歩の進行だと矢倉や(一手損でない)角換わりにはなりづらいので、横歩取りや一手損角換わりがメインとなります。横歩取りにするか一手損角換わりにするかは、後手に選択権があります。横歩取り6局、一手損角換わり3局なので、横歩取りの方が人気が高いようです。
他には、一手損ではない角換わりが1局だけあったのですが、これは後手の四手目△3三角の出だしから、序盤の駆け引きの末に角換わりになった流れです。雁木も1局だけありました。
というわけで、横歩取りが一番人気だったわけですが、実はこの人気調査中、じゅげむは一局も横歩取りを指していません。横歩を取るか取らないかは先手に選択権があり、横歩を取らずに相掛かりに誘導することも可能です。いわゆる「横歩拒否型相掛かり」と呼ばれる戦型です(下図)。ただし、現在のプロ棋戦の主流は横歩取りで、横歩拒否型相掛かりは少数勢力になります。
角道を止めないタイプの振り飛車(ゴキゲン中飛車、角交換四間飛車、石田流)が7局、角道を止めるノーマル型の振り飛車(四間飛車、三間飛車、向かい飛車)が5局でした。どちらもよく指されているようです。
飛車を振る場所についても、中飛車3局、四間飛車4局、三間飛車4局、向かい飛車1局などさまざまです。
▲2六歩△3四歩▲7六歩の進行は、後手番に戦法の選択権をある程度委ねることになるので、その意味では堂々とした進行と言えます。とはいえ、実際にさまざまな戦法を相手が指してきますし、上記のように戦法の割合がかなりばらつくので、対策を練るのがけっこう大変です。比較的レアな進行を含めるかどうかにもよりますが、相居飛車と対振り飛車を合わせて、今回の実戦23局中に現れただけでも8~10種類ぐらいの戦法に対応する必要があります。
居飛車党の方が、対策を練る必要がある戦法のバリエーションが多いという意味では大変かもしれないです。昔と比べて、角道を止めないタイプの振り飛車も色々とあるので、対策が必要な戦法はますます増えています。
先手番の対戦相手の指し手として▲7六歩が一番多かったわけですが、それに対してすべて二手目△8四歩と指しました。この進行も先手の戦法の選択肢はけっこう広いです。(ただし、先手石田流など二手目△8四歩に対して指せない戦法もあります。)
じゅげむ(寿限無)の後手番で▲7六歩△8四歩に対して(全20局)
▲6八銀△3四歩▲6六歩(6局)→ 矢倉(4局)、向かい飛車(1局)、雁木(1局)
▲7八銀△3四歩▲7七銀(1局)→ 矢倉(1局)
▲1六歩(1局)→ 矢倉(1局)(後手が端歩を受けたため)
▲2六歩△8五歩(1局)→ 角換わり(1局)
▲6八銀△3四歩▲2二角成(3局)→ ダイレクト向かい飛車(2局)、角交換四間飛車(1局)
▲5六歩(3局)→ 先手中飛車(3局)
▲6八飛(3局)→ 四間飛車(3局)
▲7八飛(1局)→ 三間飛車(1局)
▲6六歩(1局)→ ノーマル中飛車(1局)(後手が飯島流引き角戦法を目指したため)
居飛車8局、振り飛車12局でした。リストの上の方が居飛車メイン、下の方が振り飛車メインで並べています。
ただし、初手▲2六歩からの居飛車が5局、初手▲5六歩からの中飛車が1局あるので、全体としては居飛車13局、振り飛車13局のイーブンです。
先手が居飛車指向なら、矢倉か角換わりのどちらを選ぶのかは先手に選択権があります。▲7六歩△8四歩のときに三手目▲6八銀とすれば矢倉になり、三手目▲2六歩とすれば角換わり指向になります。ただし、三手目▲2六歩の場合は、後手は△3四歩として横歩取りに誘導することもできます。
角換わりの進行の少なさには驚きです。サンプル数が少ないので何とも言えないですが、矢倉の方が人気のようです。初手▲2六歩(5局)の進行と合わせると、全体では矢倉6局、相掛かり4局、角換わり2局、雁木1局となりました。
