7-4. 手筋の研究 | じゅげむの将棋ブログ https://shogijugem.com 将棋の戦法や定跡のまとめ、囲い、格言、自戦記、ゆるゆる研究シリーズなど。 Sun, 02 Jul 2017 21:34:05 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.5.3 111067373 片美濃囲いをマスター! 片美濃囲いの手順と23種類の崩し方(攻め方) https://shogijugem.com/katamino-4687 Mon, 27 Mar 2017 07:08:28 +0000 https://shogijugem.com/?p=4687 片美濃囲いの「特徴」「手順」「崩し方(攻め方)」をまとめています。 将棋の初心者の方にとっては、まずは片美濃囲いの基本的な組み方の手順が大事です。 片美濃囲いを組めるようになったら、次のステップは相手の片美濃囲いを攻略す...

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片美濃囲い:崩し方(攻め方)の4つのパターン片美濃囲い

片美濃囲いの「特徴」「手順」「崩し方(攻め方)」をまとめています。

将棋の初心者の方にとっては、まずは片美濃囲いの基本的な組み方の手順が大事です。

片美濃囲いを組めるようになったら、次のステップは相手の片美濃囲いを攻略することです。片美濃崩しは美濃崩しの基本で、美濃囲いの崩し方や高美濃囲いの崩し方にも応用できます。

この記事では、片美濃囲いの崩し方(攻め方)の手筋を全23問の問題形式で解説しています。問題部分は、級位者から三段~四段ぐらいの有段者の方まで参考になると思います。

 

このページの目次

 

片美濃囲いとは?(特徴、長所、短所)

片美濃囲い

美濃囲いから5八の金が1枚少なくなった、金銀2枚の囲いです。

美濃系の囲いは、振り飛車の実戦でよく使われます。
その中でも片美濃囲いは、特に中飛車や角交換系の振り飛車の実戦でよく現れます。

中飛車では5八に飛車がいるので、自然に片美濃囲いになります。

また、角交換系の振り飛車で、自陣への角の打ち込みを消すために、左側の金を5八ではなく▲7八金と上がると片美濃囲いになります。

片美濃囲いから、銀冠(片銀冠)、木村美濃などの囲いに発展させることができます。

<片美濃囲いの長所>
金銀2枚の囲いの中では、最もバランスが良い。
囲いを組むのにあまり手数がかからず、組むときの手順も簡単。
玉の移動を含めてたった4~5手で囲いが完成する。

<片美濃囲いの短所>
金銀2枚の囲いであること。金銀3枚の美濃囲いと比べて、堅さでは劣る。
玉のあるマス目に味方の駒の利きがないので、王手に弱い。
角と桂馬のコンビネーションでのコビン攻めに弱い。

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片美濃囲いの手順

片美濃囲いの組み方の手順(その1)

片美濃囲いの手順は(飛車を左に移動させてから)、

▲4八玉→▲3八玉→▲2八玉→▲3八銀(→▲1六歩)

となります。この手順が最も普通で、プロの公式戦でもよく現れる組み方です。

最初に、▲4八玉→▲3八玉→▲2八玉(途中図)と玉を2八まで移動させます。

片美濃囲いの手順1(途中図)

途中図から▲3八銀と銀をまっすぐ上がると片美濃囲いの完成です。さらに、端歩の▲1六歩を突くと、玉の逃げ道が広くなります。

下図が片美濃囲いの完成図で、端歩を突くと5手、端歩なしだと4手で完成します。

片美濃囲い

ちなみに、途中図の局面から、片美濃囲いではなく穴熊囲い金美濃など別の囲いを選ぶこともできます。

<「手順その1」のまとめ>
片美濃囲いの普通の組み方の手順で、初心者の方にもオススメです。
プロの公式戦でもよく見られる手順です。
▲2八玉の局面から穴熊囲いや金美濃など別の囲いも選べます。

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片美濃囲いの組み方の手順(その2)

片美濃囲いを作るもう一つの手順は(飛車を左に移動させてから)、

▲4八玉→▲3八銀→▲3九玉→▲2八玉(→▲1六歩)

となります。

最初の▲4八玉までは「手順その1」と同じです。次に、▲3八玉ではなく▲3八銀(途中図)と上がります。

片美濃囲いの手順2(途中図)

「手順その2」では、片美濃囲いの金銀の骨格を先に作って、その後で玉が入城します。

途中図から、▲3九玉→▲2八玉とジグザグに玉を移動させて、2八の地点に入城させれば片美濃囲いの完成です。さらに、▲1六歩と端歩を突くと、玉の逃げ道が広くなります。

先に▲3八銀として片美濃囲いの金銀の形を決めてしまうので、後から穴熊囲いなどには変更できません。ただし、この組み方の場合は、玉を2八まで入城せずに▲3九玉型で戦うこともできます。

途中図では、角交換をすると△2八角と打ち込まれるスキがあります。角道オープン型の振り飛車では注意が必要です。

<「手順その2」のまとめ>
やや上級者向けの組み方です。
玉を2八まで入城せずに、▲3九玉型のままでも戦えます。
途中で△2八角の打ち込みのスキができるので、角交換には要注意です。

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片美濃囲いの崩し方(攻め方)のポイント

片美濃囲い:崩し方(攻め方)の4つのパターン

片美濃囲いの崩し方(攻め方)には、大きなポイントが2つあります。

一つ目は、片美濃囲いの崩し方には、次のような4つのパターンがあるということです。

・横からの攻め(上図の水色のエリア)
・コビン攻め(
・端攻め(オレンジ
・玉頭攻め(黄緑

この大枠をつかんでおくと、攻めのパターンを理解しやすくなります。

片美濃囲いは王手に弱い

二つ目のポイントは、片美濃囲いは王手に弱いということです。

玉のある8二のマス目に守備駒の利きがないので、王手をかけて玉が逃げた場合、8二の地点に駒を打ってさらに王手をかけることができます。このように、連続して王手がかかる形になりやすく、そのまま一気に攻め切れることも多いです。

片美濃囲いを攻める時のコツは、王手をかけられる形にすることです。

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横からの攻め

片美濃囲いの急所(横からの攻め)

片美濃囲いを横から攻める時は、7一の地点が急所となります(上図の水色のマス目)。▲7一銀あるいは▲7一角が王手になるからです。

ただし、7一の地点は△6一金が守っているので、①7一の地点に攻め駒の利きを集中させるか、あるいは②△6一金を無力化する必要があります。

上図は①のパターンで、▲2一飛の間接的な利きと▲4四角の利きが7一の地点に集中しています。上図では▲7一銀△同金▲同角成△9二玉▲8二金までの即詰みがあります。

片美濃囲いでは、玉のある8二の地点に守備駒の利きがありません。7一の地点を制して王手をかけて、玉が逃げる形になると、8二の地点も制することができます。上図の例題では、△9二玉と逃げたときに▲8二金の王手ができるので即詰みとなります。

②のパターンは問題編でご紹介します。

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コビン攻め

コビン攻めも急所

コビン攻め(斜めからの攻め)も、片美濃囲いへの効果的な攻め方です。

「コビン」とは、玉の斜め上のマス目のことを言います。片美濃囲いの場合は、7三の地点が玉のコビンです。そして、コビンの一つ下の7四のマス目も、攻める時のポイントになります。すなわち、上図の赤マスの7三と7四の地点が、コビン攻めの急所になります。

たとえば、上図のように▲3七角のにらみがある場合、▲7四歩と突かれるだけで後手は受けづらいです。角のにらみで△同歩とは取れないですし、放置すると▲7三歩成△同銀(または△同桂)▲7四歩(下図)の攻めが非常に厳しいです。

角のラインは受けづらい

上図から△7二歩と耐えても、▲7三歩成△同歩▲7四歩(下図)のおかわりがあります。

何度も▲7四歩がある

このように、角のにらみは強烈で、歩だけでどんどん守備駒を取られてしまいます。

片美濃囲いのコビン(7三の地点)は、玉・銀・桂馬の3枚で守っています。しかし、コビン攻めが筋に入ると、守備駒の数に関係なく攻めが決まることがあります。

また角のラインを生かした有名な手筋として、角と桂馬のコンビネーションで、片美濃囲いの玉にいきなり王手をかける攻め方もあります。こちらは、この後の問題編で具体的な攻め筋をご紹介します。

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端攻め

端も片美濃囲いの弱点

端攻めも片美濃囲いに対する効果的な攻め方です。美濃囲い、高美濃囲いなどに対してもそのまま応用が効きます。

片美濃囲いの端は、桂馬と香車が守っています。しかし、桂香は後ろに戻れない駒なので、守備にはもろさがあります。端攻めの手筋を知っていると、少ない戦力でも攻略しやすいです。

端攻めの場合でも、王手をかけることが攻め方のコツです。たとえば、▲9四桂の王手が実現するように端攻めの手順を組み立てます。

上図の例題では、▲9五歩△同歩▲9二歩△同香▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂(下図)が端攻めの手筋です。少々長い手順ですが、要するに守りの香車をつり上げて、▲8六桂→▲9四桂の王手を実現させることが狙いです。

▲9四桂の王手を狙う

上図の▲8六桂の筋があるので、端攻めで最も活躍しやすい駒は桂馬です。桂馬と歩が何枚かあれば、端攻めが成立する場合が多いです。

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玉頭攻め

玉頭の8三の地点も急所

片美濃囲いの玉頭(8三の地点で、上図の黄緑のマス目)を守っているのは、玉と銀の2枚のみです。△6一金などの他の守備駒が、玉頭の守りに使いづらいのが片美濃囲いの弱点です。

片美濃囲いへの玉頭攻めは、単純な数の攻めでも有効な場合が多いです。また、囲い崩しの手筋を使ったさまざまな攻め筋もあります。

上図の例題では、飛車・銀・香車の3枚の攻め駒で、玉頭の8筋に狙いを定めています。一方で、8三の地点を守っているのは玉と銀の2枚だけなので、単純な数の攻めが成立します。

具体的には、上図から▲8四歩△同歩▲同銀(下図)となると、既に8三の地点が受からなくなっています。下図から△8三歩と受けようとしても守備駒の数が足りていないので、▲同銀成△同銀▲同香成で8筋を突破できます。

8三の地点が受からない

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片美濃囲いの崩し方(攻め方)のまとめ

以上のように、片美濃囲いに対する攻め方は、①横からの攻め、②コビン攻め、③端攻め、④玉頭攻めの4種類があります。いずれの場合でも、王手をかけられる形にするのが、片美濃囲いの攻め方のコツです。

具体的な攻め方には、さまざまなバリエーションがあります。多くの問題を解いて覚えることが棋力向上への近道です。

以下では、片美濃崩しの手筋を問題形式でご紹介しています。

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片美濃崩しの手筋(全23問)

片美濃崩しの手筋を、全23問の問題形式で解説しています。

ヒント・解答・解説がすぐに見える位置にあると気になる方は、問題だけをまとめた場所がありますので、そちらからご覧ください。

 

横からの攻め①

<問題1>
片美濃囲いの崩し方①

<ヒント>
片美濃囲いを横から攻めるときの急所は7一の地点です。

 

<答え>

正解:▲7一銀(正解図)

片美濃囲いの崩し方①(正解図)

▲7一銀の王手が正解です。これに対して、①△9二玉なら▲8二金で詰みですし、②△同金▲同角成△9二玉▲8二金(詰め上がり図)でも即詰みです。

片美濃囲いの崩し方①(詰め上がり図)

最初の問題は、7一の地点に攻め駒の利きを集中させるパターンでした。

問題図では、一段飛車(▲2一飛)と▲4四角が、片美濃囲いの急所の7一の地点をにらんでいます。飛車と角は△6一金の守備範囲外から7一の地点に利かすことができるので、片美濃囲いを横から攻める時にとても役立ちます。