最初の方で相掛かりが不人気と言いましたが、この結果を見ると、先手番の居飛車全体としてはそれほど不人気ではなさそうです。むしろ、角換わりの方が不人気という結果です。
とはいえ、相居飛車の主流戦法を大別すると、矢倉、角換わり(一手損を含む)、横歩取り、相掛かりの4種類しかないので、多少不人気だとしてもそれなりに指されるはずです。
今回の人気調査で票を集めなかった、先手番の角換わり、後手番の相掛かりが本当に不人気かどうかは保留にしておきます。全体のサンプル数が少なかったので、たまたま少なかった可能性も大いにあります。
初手▲5六歩(1局)の進行と合わせると、中飛車5局、四間飛車4局、三間飛車1局、向かい飛車3局でした。
三間飛車が少ないのは、おそらく二手目△8四歩のためで、もし二手目△3四歩なら、▲7六歩△3四歩▲7五歩からの先手石田流があったと思います。
角道を止めない振り飛車か、角道を止めるノーマル型の振り飛車かの選択については、先手番と後手番でやや状況が異なります。というのは、▲7六歩△8四歩の時点で、後手がまだ角道を空けていないからです。▲7六歩△3四歩▲7五歩からの先手石田流がないというのも一つですが、他にも色々と影響があります。
例えば、▲7六歩△8四歩▲6八飛の進行だと、四手目△3四歩の場合は角交換四間飛車を選べますが、四手目△8五歩の場合は角交換四間飛車にしづらくなります(下図)。△8五歩に対して▲7七角と上がる一手が必要なので、そこから角交換をすると一手損になるからです。この進行だとノーマル四間飛車になりやすいです。
おそらく、上記のような理由で▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲2二角成からの角交換四間飛車が指されているのだと思います。早めに形を決めてしまいますが、どうしても角交換四間飛車を指したい場合には有力だと思います。
先手中飛車に対しても、△3四歩を保留する形は有力です。
また▲7六歩△8四歩▲6六歩の進行なら、飯島流引き角戦法も考えてみたいところです。これも居飛車が二手目に角道を空けていないために生ずる変化です。
このように、対振り飛車については▲7六歩△8四歩の進行にいくつかのメリットがあります。△3四歩を突くタイミングの問題で、振り飛車側の戦法を少し限定することができますし、△3四歩不突きの戦法など居飛車側の選択肢は逆に増えます。
しかし、人気調査としては、対戦相手の戦法を限定してしまうデメリットがあります。先手番の振り飛車の人気調査には、▲7六歩△3四歩の進行も調査した方がよさそうです。
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]]>将棋倶楽部24で「jugem2016」で登録して、最初の30局を終えました。
三段(レーティング2000)で登録して、17勝13敗です。
30局後のレーティングが2095だったので、じゅげむの棋力は大体このくらいになります。
戦法によってレーティングが変わってくると思うので、昔から一番よく指していたノーマル四間飛車をメインの戦法としました。
対戦相手のレーティングは1900~2200ぐらいです。
先手番でも後手番でもノーマル四間飛車を目指しました。(図1)
先手番18局中、ノーマル四間飛車8局で、誘導成功率は44%。
後手番12局中、ノーマル四間飛車7局で、誘導成功率は58%。
先後を合計すると全30局中、ノーマル四間飛車15局で、ノーマル四間飛車の戦法の誘導成功率はちょうど50%でした。
じゅげむが先手番のときに、初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩の出だしで、後手が△3二飛(図2)あるいは△3五歩(図3)から三間飛車を選ぶ場合が多かったです。この進行の場合は、じゅげむが向かい飛車に振って、向かい飛車vs三間飛車の相振り飛車に誘導しました。