先手の攻め駒は、▲2一飛の間接的な利きと▲4四角の斜めのラインで、合計2枚の駒が7一の地点に利いています。一方、後手は△8二玉と△6一金の2枚の駒が7一の地点に利いています。攻め駒の数と守り駒の数が2対2なので、さらに▲7一銀と打ち込めば3対2の「数の攻め」で7一の地点を制することができます。

このように、片美濃囲いを横から攻めるときは、7一の地点に攻め駒の利きを集中させるのが基本です。7一の地点を攻めると△7二銀が受けにあまり働かないので、効果的な攻めになる場合が多いです。

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横からの攻め②

<問題2>
片美濃囲いの崩し方②

<ヒント>
守りの要である△6一金を無力化します。

 

<答え>

正解手順:▲6二銀△同金▲7一角△9二玉▲6二角成(成功図)

片美濃囲いの崩し方②(成功図)

片美濃囲いの守りの要である△6一金を無力化させるパターンです。

前問とは違って今度は▲4四角がいなくて、盤上には一段飛車(▲2一飛)のみです。この場合でも非常に厳しい攻め筋があります。

片美濃囲いの崩し方②(途中図)

問題図で▲6二銀(途中図)の捨て駒が正解です。△同金と取らせると、金がうわずって7一の地点への利きがなくなります。すると急所の▲7一角を打つことができます。

▲7一角が両取りになるように、6二の地点に守りの金をおびき出すのが基本です。▲6二角成と金を取った成功図では、後手に適当な受けがありません。

この攻め筋は、持ち駒が①角銀だけではなく、②銀銀、③金銀、④角金などでも成立します。「7一に打つための斜め後ろに利く駒(角か銀)」が1枚と、「6二に打つための金駒(金か銀)」が1枚の組み合わせです。

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横からの攻め③

<問題3>
片美濃囲いの崩し方③

<ヒント>
後手の持ち駒に歩があるので、受けられたときの攻め方を考えてください。
有段者の方は、大駒を渡さないで攻め切ってください。

 

<答え>

正解手順:▲6二金△5一歩▲同飛成(正解図1)
その他の正解手順:▲6二金△5一歩▲6一金△同銀▲5一飛成(正解図2)

片美濃囲いの崩し方③(正解図1)

初手の▲6二金に対して△同金なら前問と同じ筋で、以下▲7一角△9二玉▲6二角成で攻めが成功します。

▲6二金に△5一歩と底歩を打たれた場合は、正解図1のように▲同飛成と取ってしまうのが明快です。以下、△同金▲7一角△9二玉▲7二金(成功図)で後手玉に必死がかかります。まずは、この攻め方を覚えておけば十分です。

片美濃囲いの崩し方③(成功図)

ただし、上図の攻め方だと後手に飛車を渡します。飛車を渡せない場合は、△5一歩に対して▲6一金△同銀▲5一飛成(正解図2)と攻める順が有力です。こちらの手順でも寄せ切ることができますが、正解図1の手順と比べると変化が多くなります。

片美濃囲いの崩し方③(正解図2)

正解図2からは△6二金や△7一金などの受けが考えられます。

△6二金なら▲5二金(変化図1)の攻めが有力です。▲5二金に対して、①△同銀なら▲6二龍以下の詰み、②△同金なら▲6一龍が詰めろで以下△7二金と受けても▲5二龍と金を取った手がまた詰めろ、③△7二玉なら▲6二金△同銀▲6一角でよく、④手抜きなら次に▲6一金でも▲6二金でも詰めろになります。

片美濃囲いの崩し方③(変化図1)

正解図2から△7一金(変化図2)の場合は、角を渡しても大丈夫なら▲5三角が分かりやすいです。次に▲7一角成△同玉▲6二金△8二玉▲6一龍の詰めろが狙いです。

片美濃囲いの崩し方③(変化図2)

変化図2で角を渡せない場合は▲4二龍が有力です。▲4二龍に対して、①△5二歩なら▲5三歩が意外と速い攻め、②△7二銀なら▲5三角△6一金▲6二金、③△6二銀なら▲5二金、④△9三玉なら▲5三角などがあります。

このように、問題図から飛車も角も渡さずに攻めようとすると変化がやや複雑になりますが、調べてみるとどうやら攻め切ることができそうです。

逆に後手の立場としては、飛車も角も渡せないような状況にしておくと、やや難解な局面を渡すことができます。

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横からの攻め④

<問題4>
片美濃囲いの崩し方④

<ヒント>
後手陣の△6四歩型に注目します。

 

<答え>

正解:▲6三香(正解図)

片美濃囲いの崩し方④(正解図)

正解図の▲6三香で後手は受けに困っています。△同銀なら▲6一飛成が厳しいですし、△7一金(途中図)なら有力な攻め筋がいくつかあります。

片美濃囲いの崩し方④(途中図)

途中図から、①▲6二香成△同金▲7一銀△9二玉▲6二銀成(変化図1)の攻め方は有力です。駒得をしながらの自然な攻めで、相手に渡す駒も香車のみです。ただし、変化図1の局面は詰めろではないので、そこだけは注意が必要です。

ちなみに、もし問題図で▲2一飛の代わりに▲4一龍だったとすると、(▲4一龍型の)変化図1で▲8二金△同玉▲7二成銀△同玉▲5二竜以下の詰み筋があります。

片美濃囲いの崩し方④(変化図1)

途中図から、②▲6二銀(変化図2)の攻めも有力です。以下△同金▲同香成で受けが難しい形になります。この攻め方だと、相手に銀の持ち駒を渡してしまいますが、詰めろの連続で寄せられるのがメリットです。

片美濃囲いの崩し方④(変化図2)

途中図では、③▲同飛成△同玉▲6二金△8二玉▲7一銀△9二玉▲7二金(変化図3)と、いきなり飛車を切ってしまう攻め筋もあります。銀は渡せないけれど、飛車なら大丈夫という場合なら有力です。

片美濃囲いの崩し方④(変化図3)

途中図では、有力な攻め方がいくつもあってどれでも良さそうですが、自玉の安全度や渡せる駒を考えて攻め方を選ぶことが大事です。

問題図に戻って、△6四歩型の片美濃囲いは▲6三香の筋があるので、横からの攻めに対してやや弱体化しています。また持ち駒によっては、▲6三桂と打って7一の地点を狙う攻め筋もあります。片美濃囲いの6三の空間には、桂香を打つと効果的な場合が多いので覚えておくと役立ちます。

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横からの攻め⑤

<問題5>
片美濃囲いの崩し方⑤

<ヒント>
前問との違いは飛車の位置です。二段飛車でも厳しい攻めがあります。

 

<答え>

正解:▲6三香(正解図)

片美濃囲いの崩し方⑤(正解図)

以下、△7一金なら▲6二銀が詰めろ、△5一金なら▲6二香成が詰めろで攻めが続きます。二段飛車のにらみで、正解図の▲6三香を△同銀と取れないのがポイントです。

持ち駒が「銀香」の場合は、前問の一段飛車でも、本問の二段飛車でも厳しい攻めがあります。ただし、やはり6三に香車を打つ空間がないと攻めが成立しません。同じ片美濃囲いでも、わずかな歩の形の違いが大きな差を生むという例です。

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横からの攻め⑥

<問題6>
片美濃囲いの崩し方⑥

<ヒント>
三手目に気付きにくい好手があります。

 

<答え>

正解手順:▲6二香△7一金▲5三角(正解図)

片美濃囲いの崩し方⑥(正解図)

初手は▲6二香で、以下△同金なら▲7一角△9二玉▲6二角成があるので、▲6二香に対しては△7一金とかわします。

三手目に、香車のかげに▲5三角(正解図)と打つ手が気付きにくい好手で、片美濃崩しの手筋として非常に有名な攻め方です。

正解図で実は後手玉が詰めろとなっており、次に▲7一龍△同玉▲6一香成(途中図)△8二玉▲7一角成△9二玉▲8二金△9三玉▲7二金△8四玉▲7五銀(詰め上がり図)までの詰みがあります。

片美濃囲いの崩し方⑥(途中図)

途中図での▲6一香成の両王手がポイントで、△同玉と取れば▲6二金の頭金で詰んでしまうという仕組みです。

片美濃囲いの崩し方⑥(詰め上がり図)

正解手順の攻めは非常に受けづらいです。正解図から後手が受けるなら△6二金▲同角成△6一香という頑張りはありますが、以下▲同馬△同銀▲同龍の詰めろで受けが困難です。

なお、もしも先手の龍が▲4一龍ではなく▲2一龍などの場合は、初手の▲6二香に対して△7一金ではなく△5二金(参考図)とかわした方が粘りがあります。しかし、①▲7一角△9二玉を決めてから▲4一龍で金を狙う手や、②▲6一香成として次に▲7一角や▲6二成香を狙う筋、などがあるので先手の攻めが続く形です。

片美濃囲いの崩し方⑥(参考図)

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コビン攻め①

<問題7>
片美濃囲いの崩し方⑦

<ヒント>
3手詰めです。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△7一玉▲8二金(詰め上がり図)までの即詰みです。

片美濃囲いの崩し方⑦(詰め上がり図)

桂馬を活用した3手詰です。初手の▲7四桂は、8二の玉に王手をするのと同時に、6二の逃げ道をふさいでいます。片美濃囲い(美濃囲い)に対する▲7四桂は急所中の急所の筋です。

片美濃囲いは△7三桂と跳ねると囲いが弱体化します。△7四歩の守りがある場合は、▲8六桂(参考図)と控えて打って、次の▲7四桂を狙うのも実戦でよく現れる手筋です。

片美濃囲いの崩し方⑦(参考図)

ただし、7三の地点に歩がある普通の片美濃囲いに対しては、▲7四桂を△同歩と取られてしまいます。したがって、本問のような筋を実現するためには工夫が必要です。

その工夫については次問以降で現れます。

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コビン攻め②

<問題8>
片美濃囲いの崩し方⑧

<ヒント>
角と桂馬のコンビネーションの手筋で、後手玉に詰みがあります。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△9二玉▲8二金(詰め上がり図)までの3手詰みです。

片美濃囲いの崩し方⑧(詰め上がり図)

片美濃崩し(美濃崩し)の最も代表的な攻め方の一つです。

初手▲7四桂の王手が正解です。7三の歩で取られてしまいそうですが、5五角のにらみで▲7四桂を△同歩と取れないのがポイントです(△同歩とすると角で玉を取られてしまいます。)

▲7四桂に対して、△9二玉でも△7一玉でも▲8二金までの即詰みです。△7一玉の場合は、▲4四角でも詰みとなります。

このように、角と桂馬のコンビネーションは片美濃崩しの強烈な手筋です。片美濃囲いの金銀には触らずに、桂馬で王手をかけて一気に寄せることができます。

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コビン攻め③

<問題9>
片美濃囲いの崩し方⑨

<ヒント>
後手玉に必死をかけることができます。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△9二玉▲8二金△同金▲7一角(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑨(成功図)

前問のような▲7四桂△9二玉▲8二金の筋を警戒して、後手が△7一金で8二の地点を強化してきた場合の攻め方です。

成功図の▲7一角で、後手玉には必死がかかっています。次の▲8二角成の詰みを防ぐ手段がありません。△7四歩と桂馬をはずしても、5五角の利きが8二まで通ってくるので▲8二角成までの詰みとなります。

このように、後手の△7一金の受けに対しても攻め切る順があります。ただし、金の持ち駒を渡せない場合は、正解手順の攻めができません。その場合に、問題図から▲7四桂△9二玉▲5三角(変化図)という攻めは有力です。

片美濃囲いの崩し方⑨(変化図)

変化図は詰めろではありませんが、次の▲7一角成の必死を狙っています。△7四歩と桂馬を取られても、5五角の利きが通るので▲7一角成でやはり必死となります。

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コビン攻め④

<問題10>
片美濃囲いの崩し方⑩

<ヒント>
王手飛車が狙い筋ですが、手順前後には要注意です。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△同歩▲5五角(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑩(成功図)

問題図では、いきなり▲7四桂と打つ手があります。△同歩と取らせて▲5五角(成功図)の王手飛車が実現します。▲7四桂に対して△同歩以外なら、▲8二金で即詰みです。

片美濃囲いに対して角と桂馬の持ち駒があるときは、▲7四桂から両取りの狙いがあります。この手筋は、盤面に角がなくてもいきなり成立するので要注意です。角のラインに浮き駒がないかどうか、常に気を配る必要があります。

 

ただし、先に▲5五角を打つのは手順前後で失敗します。▲5五角△2四飛(失敗図)で飛車の横利きを利用されて受けられて、▲7四桂には△同飛と取られてしまいます。

片美濃囲いの崩し方⑩(失敗図)

ちなみに、下の参考図(△3四歩に注目)のように飛車の横利きで受けられない場合は、先に▲5五角と打つ方が勝ります。なぜなら桂馬を渡さないで済むからです。▲7四桂△同歩▲5五角だと飛桂交換ですが、先に▲5五角と打てば飛車をタダ取りできます。

片美濃囲いの崩し方⑩(参考図)

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コビン攻め⑤

<問題11>
片美濃囲いの崩し方⑪

<ヒント>
長手数ですが即詰みがあります。最初の3手の発見が大事です。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂打△同歩▲同桂(正解図)

片美濃囲いの崩し方⑪(正解図)

▲7四桂打△同歩▲同桂(正解図)が継ぎ桂の手筋です。以下、即詰みがあります。

正解図から△9二玉▲9三銀△同玉▲8二角△9二玉▲9一角成△9三玉▲8二馬△8四玉▲7五金(詰め上がり図)までの詰みです。

片美濃囲いの崩し方⑪(詰め上がり図)

正解図で△7三玉から上部に脱出しようとしても、▲8二角△7四玉▲7五金までの即詰みです。▲8二角で6四からの脱出ルートをふさげるのがポイントです。

ちなみに、持ち駒は「角金桂香」などでも同じ手順で詰みがあります。

 

▲7四桂の王手の筋で片美濃囲いを攻めるテクニックは、次の3パターンにまとめることができます。

①角のにらみで▲7四桂を取れないようにする。(問題8問題9
②▲7四桂から両取りをかける。(問題10
③▲7四桂△同歩▲同桂の継ぎ桂の手筋。(本問)

これらの3種類のパターンで覚えておくと、片美濃囲い(美濃囲い)に対する▲7四桂の攻め筋を理解しやすくなります。

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端攻め①

<問題12>
片美濃囲いの崩し方⑫

<ヒント>
持ち駒をすべて使って端の香車を狙います。

 

<答え>

正解手順:▲9五歩△同歩▲9二歩△同香▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑫(成功図)

端攻めで一番効果的な駒は桂馬です。

9四の地点まで守りの香車をおびき寄せてからの▲8六桂が端攻めの基本手筋です。次の▲9四桂が、香車を取りながらの王手で非常に厳しい狙いとなります。分かっていても後手には適当な受けの手段がありません。

なお、6六の角が9三の地点に利いていないと、▲9二歩や▲9三歩に対して△同玉と頑張ることができます。後手は怖い形ですが、当面の駒損や囲いの崩壊は避けられます。

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端攻め②

<問題13>
片美濃囲いの崩し方⑬

<ヒント>
「桂先の銀」の受けの手筋に要注意です。

 

<答え>

正解手順:▲9五歩△同歩▲9三歩△同香▲8六桂△8五銀▲7七桂△8六銀▲同歩(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑬(成功図)

前問と盤面は全く同じですが、互いの持ち駒が違います。先手は歩の枚数が1枚少なく、後手は持ち駒の銀を守りに使えます。前問よりも攻めの条件が悪いので、先手の攻め方に工夫が求められます。

端歩を突き捨てた後、▲9二歩と叩くと歩の枚数が足りなくなるので、▲9三歩と垂らして歩を節約するのが最初のポイントです。

次に、▲9四歩と叩く前に、▲8六桂(途中図1)を先に打つのが急所です。

片美濃囲いの崩し方⑬(途中図1)

後手は△8五銀の「桂先の銀」で受けますが、▲7七桂(途中図2)と自陣の桂馬を攻めに活用するのが狙いの一手です。

片美濃囲いの崩し方⑬(途中図2)

銀が逃げると▲9四歩が厳しいので、△8六銀と桂馬を食いちぎるのが最善の受けです。

成功図では、銀桂交換の駒得が一つの成果です。さらに、次の▲8五桂が厳しい狙いとして残っています。

手順中の▲8六桂の前に▲9四歩の叩きを入れていると、成功図まで進んだときに▲8五桂が香車に当たらないので攻めが甘くなります。

本問のように、桂馬1枚と歩2枚があれば、片美濃囲い(美濃囲い、高美濃囲い)への端攻めは成立する場合が多いです。

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端攻め③

<問題14>
片美濃囲いの崩し方⑭

<ヒント>
7一からの逃走ルートがふさがれていると、逆側からの攻めが非常に速くなります。

 

<答え>

正解手順:▲9五歩△同歩▲9三歩(正解図)

片美濃囲いの崩し方⑭(正解図)

端攻めの基本的な手筋としては前問と同じで、端歩を突き捨ててから▲9三歩と垂らします。注目して欲しいのは、正解図の▲9三歩が詰めろになっていることです。

後手が放置すると、▲9四桂△9三玉▲8二銀△9四玉▲9五香△同玉▲8六角成△8四玉▲8五金(詰め上がり図)までの詰みがあります。

片美濃囲いの崩し方⑭(詰め上がり図)

正解図の▲9三歩に対して、△同香▲9四歩△同香▲8六桂(成功図)と進んだ局面も、次に▲9四桂からの詰めろになっています。こうなると端攻めが成功しています。

片美濃囲いの崩し方⑭(成功図)

このように、片美濃囲い(美濃囲い、高美濃囲い)に対する端攻めは、非常にスピード感があります。特に、玉が7一に逃げられない場合は、いきなり詰めろがかかることがあります。

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端攻め④

<問題15>
片美濃囲いの崩し方⑮

<ヒント>
持ち駒に桂馬はありませんが、自陣の桂馬を活用できます。

 

<答え>

正解手順:▲9四歩△同歩▲9三歩△同香▲8五桂(正解図)

片美濃囲いの崩し方⑮(正解図)

角と桂馬で9三の地点を狙います。正解図では、次に▲9三桂成△同桂▲9四香の攻めがあり、端攻めが成立しています。すぐに端が破れる形ではありませんが、一定の成果を上げています。

正解図から後手が端を放置した場合の一例として、▲9三桂成△同桂▲9四香△9二歩▲9九香△8一桂(変化図1)という展開が考えられます。変化図1では、いつでも桂馬を手に入れられますし、持ち駒が入れば▲9三香成△同歩▲同香成△同桂▲9四桂などの攻めが厳しくなります。

片美濃囲いの崩し方⑮(変化図1)

後手としては、正解図から△8四歩▲同角△8三銀▲6六角△8四歩▲9三桂成△同桂(変化図2)のような受けを選ぶことも考えられます。金銀の連結がなくなって陣形はかなり乱れますが、△8四歩→△8三銀が受けの手筋で、守りの銀を端の応援に行かせることができます。

片美濃囲いの崩し方⑮(変化図2)

これまでの問題では、持ち駒の桂馬が端攻めの鍵となっていました。しかし、持ち駒に桂馬がない場合でも、端歩を突き越していれば、自陣の桂馬を活用した端攻めが可能です。端歩を突き越していると、最後の▲8五桂に対して△9四香の受け方ができないのがポイントです。

ちなみに、先手の持ち駒に歩がない場合でも、問題図から単に▲8五桂と跳ねて、次に▲9三桂成を狙う攻め筋は有力です。特に、後手が歩切れの場合は受けづらい攻め方です。

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玉頭攻め①

<問題16>
片美濃囲いの崩し方⑯

<ヒント>
「敵の打ちたい所へ打て」の格言通りの攻め方です。

 

<答え>

正解手順:▲8四歩△同歩▲8三歩△同銀▲8四銀△同銀▲8三歩△同玉▲8四飛(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑯(成功図)

問題図で、単純に▲8四歩△同歩▲同銀と銀を進出させると、△8三歩(失敗図)と受けられて攻めが失敗します。

片美濃囲いの崩し方⑯(失敗図)

「敵の打ちたい所へ打て」で、▲8四歩△同歩に▲8三歩(途中図1)と叩くのが急所の一手です。以下、△同銀▲8四銀と進むと、叩きの歩の効果で銀交換できる形になります。

片美濃囲いの崩し方⑯(途中図1)

途中図1から△8三同銀▲8四銀△同銀(途中図2)の局面で、再度の▲8三歩の叩きが強烈です。以下、△同玉▲8四飛(成功図)で8筋が突破できる形で、先手の攻めは大成功です。

片美濃囲いの崩し方⑯(途中図2)

二度目の▲8三歩を打たずに、途中図2で単に▲同飛と銀を取りかえすと、以下△8三歩と受けられます。攻めの銀と守りの銀を交換しているので、一定の成果は上げていますが、8筋を突破できる正解手順と比べるとはっきりと劣ります。

ちなみに、この問題のポイントは「8四の地点で勝負する」ことです。問題図で、先手の攻め駒(飛車、角、銀)の利きが集まっているのが8四の地点です。二度の▲8三歩の叩きによって、相手の駒を8三までおびき寄せ、8四の地点の数の優位性を生かしています。

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玉頭攻め②

<問題17>
片美濃囲いの崩し方⑰

<ヒント>
持ち駒の角を使って単純な数の攻めを狙います。

 

<答え>

正解:▲5六角(正解図)

片美濃囲いの崩し方⑰(正解図)

▲5六角の狙いは、次の▲8四歩△同歩▲同銀(成功図)の玉頭攻めです。相振り飛車でよく現れる美濃崩しの理想型の一つです。

片美濃囲いの崩し方⑰(成功図)

8三の地点の守備駒は玉と銀の二枚だけなので、飛車・角・銀の三枚で攻めれば受けがなくなります。成功図以下、△8三歩と受けても▲同銀成△同銀▲同角成(同飛成)で突破されてしまうので、受けになっていません。

数の攻めは単純ですが、単純であるがゆえに受けづらいことも多いです。持ち駒に角があると、筋違い角で玉頭の8三に利かせられるのがポイントです。

前問では、8四の地点に攻め駒の利きが集まっていましたが、本問では8三の地点に攻め駒の利きを集めています。8三はまさに玉頭なので、より直接的で厳しい攻め方です。

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玉頭攻め③

<問題18>
片美濃囲いの崩し方⑱

<ヒント>
手筋を駆使して5五の銀に狙いをつけてください。

 

<答え>

正解手順:▲8四歩△同歩▲8五歩△同歩▲同飛(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑱(成功図)

十字飛車をにらんで、▲8四歩△同歩▲8五歩の継ぎ歩が正解です。成功図では、王手銀取りが決まっています。

後手としては、▲8四歩か▲8五歩に手抜きをしたいのですが、▲8四歩を手抜くと次に▲8三歩成△同銀▲8四歩△7二銀(変化図)で玉頭に大きな拠点を作られます。

片美濃囲いの崩し方⑱(変化図)

▲8五歩を手抜いても、次に▲8四歩と取り込まれると同じ形になります。ただし、一手の違いがあるので、後手は▲8四歩に手抜くよりも▲8五歩の瞬間に手抜いた方が得です。