先手番18局中の44%の8局が、向かい飛車vs三間飛車の相振り飛車でした。
アマチュアでノーマル四間飛車と相振り飛車は大人気の戦法ですが、この人気を支えているのが戦法の誘導成功率の高さだと思います。
先手番の場合は、「ノーマル四間飛車」と「向かい飛車vs三間飛車の相振り飛車」を合わせて88%の戦法の誘導成功率を誇るので、この2つの戦法だけ指せればほぼ大丈夫ということになります。
後手番の場合、「ノーマル四間飛車」の58%の他には、さまざまな戦型に誘導されます。この時、先手が指向してきたのは、居飛車vs振り飛車の対抗型の力戦、相振り飛車の力戦、中飛車左穴熊などです。意外と「向かい飛車vs三間飛車」の定跡形を先手が選ぶことがなく、どうやら向かい飛車側を持つのを嫌がるらしいです。
ノーマル四間飛車の対抗型が全部で15局あったわけですが、居飛車側の対策を整理します。
ちなみに、基本的に藤井システム風の出だしで、居飛車穴熊を牽制したときの対戦相手の対策になります。
斜め棒銀(図4)
△7二飛急戦(図5)
5筋位取り銀冠(図6)
5筋位取り急戦調(図7)
右四間飛車・銀冠穴熊(図8)
飯島流引き角(図9)
ミレニアム(図10)
居飛車穴熊模様→△4二銀上型(図11)
以上の全8局です。ただし、図9の飯島流引き角の場合は、四間飛車側の角道は止めていませんが、角交換四間飛車を意図したものではないので、ノーマル四間飛車に分類しています。また、図10では後手の△8六歩を受けるために向かい飛車に振り直しています。
鷺宮定跡(図12)
右4六銀急戦(図13)
飯島流引き角(図14)
玉頭位取り(図15)
居飛車穴熊模様→▲8六角(図16)
▲3六歩牽制型の居飛車穴熊模様(図17)
5七歩型居飛車穴熊(図18)
以上の全7局です。ただし、図13の右4六銀急戦の場合は、先手が定跡形よりも早めに3筋の攻めを見せたために3筋に飛車を回っています。
ご覧のように居飛車側の作戦は多彩です。「ノーマル四間飛車を選ぶ」という段階では戦法選択の主導権が大きいですが(戦法の誘導成功率の高さ)、いったんノーマル四間飛車に決まった後は、居飛車側の多彩な作戦に対応する必要があります。
その中でも割合として多めなのは、やはり居飛車穴熊です。藤井システム風の序盤で牽制しても、対戦相手が居飛車穴熊を目指すことはけっこうあります。しかし、先手番の藤井システムに対する居飛車穴熊模様の出だしは少なく、居飛車側は藤井システム風の仕掛けを警戒しているようです。
かなり珍しい戦法に遭遇しました。
なかなか実戦ではお目にかかれない端から飛車を使う構想です(図19)。戦法名は知らないのですが、仮に「右一間飛車」と呼んでおきましょうか。
図20のように進んだのですが、後手はひねり飛車風の駒組みにも見えます。後手は陣形が低く、飛車交換には強いのですが、端以外の歩が全く前に出ていないので手を作るのが難しそうです。先手のじゅげむとしては、どう対応したらよいか手探りで、とりあえず相振り飛車の感覚で指し手を進めました。
図20のしばらく後に飛車角交換があり、自陣の飛車2枚vs角2枚という、さらに珍しい形になりました(図21)。この局面では、飛車2枚の先手の方が指せそうです。
「右一間飛車」が戦法として有力かどうかは保留です。陣形が低いので、大駒が上手くさばければ面白い展開になると思います。
将棋倶楽部24での最初の30局を終えましたが、次からはノーマル四間飛車以外の別の戦法を指そうと考えています。さまざまな戦法を指してみたいのですが、主要な戦法だけでもかなり種類が多いので、少しずつということになります。戦法の幅を広げながら「将棋戦法大事典」の方も充実させていきたいです。
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