しかし、いずれの展開でも先手は大きなポイントを上げることができ、継ぎ歩の攻めは成立しています。

ちなみに、四段目に後手の浮き駒がある場合(△5四銀など)でも▲8四歩と合わせて十字飛車を狙う筋があります。この場合は、持ち駒に歩が1枚あれば成立します。

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コンビネーションの攻め①

<問題19>
片美濃囲いの崩し方⑲

<ヒント>
横からの攻めとコビン攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△9二玉▲6一飛成(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑲(成功図)

コビン攻めの基本手筋の▲7四桂から入ります。△7一玉なら▲4四角でも▲6一飛成でも詰みなので、△9二玉と逃げる一手です。そこで▲6一飛成(成功図)と金を取れば、次に▲8二金と▲7二龍があるので後手玉は受けなしとなります。

この問題では、横からの攻めとコビン攻めを組み合わせて、片美濃囲いを攻略しています。

 

ちなみに、問題図で単に▲6一飛成(変化図)も有力です。△同銀と取れば▲7四桂と打って、どこへ逃げても▲8二金までの詰みです。

片美濃囲いの崩し方⑲(変化図)

ただし、▲6一飛成を先にする場合、もし▲7四桂からの詰み筋を受けられると、龍取りが残ってしまうので注意が必要です。たとえば、変化図では△8四歩と逃げ道を空けるような手が気になります。

▲7四桂を先にすれば、成功図で▲8二金と▲7二龍の両方が残るので、後手に適当な受けはありません。

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コンビネーションの攻め②

<問題20>
片美濃囲いの崩し方⑳

<ヒント>
横からの攻めと端攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解手順:▲9五歩△同歩▲6二香△7一金▲9二歩△同香▲9一銀△同玉▲7一飛成(成功図)

片美濃囲いの崩し方⑳(成功図)

横からの攻めと端攻めのコンビネーションで片美濃囲いを攻略します。

問題図では、▲6二香△同金▲7一銀という横からの攻め筋が見えます。しかし、▲6二香に△7一金(失敗図)とかわされた時に、攻めが息切れしてしまいます。

片美濃囲いの崩し方⑳(失敗図)

正解手順では、先に▲9五歩△同歩と突き捨てて、端に味を付けてから▲6二香を狙います。

同じように△7一金とかわされた時に、あらかじめ端歩を突き捨ててあると、▲9二歩△同香▲9一銀(途中図)の送りの手筋で攻め続けることができます。

片美濃囲いの崩し方⑳(途中図)

途中図から△同玉▲7一飛成(成功図)と金を取って攻めが成功します。以下、△8二銀と受けるしかありませんが、▲7二龍と銀を取りながら自然に攻めが続いて好調です。

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コンビネーションの攻め③

<問題21>
片美濃囲いの崩し方(21)

<ヒント>
前問と同じく、横からの攻めと端攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解手順:▲6二香△7一金▲9四桂△同香▲9一銀△同玉▲7一飛成(成功図)

片美濃囲いの崩し方(21)(成功図)

前問と同じ発想の攻め筋ですが、本問の方がスピード感のある攻め方です。

▲6二香△7一金の時に、いきなり▲9四桂(途中図)と王手で跳ねる手が成立します。△同香と取りますが、9一の地点に空間ができるので、▲9一銀の送りの手筋が実現します。

片美濃囲いの崩し方(21)(途中図)

成功図では、次に▲8二金の詰めろと▲7二龍の銀取りの狙いがあります。

問題図の▲8六桂は、片美濃崩し(美濃崩し)で非常に効果的な桂馬です。もしも持ち駒に桂馬があれば▲7四桂打△同歩▲同桂の継ぎ桂の手筋がありますし、本問のような端攻めも狙っています。

通常は歩切れだと端攻めが成立しない場合が多いのですが、本問では横からの攻め(一段飛車の攻め)と組み合わせることによって、いきなりの▲9四桂の筋が実現しています。

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コンビネーションの攻め④

<問題22>
片美濃囲いの崩し方(22)

<ヒント>
コビン攻めと端攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解手順:▲7四歩△同歩▲7三歩△同桂▲9三桂成△同香▲9四歩(成功図)

片美濃囲いの崩し方(22)(成功図)

コビン攻めと端攻めのコンビネーションで片美濃囲いを崩します。8五の桂馬がコビンと端の両方に利いているのがポイントです。

最初に▲7四歩△同歩▲7三歩(途中図)でコビンの方から攻めます。▲7四歩の突き捨てによって、6六角の利きが端まで通ることに注目です。

片美濃囲いの崩し方(22)(途中図)

途中図で△7三同桂と取れば、▲同桂成ではなく▲9三桂成で端の方に桂馬を成り込みます。桂馬の跳ね違いの手筋で、△7三同桂と跳ねて弱体化した端を狙います。以下、成功図まで進むと端が完全に破れていて、攻めが成功しています。

後手としては銀桂交換を甘んじて、途中図の▲7三歩に△同銀と取った方がいいかもしれません。駒損の上に陣形がかなり乱れますが、すぐに端を破られることはありません。

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コンビネーションの攻め⑤

<問題23>
片美濃囲いの崩し方(23)

<ヒント>
横からの攻めと玉頭攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解:▲8三香成(正解図)
その他の有力手:▲7五桂(変化図)

片美濃囲いの崩し方(23)(正解図)

横からの攻めと玉頭攻めのコンビネーションで片美濃囲いを崩します。▲2一飛が△6一金をにらんでいるので、△7二銀が動けないことがポイントです。

問題図でいきなり▲8三香成(正解図)が成立します。以下、△同玉に▲7五桂(途中図)が厳しい一手です。

片美濃囲いの崩し方(23)(途中図)

途中図で△7四玉なら▲8五銀で詰み、その他の逃げ方で△8二玉以外だと▲6一飛成が詰めろで受けがなくなります。したがって、途中図では△8二玉が最も粘りのある逃げ方です。

△8二玉以下は、▲8三銀△同銀▲同桂成△同玉▲6一飛成(成功図)の攻め方が有力です。成功図から△7二銀と受けても、▲8四銀や▲8四金の送りの手筋から攻め切れます。ただし、銀・桂馬・香車(あるいは、金・桂馬・香車)の3枚の駒を後手に渡すことになります。

片美濃囲いの崩し方(23)(成功図)

ちなみに、問題図で▲7五桂(変化図)と打っておくのも有力です。正解図の▲8三香成よりは一手遅い攻めですが、後手に渡す駒が少なくなるというメリットがあります。すなわち、持ち駒を渡しづらい場合に、▲8三香成よりもリスクが少ない攻め方です。

片美濃囲いの崩し方(23)(変化図)

変化図の▲7五桂に対して△5一歩の底歩なら、▲2二飛成とじっと引いておいて、次の▲8三香成を狙います。後手に歩以外の持ち駒がないと、受けが難しい形です。

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問題だけのまとめ(ヒント・解答・解説なし)

片美濃崩しの問題だけのまとめです。

ヒント・解答・解説がすぐに見える位置にあると気になる方は、こちらをご覧ください。

 

片美濃囲いの崩し方①

 

片美濃囲いの崩し方②

 

片美濃囲いの崩し方③

 

片美濃囲いの崩し方④

 

片美濃囲いの崩し方⑤

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片美濃囲いの崩し方⑥

 

片美濃囲いの崩し方⑦

 

片美濃囲いの崩し方⑧

 

片美濃囲いの崩し方⑨

 

片美濃囲いの崩し方⑩

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片美濃囲いの崩し方⑪

 

片美濃囲いの崩し方⑫

 

片美濃囲いの崩し方⑬

 

片美濃囲いの崩し方⑭

 

片美濃囲いの崩し方⑮

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片美濃囲いの崩し方⑯

 

片美濃囲いの崩し方⑰

 

片美濃囲いの崩し方⑱

 

片美濃囲いの崩し方⑲

 

片美濃囲いの崩し方⑳

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片美濃囲いの崩し方(21)

 

片美濃囲いの崩し方(22)

 

片美濃囲いの崩し方(23)

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まとめ

美濃崩しの基礎となるのが、片美濃囲いの崩し方です。美濃囲いの崩し方や高美濃囲いの崩し方にも応用できます。

横、コビン、端、玉頭のそれぞれの攻め方にはパターンがあります。将棋が強くなるためには、攻め方のパターンをたくさん覚えることが大事です。

 

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美濃囲いをマスター! 美濃囲いの手順と25種類の崩し方(攻め方) https://shogijugem.com/minogakoi-4514 Sun, 19 Mar 2017 22:24:58 +0000 https://shogijugem.com/?p=4514 美濃囲いの「特徴」「手順」「崩し方(攻め方)」をまとめています。 将棋の初心者の方にとっては、まずは美濃囲いの基本的な組み方の手順が大事です。代表的な3種類の手順について解説しています。 美濃囲いを組めるようになったら、...

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美濃囲いの崩し方(4つのパターン)美濃囲い

美濃囲いの「特徴」「手順」「崩し方(攻め方)」をまとめています。

将棋の初心者の方にとっては、まずは美濃囲いの基本的な組み方の手順が大事です。代表的な3種類の手順について解説しています。

美濃囲いを組めるようになったら、次のステップは相手の美濃囲いを攻略することです。

この記事では、美濃囲いの崩し方(攻め方)の手筋を全25問の問題形式で解説しています。問題部分は、級位者から三段~四段ぐらいの有段者の方まで参考になると思います。

美濃囲いにかなり詳しくなれるので、ぜひ棋力アップに活用してください。

 

このページの目次

 

美濃囲いとは?(特徴、長所、短所)

美濃囲い

美濃囲いは、図のような金銀3枚の囲いです。

矢倉、穴熊と並んで、将棋で最も代表的な囲いです。
矢倉や穴熊よりも短い手数で簡単に作れる割にはしっかりした囲いです。

四間飛車、三間飛車など、振り飛車の戦法との相性が非常に良いです。
ただし、5八に飛車がある中飛車の場合は、5八の金が1枚少ない片美濃囲いになります。

相振り飛車でもよく使われる囲いです。
振り飛車党は、美濃囲いだけ覚えておけば十分に戦えます。

手数があまりかからないので、急戦に対応しやすいです。

また、発展性に優れた囲いで、持久戦にも強みがあります。
美濃囲いから、高美濃囲いや銀冠に発展させることができます。

このように、急戦にも強く、持久戦にも強いので、
振り飛車は美濃囲いだけでも十分に戦うことができます。

<美濃囲いの長所>
手数がかからない。(5~6手)
横からの攻めに強い。
飛車の攻めに強い。
振り飛車との相性が良い。

<美濃囲いの短所>
上部(玉頭、端、コビン)からの攻めに弱い。
角と桂馬の攻めに弱い。
王手がかかるとすぐに詰まされやすい。

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美濃囲いの手順

美濃囲いの組み方の手順は、だいたい3パターンあります。

1つ目の手順が最も基本的です。最初はこの手順だけ覚えておけば十分です。
2つ目の手順も実戦でよく現れます。
3つ目の手順はやや特殊で、藤井システムという戦法で使われます。

 

美濃囲いの組み方の手順(その1)

美濃囲いの最も基本的な手順です。次の4ステップで美濃囲いを組めます。

①飛車を左側に移動させる。
②玉を4八→3八→2八のルートで2八まで移動させる。
③銀を3八に真っ直ぐ上がる。
④左の金を5八に上がる。

②~④の手順を符号でまとめると、
▲4八玉→▲3八玉→▲2八玉→▲3八銀→▲5八金左(→▲1六歩)
の5手(6手)で完成することが分かります。

 

①~④の手順を一つずつ図で見ていくと、次のようになります。

 

①飛車を左側に移動させる。(四間飛車の場合は▲6八飛)

美濃囲いの手順(1-1)
上図は、初手から▲7六歩→▲6六歩で角道を止めているノーマル四間飛車の基本図です。
三間飛車の場合は▲7八飛とします。

 

②玉を4八→3八→2八のルートで2八まで移動させる。(▲4八玉→▲3八玉→▲2八玉)

美濃囲いの手順(1-2)

 

③銀を3八に真っ直ぐ上がる。(▲3八銀)

美濃囲いの手順(1-3)
上図で金銀2枚の片美濃囲いまでは完成です。

 

④左の金を5八に上がる。(▲5八金左)

美濃囲いの手順(1-4)
上図で美濃囲いは完成です。さらに、端歩(▲1六歩)を突くと玉が広くなります。

 

美濃囲い

<手順その1の利点>
▲2八玉の局面から穴熊囲いも選べる。
途中で角を自陣に打ち込まれるスキがない。

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美濃囲いの組み方の手順(その2)

2つ目の手順では、▲3八銀のタイミングが早くなります。
銀を上がってから、ジグザグに玉を移動させます。

①飛車を左側に移動させる。(四間飛車なら▲6八飛)
②玉を4八まで移動させる。(▲4八玉)
③銀を3八に真っ直ぐ上がって、先に片美濃囲いの骨格を作る。(▲3八銀)
④玉を3九→2八のジグザグのルートで入城させる。(▲3九玉→▲2八玉)
⑤左の金を5八に上がる。(▲5八金左)

②~⑤の手順を符号でまとめると、
▲4八玉→▲3八銀→▲3九玉→▲2八玉→▲5八金左(→▲1六歩)
となります。

 

①~⑤の手順を一つずつ図で見ていくと、次のようになります。

 

①飛車を左側に移動させる。(四間飛車の場合は▲6八飛)

美濃囲いの手順(2-1)
上図は、初手から▲7六歩→▲6六歩で角道を止めているノーマル四間飛車の基本図です。
三間飛車の場合は▲7八飛とします。

 

②玉を4八まで移動させる。(▲4八玉)

美濃囲いの手順(2-2)
ここまでは、「手順その1」と全く同じです。

 

③銀を3八に真っ直ぐ上がって、先に片美濃囲いの骨格を作る。(▲3八銀)

美濃囲いの手順(2-3)
ここが「手順その1」と違います。

 

④玉を3九→2八のジグザグのルートで入城させる。(▲3九玉→▲2八玉)

美濃囲いの手順(2-4)
上図で金銀2枚の片美濃囲いまでは完成です。
ここでは、「手順その1」と合流しています。

 

⑤左の金を5八に上がる。(▲5八金左)

美濃囲いの手順(2-5)
上図で美濃囲いは完成です。さらに、端歩(▲1六歩)を突くと玉が広くなります。

 

美濃囲い

<手順その2の利点>
▲3九玉型のままでも戦える。

<手順その2の欠点>
▲3八銀と上がった瞬間に、△2八角の打ち込みのスキができる。
▲3八銀を早めに上がるので、穴熊囲いを選べなくなる。

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美濃囲いの組み方の手順(その3)

3つ目の手順は、藤井システムという戦法で現れます。
しばらくは居玉のままで、最後に玉が美濃囲いに入城します。

①飛車を左側に移動させる。(四間飛車なら▲6八飛)
②居飛車穴熊を牽制して、早めに端歩を突く。(▲1六歩)
③居玉のままで、先に美濃囲いの金銀の形を作る。(▲3八銀→▲5八金)
④玉を4八→3九→2八のルートで入城させる。(▲4八玉→▲3九玉→▲2八玉)

②~④の手順を符号でまとめると、
▲1六歩→▲3八銀→▲5八金→▲4八玉→▲3九玉→▲2八玉
となります。

 

①~⑤の手順を一つずつ図で見ていくと、次のようになります。

 

①飛車を左側に移動させる。(四間飛車の場合は▲6八飛)

美濃囲いの手順(3-1)
上図は、初手から▲7六歩→▲6六歩で角道を止めているノーマル四間飛車の基本図です。
三間飛車の場合は▲7八飛とします。

 

②居飛車穴熊を牽制して、早めに端歩を突く。(▲1六歩)

美濃囲いの手順(3-2)
「手順その1」「その2」とは違って、端歩をかなり早く突きます。
端攻めを見せて居飛車穴熊を牽制するのが、藤井システムのポイントです。

 

③居玉のままで、先に美濃囲いの金銀の形を作る。(▲3八銀→▲5八金)

美濃囲いの手順(3-3)
この時点で、美濃囲いの金銀の形は完成しています。
相手が穴熊の場合は、居玉のままで戦うこともあります。

 

④玉を4八→3九→2八のルートで入城させる。(▲4八玉→▲3九玉→▲2八玉)

美濃囲いの手順(3-4)
上図で美濃囲いは完成です。

 

美濃囲い

<手順その3の利点>
玉の移動を後回しにできる。(藤井システムの場合)

<手順その3の欠点>
しばらくは居玉のままなので、急戦を仕掛けられると弱い。
▲3八銀を早めに上がるので、△2八角と打たれるスキができる。

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美濃囲いの崩し方(攻め方)のポイント

美濃囲いの崩し方(4つのパターン)

美濃囲いの崩し方は、攻めるエリアごとに、次のような4つのパターンがあります。

・横からの攻め(上図の水色のエリア)
・コビン攻め(
・端攻め(オレンジ
・玉頭攻め(黄緑

これらの4パターンで分類すると、美濃囲いの崩し方を手筋として覚えやすくなります。

また、いくつかのパターンを組み合わせた攻め方もあります。基本の4パターンをしっかり押さえておくと、コンビネーションの攻めを実戦で発見しやすくなります。

横からの攻め

 

美濃囲いの崩し方①(カラー)

美濃囲いは、横からの攻めに対して強い囲いです。

横からの攻めでは、7一の地点が急所で、▲7一銀や▲7一角の王手を狙います。(上図)

しかし、7一の地点は△6一金が守っていて、その△6一金をさらに△5二金が守っているので、美濃囲いの横の守りは非常に堅いです。

そこで、守りによく働いている2枚の金を、どうにかして無力化する必要があります。

コビン攻め

美濃囲いの崩し方⑩(カラー)

コビンとは、玉の斜め前のマス目のことです(上図では7三)。7三の地点を攻めたり、角の斜めのラインを利用して攻めることを「コビン攻め」と言います。

美濃囲いはコビン攻めに対して非常に弱いです。

特に、角と桂馬のコンビネーションで攻められると、手付かずの美濃囲いが一瞬で詰んでしまうこともあります。(上図)

端攻め

美濃囲いの崩し方⑲(カラー)

端攻めに対する弱さも、美濃囲いの大きな弱点です。

美濃囲いは、横は金銀3枚でしっかりと守っているのですが、端は桂香の2枚だけしか守っていません。

枚数だけではなく、桂馬と香車は後ろに後戻りできない駒なので、うまく弱点を突くと美濃囲いの端は簡単に破れます。(上図)

玉頭攻め

美濃囲いの崩し方(23)(カラー)

美濃囲いは玉頭攻めにも弱いです。

玉頭の8三の地点を守っているのは、△7二銀の1枚だけなので、横に比べると守りがかなり手薄になっています。

特に上図のように、一段飛車で△6一金をにらんでいる場合は、△7二銀が動くと金を取られてしまうので、玉頭攻めが非常に厳しくなります。玉頭攻めに横からの攻めを絡めたコンビネーションの攻めと言えます。

このように、「横」「コビン」「端」「玉頭」の4つのうちで、いくつかの攻めを組み合わせるコンビネーションも非常に効果的です。

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横からの攻めの手筋(全9問)

美濃囲い(横からの攻め)

美濃囲いを、横からの攻めの手筋で攻略する問題です。

ヒント・解答・解説がすぐに見える位置にあると気になる方は、問題だけをまとめた場所がありますので、そちらからご覧ください。

 

 

横からの攻めの手筋①

<問題1>

美濃囲いの崩し方①

<ヒント>
片美濃崩しと同じような攻め方が有効です。
△5二金に触らないで攻めることができます。

 

<答え>

正解手順:▲7一銀△9二玉▲6一飛成(成功図)

美濃囲いの崩し方①(成功図)

成功図以下、△6一同銀は▲8二金までの詰みです。初手の▲7一銀に対して△同金は、以下▲同角成△9二玉▲8二金までの詰みとなります。

一段飛車(▲2一飛)と角のライン(▲4四角)で遠くから7一の地点を攻めるパターンです。この攻め筋に対しては、5二の金が守りに役に立っていません。5二の金がない片美濃囲いに対しても同じ攻め筋が使えます。

また、△9四歩と端歩を突いていない美濃囲いの玉の狭さがよく分かります。もし端歩を突いてあれば、△9三玉と逃げることができます。

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横からの攻めの手筋②

<問題2>

美濃囲いの崩し方②

<ヒント>
歩の使い方がポイントです。
△5二金を無力化できれば、片美濃崩しの手筋が使えます。

 

<答え>

正解手順:▲4三歩△同金▲6二銀(成功図)

美濃囲いの崩し方②(成功図)

初手は▲4三歩の「垂らしの歩」が正解です。次の▲4二歩成が厳しいので△同金と取りますが、成功図の▲6二銀が片美濃崩しの有名な手筋となります。

▲6二銀は一見タダですが、△同金と取ると、以下▲7一角△9二玉▲6二角成(成功図2)で後手陣は完全に崩壊します。

美濃囲いの崩し方②(成功図2)

この問題のポイントは、垂らしの歩(▲4三歩)による5二の金の無力化です。美濃囲いの外側の守りの金(△5二金)が1枚少なくなると片美濃囲いになり、片美濃崩しの手筋が使えるようになります。片美濃崩しの手筋が使えるように、△5二金を無力化するのが美濃崩しのセオリーです。

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横からの攻めの手筋③

<問題3>

美濃囲いの崩し方③

<ヒント>
4四の角取りになっていますが、角を逃げる手は甘いです。
ここでは思い切った寄せがあります。

 

<答え>

正解手順:▲5三角成△同金▲6二銀(正解図)

美濃囲いの崩し方③(正解図)

正解図以下、△6二同金なら▲7一銀△9二玉▲6二銀成(成功図)で攻めが成功です。

美濃囲いの崩し方③(成功図)

本問のポイントは、前問と同じく5二の金の無力化です。問題図から▲5三角成△同金(途中図)と角を切った局面で、5二の金が上ずって受けに働かなくなっています。こうなると片美濃崩しと同じで、▲6二銀から手筋の寄せが使えます。

美濃囲いの崩し方③(途中図)

ただし、正解手順の攻めは「角銀」の2枚を渡すので、実戦では自玉の安全度にも気をつける必要があります。

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横からの攻めの手筋④

<問題4>

美濃囲いの崩し方④

<ヒント>
後手の持ち駒に歩があります。歩を使った受けには要注意です。

 

<答え>

正解手順:▲5三歩△6二金寄▲5一銀△5三金▲6二銀不成(成功図)

美濃囲いの崩し方④(成功図)

初手▲5三歩が正解です。①△同金なら守りの金が上ずるので、▲6二銀△同金▲7一角の片美濃崩しの手筋が使えます。▲5三歩に対して、②△5一金引なら▲5二銀が厳しい攻めとなります。

▲5三歩に対して、正解手順の③△6二金寄と抵抗する受けがありますが、そこで▲5一銀(途中図)が好手です。次に▲6二銀不成が厳しいので△5三金と逃げますが、そこで▲6二銀不成(成功図)と追撃すれば、片美濃崩しの形になって攻めが成功します。

美濃囲いの崩し方④(途中図)

なお、途中図で△同金▲同龍△6一金の受けなら▲6二金が好手で、以下△5一金と龍を取ると▲7一角△9二玉▲7二金で必死がかかります。

ちなみに、初手▲4四角も急所のラインですが、この場合は△5三歩あるいは△5一歩(参考図)の底歩で受けられます。参考図からは▲5四歩と垂らすような手が考えられますが、正解手順と比べて攻めが遅れます。なお後手が歩切れなら、初手▲4四角として、次に▲7一銀を狙うのも有力です。

美濃囲いの崩し方④(参考図)

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横からの攻めの手筋⑤

<問題5>

美濃囲いの崩し方⑤

<ヒント>
金底の歩に対しては、ある駒を使って金を攻めるのが急所です。

 

<答え>

正解:▲5九香(正解図)

美濃囲いの崩し方⑤(正解図)

金底の歩(△5二金△5一歩の形)に対しては香車で攻めるのがセオリーです。

正解図の▲5九香を放置すると、次に▲5二香成△同歩(△同金でも)▲7一銀からの詰み筋があります。

▲5九香に対して△6二金寄と逃げても、▲5一香成で攻めが成功です。以下、△7一金と逃げると▲5二成香(変化図)が好手です。△5二同金と取れば▲7一角成からの詰みです。

美濃囲いの崩し方⑤(変化図)

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横からの攻めの手筋⑥

<問題6>

美濃囲いの崩し方⑥

<ヒント>
確実な攻めを目指します。後手の応手によっては一気の寄せもあります。

 

<答え>

正解手順:▲4三歩△同金▲6三香△7一金▲6二香成(成功図)

美濃囲いの崩し方⑥(成功図)

▲4三歩の「と金」作りが正解です。▲4三歩に対して、「と金」作りを受けるなら①△同金、②△5一金寄のどちらかです。あるいは、③手抜き、も考えられます。

 

①△同金なら5二の金が無力化するので、あとは片美濃崩しと同じです。▲6三香(途中図)からの手筋の攻めが使えます。

美濃囲いの崩し方⑥(途中図)

途中図の▲6三香を△同銀なら▲6一龍で金を取れるので、△7一金とかわしますが、成功図の▲6二香成が軽妙手です。

▲6二香成以下、△同金▲7一銀△9二玉▲6二銀成で一気の寄せが決まります。

なお▲6二香成のところで、▲6二銀の攻めも有力ですし、▲7一同龍△同玉▲6二金△8二玉▲7一銀△9二玉▲7二金の攻め筋も有力です。ただし、これらの攻めは銀や飛車を渡すので、駒を渡したときの自玉の安全度を考える必要があります。

 

②△5一金寄は「と金」作りを受けた手ですが、それでも▲4二歩成(変化図)とする手があります。△同金寄は▲5一龍なので△同金上ですが、▲7一銀△9二玉の王手を決めてから▲4二龍と金を取る手が詰めろになります。この手順でも後手陣は崩壊します。

美濃囲いの崩し方⑥(変化図)

③手抜きは一番有力ですが、次の▲4二歩成からの「と金」攻めが確実な攻めとなります。

先手の攻めに対して、①や②のように受けると逆に攻めが速くなってしまいます。「何も受けずに手抜きが最善」という局面は意外と多いです。

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横からの攻めの手筋⑦

<問題7>

美濃囲いの崩し方⑦

<ヒント>
一気の寄せがあります。駒損を気にしないでください。

 

<答え>

正解:▲5二角成(正解図)

美濃囲いの崩し方⑦(正解図)

正解図以下、△同金と取れば▲7一銀△9二玉▲8二金(詰め上がり図)で詰みです。

美濃囲いの崩し方⑦(詰め上がり図)

詰め上がり図を見ると分かるように、5二の金を取って△同金となった形は、守りの金が2枚とも無力化しています。

美濃囲いに対する▲3四角(馬)のラインは急所です。△5二金と△6一金の両方をにらんでいるからです。

△5三歩がない場合(あるいは打てない場合)は、▲3四角のラインだけではなく▲4四角のラインも急所になります。状況に応じて角のラインを使い分けることが大事です。

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横からの攻めの手筋⑧

<問題8>

美濃囲いの崩し方⑧

<ヒント>
香車の上手い使い方があります。

 

<答え>

正解:▲6三香(正解図)

美濃囲いの崩し方⑧(正解図)

初手▲6三香が正解です。7二の銀と5二の金の両方が利いている焦点の香車で、△6三同銀なら▲6一龍で金を取れますし、△6三同金なら▲6一角成△同銀▲同龍の2枚換えで攻めが成功します。

正解図の▲6三香に対して、△5一金寄と頑張る手はありますが、それでも以下▲5二角成△同金▲6二金(変化図)で美濃囲いは崩壊します。

美濃囲いの崩し方⑧(変化図)

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横からの攻めの手筋⑨

<問題9>

美濃囲いの崩し方⑨

<ヒント>
△5二金を攻めるのが美濃崩しのセオリーの一つです。

 

<答え>

正解手順:▲4四桂△6二金寄▲5二歩(正解図)
その他の候補手:▲4三歩

美濃囲いの崩し方⑨(正解図)

前問のように、5二の金を攻めるのが美濃崩しの急所の一つです。5二の金を取れると、△同金としたときに6一の金まで上ずるので、囲いをかなり弱体化させることができます。

桂馬は▲4四桂の筋で5二の金を攻めやすい駒です。△6二金寄と逃げても、▲5二歩(正解図)と垂らして「と金」攻めを狙う手があります。次に▲5一歩成から守りの金を取れれば、攻めが成功します。

本問のように、桂馬は横からの攻めにも使えます。ただし、桂馬はコビン攻めや端攻めに使うと非常に強力な駒なので、状況に応じて最も効果的な使い方を考えたいです。

 

(その他の候補手)

問題図で▲4三歩の垂れ歩も有力です。△同金なら▲5五桂△5四金▲6三桂成(または▲6三桂不成)(参考図)という攻め筋があります。参考図で△6三同銀なら▲6一龍なので攻めは成功しています。

美濃囲いの崩し方⑨(参考図)

ただし、▲4三歩に手抜きをされた時に、▲4四桂よりも攻めが一手遅れるので、▲4四桂の方を正解手としています。

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コビン攻めの手筋(全9問)

美濃囲い(コビン攻め)

美濃囲いを、コビン攻めの手筋で攻略する問題です。

ヒント・解答・解説がすぐに見える位置にあると気になる方は、問題だけをまとめた場所がありますので、そちらからご覧ください。

 

コビン攻めの手筋①

<問題10>

美濃囲いの崩し方⑩

<ヒント>
3手詰です。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△9二玉▲8二金(詰め上がり図)

美濃囲いの崩し方⑩(詰め上がり図)

角と桂馬のコンビネーションの手筋で、即詰みがあります。

問題図から▲7四桂(途中図)がコビン攻めの有名な手筋です。角の間接的な利きが玉をにらんでいるので、△7四同歩とは取れません(玉を角で取られてしまいます)。

美濃囲いの崩し方⑩(途中図)

途中図の▲7四桂は王手をかけながら、6二の逃げ道をふさいでいます。△9二玉と逃げても△7一玉と逃げても、以下▲8二金(詰め上がり図)までの詰みとなります。

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コビン攻めの手筋②

<問題11>

美濃囲いの崩し方⑪

<ヒント>
手順前後に注意してください。

 

<答え>

正解手順:▲6一龍△同銀▲7四桂(成功図)

美濃囲いの崩し方⑪(成功図)

前問と異なり持ち駒に金がありませんが、6一の金が龍で取れる質駒になっています。

正解は問題図ですぐに▲6一龍と金を取る手で、△同銀なら▲7四桂(成功図)と桂馬を打って詰みます。以下、玉をどこへ逃げても▲8二金(詰め上がり図)までの即詰みです。

美濃囲いの崩し方⑪(詰め上がり図)

問題図で先に▲7四桂を打ってしまうと、△9二玉なら▲6一龍で良いのですが、△7一玉と逃げられると、以下▲6一龍△同玉(失敗図)で後手玉に詰みがなく失敗です。

美濃囲いの崩し方⑪(失敗図)

失敗図では、美濃囲いの5二金が受けによく働いています。片美濃囲いとの大きな違いです。

本問のように、先に▲7四桂か▲6一龍かの手順前後で、結果が大きく変わることがあるのが将棋の面白いところです。

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コビン攻めの手筋③

<問題12>

美濃囲いの崩し方⑫

<ヒント>
後手の持ち駒がないことに着目します。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△7一玉▲4四角(正解図)

美濃囲いの崩し方⑫(正解図)

まずは、角と桂馬のコンビネーションで▲7四桂と王手をします。先手の持ち駒が飛車なので△7一玉と逃げますが、以下▲4四角(正解図)と角を再活用する手で即詰みがあります。

正解図の▲4四角に対して、後手は持ち駒がないので△6二金寄か△6二金上と受けるしかありません。どちらでも、以下▲同角成△同金▲5一飛△6一金▲8二金(詰め上がり図)までの詰みとなります。

美濃囲いの崩し方⑫(詰め上がり図)

ただし、後手が歩を持っていると、正解図の▲4四角に対して△5三歩の合駒で受かるので注意が必要です。

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コビン攻めの手筋④

<問題13>

美濃囲いの崩し方⑬

<ヒント>
即詰みがあります。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂△9二玉▲8二金△9三玉▲6六角△8四歩▲8五桂(詰め上がり図)

美濃囲いの崩し方⑬(詰め上がり図)

問題図では、端に玉の逃げ道がありますが、この形は後手玉に即詰みがあります。

初手は▲7四桂の王手です。後手の応手として、①△7一玉、②△9三玉、③△9二玉の3通りの逃げ方があります。

①△7一玉なら、以下▲8二金までの3手詰です。

②△9三玉なら▲8五桂(変化図)と跳ねる手があり、以下△8四玉なら▲7五金、△9二玉なら▲8二金までの5手詰です。

美濃囲いの崩し方⑬(変化図)

③△9二玉が正解手順で、最長の詰め手数となります。以下、▲8二金△9三玉(途中図)のときに、再び角と桂馬のコンビネーションの手筋があります。すなわち、途中図から▲6六角△8四歩▲8五桂(詰め上がり図)までの7手詰です。

美濃囲いの崩し方⑬(途中図)

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コビン攻めの手筋⑤

<問題14>

美濃囲いの崩し方⑭

<ヒント>
難問。横からの攻めとコビン攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解手順:▲6四角△6三金▲6二歩△7一金▲7四桂△同金▲5三角成(正解図)

美濃囲いの崩し方⑭(正解図)

初手▲6四角で、次の▲7四桂△9二玉▲6一龍を狙います。▲6四角に対して△6三金と上がるのが手筋の受けですが、そこで▲6二歩(途中図)が急所の一手です。

美濃囲いの崩し方⑭(途中図)

途中図の▲6二歩に対して、①△同金引なら▲7四桂△9二玉▲6一龍、②△同金上なら▲7一銀があります。そこで③△7一金とかわしますが、以下▲7四桂△同金▲5三角成(正解図)が上手い手順で攻めが成功しています。

正解図の▲5三角成は、次に▲7一龍△同玉▲6一歩成(変化図)からの詰みを狙っています。変化図以下、△6一同玉なら▲6二金までの詰み、△8二玉なら▲7一馬△9二玉▲8二金までの詰みです。

美濃囲いの崩し方⑭(変化図)

正解図は非常に受けづらく、片美濃崩しの有名な形となっています。横からの攻めとコビン攻めを組み合わせることで、片美濃崩しの形にすることが狙いの問題でした。

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コビン攻めの手筋⑥

<問題15>

美濃囲いの崩し方⑮

<ヒント>
長手数の即詰みがあります。

 

<答え>

正解手順:▲7四桂打△同歩▲同桂(正解図)

美濃囲いの崩し方⑮(正解図)

▲7四桂打△同歩▲同桂の「継ぎ桂」の手筋が正解です。

正解図から、①△7一玉なら▲8二金で詰み、②△7三玉なら▲8二角△7四玉▲7五金で詰み、③△9三玉なら▲8二角△9二玉▲9三香△同桂▲9一角成△同玉▲8二金で詰み、④△9二玉と逃げるのが最長手数の詰みになります。

正解図以下、△9二玉▲9三香△同玉▲8二角△9二玉▲9一角成△9三玉▲8二馬△8四玉▲7五金(詰め上がり図)で、問題図から数えると13手詰になります。

美濃囲いの崩し方⑮(詰め上がり図)

▲7四桂打△同歩▲同桂の継ぎ桂は、美濃崩しの代表的な手筋の一つです。

美濃囲いは玉にヒモがついていない(玉のある8二のマス目に味方の駒の利きがない)ので、一度王手をかけられると8二の地点を制圧されて、連続して王手をかけられやすくなります。そのまま即詰みになる場合もあり、美濃囲いは王手に弱い囲いと言えます。

「継ぎ桂」「角と桂馬のコンビネーション」のコビン攻めの手筋は、王手に弱い美濃囲いの弱点を突いた攻め方です。

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コビン攻めの手筋⑦

<問題16>

美濃囲いの崩し方⑯

<ヒント>
前問の応用です。たった一手で後手玉に詰めろがかかります。

 

<答え>

正解:▲8六桂(正解図)(または▲6六桂)

美濃囲いの崩し方⑯(正解図)

盤面に何の手がかりもありませんが、▲8六桂がいきなり詰めろになります。▲6六桂でも同じく詰めろになります。

手順は前問とほぼ同じで、正解図から▲7四桂打△同歩▲同桂△9二玉▲9三銀打△同玉▲8二角△9二玉▲9一角成△9三玉▲8二馬△8四玉▲7五金(詰め上がり図)までです。

美濃囲いの崩し方⑯(詰め上がり図)

手順中の▲7四桂打が継ぎ桂と呼ばれる手筋で、△同歩▲同桂となってみると、後手玉が非常に狭いことが分かります。▲同桂に対して△7三玉と上部に逃げても、以下▲8二角△7四玉▲7五金で捕まってしまいます。

他の変化手順については、前問の解説を参考にしてください。持ち駒が香車から銀に変わっているだけで、詰み手順はほぼ同じです。

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コビン攻めの手筋⑧

<問題17>

美濃囲いの崩し方⑰

<ヒント>
横からの攻めや端攻めなども有力ですが、コビン攻めを考えてみてください。

 

<答え>

正解手順:▲7四歩△同歩▲7三歩△同桂▲8六桂(成功図)
その他の候補手:▲4四桂、▲9五歩

美濃囲いの崩し方⑰(成功図)

▲7四歩△同歩▲7三歩(途中図)のコビン攻めがあります。途中図の▲7三歩は「焦点の歩」の手筋で、①△同銀は▲6一龍があるので、②△同桂③△同玉のどちらかになります。

美濃囲いの崩し方⑰(途中図)

途中図で②△同桂の場合は、▲8六桂(成功図)の「控えの桂」が厳しく、次の▲7四桂の王手を防ぐ手段がありません。

途中図で③△同玉の場合は、▲8五桂(変化図)が厳しい一手です。

美濃囲いの崩し方⑰(変化図)

変化図から、(A)△8二玉なら▲8六桂や▲7三歩が厳しく、(B)△8四玉と上に逃げると▲6一龍が次の▲7五銀△同歩▲7四金△同玉▲7二龍以下の詰めろで、△6一同銀なら▲8六銀で必死となります。(C)△6二玉なら▲6六桂で次の▲7四桂が受かりません。

結局、途中図から△7三同玉の変化は▲8五桂で攻め切れます。

 

美濃囲いに対するコビン攻めのパターンとしては、前問までで紹介した「角と桂馬のコンビネーション」「桂馬2枚を使った継ぎ桂」の2種類が最も代表的です。

しかし、本問のように7筋に歩が利く場合は、7三の地点を攻めるのも有力です。途中図の「焦点の歩(▲7三歩)」を、どの駒でも取りづらいのが美濃囲いの泣き所です。

 

(その他の候補手)

問題図では、▲4四桂△6二金寄▲5二歩と横から攻めるのも有力です。また▲9五歩△同歩▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂などの端攻めも厳しいです。

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コビン攻めの手筋⑨

<問題18>

美濃囲いの崩し方⑱

<ヒント>
△7四歩型の美濃囲いの弱点を突きます。

 

<答え>

正解手順:▲8六桂△6三金▲4一角(正解図)

美濃囲いの崩し方⑱(正解図)

初手▲8六桂で、次の▲7四桂を狙います。△6三金は自然な受けですが、正解図の▲4一角が厳しい一手となります。

▲4一角は、次の▲7四桂と▲6三角成△同銀▲6一龍の2つの筋を狙っていて、ぴったりした受けがありません。両方の筋を受けるために△7三玉と頑張っても、今度は▲7五歩△同歩▲7四香(変化図)の攻めがあります。

美濃囲いの崩し方⑱(変化図)

本問のように、△7四歩を突いた美濃囲いに対しては、▲8六桂(控えの桂)から▲7四桂を狙うのが急所になります。ただし、7三に玉の逃げ道があり、普通の美濃囲いと比べて玉が広いので要注意です。

たとえば、問題図から▲8六桂△6三金▲7四桂△同金▲6二香△同金▲7一角△7三玉(失敗図)のような攻め方だと、7三の地点に玉が逃げられるので失敗します。

美濃囲いの崩し方⑱(失敗図)

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端攻めの手筋(全4問)

美濃囲い(端攻め)

美濃囲いを、端攻めの手筋で攻略する問題です。

ヒント・解答・解説がすぐに見える位置にあると気になる方は、問題だけをまとめた場所がありますので、そちらからご覧ください。

 

端攻めの手筋①

<問題19>

美濃囲いの崩し方⑲

<ヒント>
持ち駒の桂馬で王手を狙った端攻めです。

 

<答え>

正解:▲9五歩△同歩▲9二歩△同香▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂(正解図)

美濃囲いの崩し方⑲(正解図)

桂馬と歩3枚を使った端攻めの基本手筋です。正解図の▲8六桂は、次に▲9四桂で香車を取りながら王手をするのが狙いです。

▲9四桂の王手が実現したときに、△9二玉や△9一玉と端に逃げるのは非常に危険な形です。△7一玉(成功図)の方がまだ安全ですが、美濃囲いの定位置である8二から玉を追い出すことができたので、端攻めとしては成功しています。

美濃囲いの崩し方⑲(成功図)

美濃囲いは端が弱点で、端攻めに一番適した駒は桂馬です。美濃囲いは王手に弱い囲いなので、▲8六桂→▲9四桂の王手の筋が非常に厳しくなるからです。

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端攻めの手筋②

<問題20>

美濃囲いの崩し方⑳

<ヒント>
横からの攻めと端攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解手順:▲4三歩△同金▲9五歩△同歩▲6二香△7一金▲9二歩△同香▲9一角△同玉▲7一龍(成功図)

美濃囲いの崩し方⑳(成功図)

初手▲4三歩で「と金」攻めを狙います。次の▲4二歩成を嫌がり△4三同金(途中図)と取れば、守りの金1枚が受けに働かなくなります。こうなると、後手の囲いは片美濃囲いになるので、片美濃崩しの手筋を使うことができます。

美濃囲いの崩し方⑳(途中図)

途中図で、▲9五歩△同歩の突き捨てを入れてからの▲6二香が片美濃崩しの手筋です。△6二同金なら▲7一角があるので△7一金ですが、以下▲9二歩△同歩▲9一角(途中図2)が端攻めを絡めた送りの手筋です。以下△9一同玉▲7一龍(成功図)となれば、美濃崩しが成功します。

美濃囲いの崩し方⑳(途中図2)

本問では、横からの攻めに、端攻めを絡めて美濃囲いを攻略しています。▲9一角の送りの手筋を使うために、9一の地点にスペースを作ることが端攻めの狙いでした。

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端攻めの手筋③

<問題21>

美濃囲いの崩し方(21)

<ヒント>
銀を使った端攻めです。後手の応手によっては、一気の寄せもあります。

 

<答え>

正解手順:▲9五歩△同歩▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8五銀(正解図)

美濃囲いの崩し方(21)(正解図)

7筋の位を取って▲7六銀と支える形は玉頭位取り戦法で現れます。この形では、7六の銀を使った端攻めの手筋があります。

問題図から端歩を突き捨てて▲9三歩(途中図)と垂らします。この▲9三歩に対して①△同香、②△同桂、③△同玉、④手抜き、の4通りの応手が考えられます。

このうち、②△同桂だと▲9四歩と打って桂馬を取れますし、④手抜きなら次の▲9五香が厳しい一手となります。いずれも端攻めが成立しています。

美濃囲いの崩し方(21)(途中図)

途中図で①△同香は正解手順です。以下▲9四歩△同歩▲8五銀(正解図)で、銀を使った端攻めが成立します。正解図で無理に香車を守るなら△9三玉しかありませんが、以下▲6一飛成△同銀▲7一角(変化図)が鋭い攻め方です。

変化図では△8二飛と合駒するしかありませんが、以下▲9四銀△同玉▲8二角成(あるいは、▲9四銀△9二玉▲9五香など)で後手玉は寄っています。

したがって、正解図で△9三玉は危険なので、香車を守ることはできません。

美濃囲いの崩し方(21)(変化図)

途中図で③△同玉だと、先ほども出てきた▲6一飛成△同銀▲7一角(変化図2)の筋があります。変化図2でも△8二飛と合駒するしかなく、以下▲9五香△9四歩▲同香△同玉▲8二角成の送りの手筋で飛車を取れれば大成功です。

このように、端攻めに対して△9三同玉と取る形は非常に危険です。

ただし、もし横からの攻め(▲6一飛成△同銀▲7一角の筋など)がなく、端攻めだけの場合は、▲9三歩に対して△同玉と頑張って駒損を避ける指し方も考えられます。

美濃囲いの崩し方(21)(変化図2)

前問や本問のように、横からの攻めと端攻めのコンビネーションは、非常に効果的なことが多いです。挟み撃ちの形になりますし、送りの手筋が使いやすくなります。

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端攻めの手筋④

<問題22>

美濃囲いの崩し方(22)

<ヒント>
コビン攻めと端攻めのコンビネーションです。

 

<答え>

正解手順:▲8六桂△6三金▲9四桂△同香▲9五歩△同香▲同香(成功図)

美濃囲いの崩し方(22)(成功図)

問題図では歩切れですが、それでも端攻めがあります。

初手は▲8六桂が正解です。この桂馬は▲7四桂のコビン攻めを狙っているので、△6三金と受けるのが自然です。この時に、いきなり▲9四桂と逆側に跳ねて、端に桂馬をタダ捨てする手があります。普通に△同香と取りますが、以下▲9五歩△同香▲同香(成功図)で端が破れています。

成功図で△9三歩と受けても、▲同香成△同桂▲9四桂(変化図)が厳しい一手となります。変化図で△7一玉や△7三玉なら▲9三角成、△9二玉なら▲6一飛成△同銀▲8二金までの詰み筋があります。

美濃囲いの崩し方(22)(変化図)

本問の一つ目のポイントは、歩切れでも端攻めが成立する場合があるということです。特に、いきなり▲9四桂と捨てる筋は見落としやすいので要注意です。

二つ目のポイントは、▲8六桂がコビン攻めと端攻めの両方をにらんだ好位置ということです。二つの狙いがある手は受けづらく、▲7四桂のコビン攻めを受けられても、▲9四桂の端攻めが残っているという仕組みです。

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玉頭攻めの手筋(全3問)

美濃囲い(玉頭攻め)

美濃囲いを、玉頭攻めの手筋で攻略する問題です。

ヒント・解答・解説がすぐに見える位置にあると気になる方は、問題だけをまとめた場所がありますので、そちらからご覧ください。

 

玉頭攻めの手筋①

<問題23>

美濃囲いの崩し方(23)

<ヒント>
歩の手筋を上手く使って玉頭を攻めます。

 

<答え>

正解手順:▲8四歩△同歩▲8五歩△同歩▲8四歩(正解図)

美濃囲いの崩し方(23)(正解図)

8筋の位を取った形は、玉頭位取り戦法でよく現れます。玉頭位取り戦法では、美濃囲いの弱点である玉頭を攻めることができます。

問題図から、「継ぎ歩と垂れ歩の手筋」で玉頭攻めが成立します。手順は▲8四歩△同歩▲8五歩△同歩▲8四歩(正解図)です。

正解図では、次の▲8三銀の打ち込みが非常に厳しい狙いです。たとえば、▲8三銀△同銀▲同歩成△同玉▲6一飛成(変化図)のような筋が実現すると、後手玉に受けがなくなります。一段飛車が利いているので、7二の銀が動くと6一の金を取られてしまうのが後手陣の泣きどころです。

美濃囲いの崩し方(23)(変化図)

正解図で△6二金寄のような受けなら、▲8五銀で歩を補充しながら拠点を支えて好調です。

歩が3枚ある場合(本問では盤上の8五歩と持ち歩2枚)、常に継ぎ歩から垂れ歩の手筋があります。この手筋は応用範囲が広いので、覚えておくと役立ちます。

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玉頭攻めの手筋②

<問題24>

美濃囲いの崩し方(24)

<ヒント>
攻め駒が少ないので、すぐに後手陣を攻略することはできません。
しかし、香車と歩だけでも、後手陣の形を乱せる効果的な攻めがあります。

 

<答え>

正解手順:▲8四歩△同歩▲8五歩△同歩▲8四香(正解図)

美濃囲いの崩し方(24)(正解図)

問題図では、持ち駒に歩が1枚しかないので、前問のような「継ぎ歩から垂れ歩の手筋」は使えません。しかし、香車と歩1枚だけでも、相手からすると嫌味な攻め方があります。

正解は▲8四歩△同歩▲8五歩(途中図)の継ぎ歩で、以下△同歩なら▲8四香(正解図)と空いた空間に香車を打ちます。以下△8三歩の合駒は2歩で打てないので玉を逃げますが、▲8一香成と桂馬を取れば少し駒得ですし、後手陣を乱すことができます。

このような香車の使い方は、「歩の裏側に香車を打つ手筋」として知られています。歩の合駒ができないので、香車の攻めが厳しくなります。

美濃囲いの崩し方(24)(途中図)

なお、問題図で持ち駒の歩が2枚あれば、前問のように▲8四歩△同歩▲8五歩△同歩▲8四歩(参考図)として、玉頭に攻めの拠点を作っておく順も有力です。参考図では、次に▲8三香と打ち込む狙いがあります。

美濃囲いの崩し方(24)(参考図)

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玉頭攻めの手筋③

<問題25>

美濃囲いの崩し方(25)

<ヒント>
気付きにくい玉頭攻めがあります。

 

<答え>

正解手順:▲8四桂△同歩▲8三香△同玉▲6一龍△同銀▲7一角成(正解図)

美濃囲いの崩し方(25)(正解図)

問題図では、いきなり▲8四桂と歩頭の桂馬を打ち込む攻め筋があります。以下、△同歩▲8三香△同玉▲6一龍△同銀▲7一角成(正解図)が正解手順で、桂香飛の3枚を捨てる豪快な攻め方です。

正解図まで進むと、次の▲8二金△9三玉▲7二金△8三玉▲8二馬までの詰み筋や、▲6一馬と銀を取る手からの詰み筋などがあります。正解図で△6二飛(変化図)と自陣飛車を打って、▲8二金と▲6一馬の両方を受ける手がありそうですが、変化図から▲8四歩△同玉▲6二馬が飛車を取りながらの詰めろとなってしまいます。

美濃囲いの崩し方(25)(変化図)

問題図に戻って、▲8四歩△同歩▲8三香△同玉▲6一龍△同銀▲7一角成という正解手順によく似た攻め方も考えられます。こちらの手順の方が、桂馬を節約できるので一見良さそうですが、△6二飛(参考図)と頑張られると大変です。

美濃囲いの崩し方(25)(参考図)

ちなみに、問題図では▲5三香と横から攻める手や、▲7四歩△同歩▲8六桂とコビン攻めをする手もあります。

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問題だけのまとめ(ヒント・解答・解説なし)

美濃崩しの問題だけのまとめです。

ヒント・解答・解説がすぐに見える位置にあると気になる方は、こちらをご覧ください。

 

美濃囲いの崩し方①

 

美濃囲いの崩し方②

 

美濃囲いの崩し方③

 

美濃囲いの崩し方④

 

美濃囲いの崩し方⑤

 

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美濃囲いの崩し方⑥

 

美濃囲いの崩し方⑦

 

美濃囲いの崩し方⑧

 

美濃囲いの崩し方⑨

 

美濃囲いの崩し方⑩

 

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美濃囲いの崩し方⑪

 

美濃囲いの崩し方⑫

 

美濃囲いの崩し方⑬

 

美濃囲いの崩し方⑭

 

美濃囲いの崩し方⑮

 

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美濃囲いの崩し方⑯

 

美濃囲いの崩し方⑰

 

美濃囲いの崩し方⑱

 

美濃囲いの崩し方⑲

 

美濃囲いの崩し方⑳

 

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美濃囲いの崩し方(21)

 

美濃囲いの崩し方(22)

 

美濃囲いの崩し方(23)

 

美濃囲いの崩し方(24)

 

美濃囲いの崩し方(25)

 

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まとめ

美濃囲いの手順や崩し方にはパターンがあります。
パターンを覚えて、実戦で使ってみることを繰り返すのが上達の近道です。

 

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桂馬の複合手筋の研究:郷田真隆vs羽生善治の相掛かり戦 https://shogijugem.com/fukugo-tesuji-keima-1098 Sat, 07 May 2016 08:54:25 +0000 https://shogijugem.com/?p=1098 手筋とは駒を効果的に使うテクニックのことです。 プロの将棋では、手筋の組み合わせによって、非常に複雑な手順が盤上に現れます。本記事ではタイトル戦の大舞台で出現した、桂馬を活用した「複合手筋」を研究します。   ...

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手筋とは駒を効果的に使うテクニックのことです。

プロの将棋では、手筋の組み合わせによって、非常に複雑な手順が盤上に現れます。本記事ではタイトル戦の大舞台で出現した、桂馬を活用した「複合手筋」を研究します。

 

このページの目次

郷田真隆王将vs羽生善治名人の相掛かり戦のテーマ図

桂の基本的な手筋

  ・桂の両取り(桂のふんどし)

  ・控えの桂

  ・控えの桂 → 継ぎ桂(または、合わせの歩)

  ・桂を補充する手筋

桂馬の複合手筋「桂のふんどし+控えの桂」

基本手筋の組み合わせとして考える

「複合手筋」という思想

  ・「複合手筋」として認識することのメリット

  ・羽生善治さんの手筋本と垣間見える思想

  ・形による手筋の認識と言葉による手筋の認識


 

郷田真隆王将vs羽生善治名人の相掛かり戦のテーマ図

題材となるのは、2016年2月に行われたタイトル戦、第65期王将戦七番勝負第3局の▲郷田真隆王将vs△羽生善治名人の相掛かり戦です。(参考資料:将棋世界2016年4月号)

郷田真隆さんは相掛かり戦法を得意にしており、勝率が8割近くあるそうです。相掛かりは先手と後手の同意がないと成立しないので、後手番の羽生善治さんが相掛かりの注文を受けて立った形です。この将棋では、先手番の郷田さんが長考ののち序盤の早い段階から意欲的な工夫をします。後手番の羽生さんも長考の連続で対応し、非常に濃密な将棋となりました。

 

郷田真隆vs羽生善治の相掛かり戦のテーマ図

さて、本記事のテーマ図は△7四桂の局面です。

ここから後手の巧妙な攻めが決まり、先手陣が崩壊してしまいます。テーマ図の周辺での一連の手順は、桂の複合手筋を含めて、非常に精密に組み立てられていました。

複雑な手順ですぐに理解するのは難しいので、一つずつ解きほぐしていきたいと思います。


 

桂の基本的な手筋

まずは、桂馬の基本的な手筋をおさらいします。


 

桂の両取り(桂のふんどし)

桂の手筋として最も有名なのが桂の両取り(桂のふんどし)です(図1)。

図1.桂の両取り(桂のふんどし)図2.桂の利き

将棋では2つの狙いがある手が効果的です。将棋のルール上、一度に1手しかさせないので、2つの狙いを同時に防ぐのが難しい場合が多いからです。

桂は2つの離れたマス目に利きがあります(図2)。この2つの利きを活用して、2つの狙いを持たせることが桂の効果的な使い方になります。その典型例が、2つの駒を同時に「取り」にする桂の両取りです。

図1では▲5三桂で、4一の金取りと6一の金取りの両方を狙っています。後手は2つの狙いを同時に防ぐことができないので、どちらかの金を取ることができます。


 

控えの桂

桂の両取りがすぐに駒を取るのが狙いだとすると、控えの桂は次に厳しい手を狙う手筋です(図3)。

図3.控えの桂

桂を使ってすぐに両取りをかけられればいいのですが、実戦ではそのような状況ばかりではありません。

図3で、もし後手の3四歩がなければ、すぐに▲3四桂と打って両取りがかかります。▲2六桂の控えの桂は、振り飛車vs居飛車急戦の対抗型でよく現れる手筋で、次の▲3四桂を狙っています。

この場合、2二の角や4二の金を逃がす手はあるのですが、▲3四桂と跳ねられたときに、逃げていないもう片方の駒は当たりになります。先手の攻め駒次第では、たとえ両取りが実現しなくても▲3四桂が厳しい手になる場合がけっこうあります。また、△3三金や△3三玉で▲3四桂自体を防ぐ手は、陣形が乱れて危険な玉形になります。


 

控えの桂 → 継ぎ桂(または、合わせの歩)

控えの桂の一つのパターンとして、継ぎ桂(または、合わせの歩)が必要になる場合があります。

図4.控えの桂+継ぎ桂

図4は美濃崩しの手筋で有名な図です。後手陣には何も手が付いていないように見えますが、実は図4の▲8六桂の控えの桂で後手玉は詰めろになっています。具体的な手順は、▲7四桂打△同歩▲同桂△9二玉▲9三香△同玉▲8二角△9二玉▲9一角成△9三玉▲8二馬△8四玉▲7五金(図5)までの13手詰です。

図5.詰み上がりの図

上記の手順中の▲7四桂打が継ぎ桂と呼ばれる手筋です。桂を2枚使う手筋で、1枚目の桂を取られても、2枚目の桂が急所に跳ね出すことができます。「控えの桂→継ぎ桂」のように、2つの手筋を組み合わせて使うことはよくあります。

図6.控えの桂+合わせの歩

また、図6のように2枚目の桂がなくても、7筋に歩が利く場合には▲7四歩と合わせる手があります。△同歩なら▲同桂で王手が実現し、桂が1枚で済むので継ぎ桂よりも得です。このように、「控えの桂→合わせの歩」もよくある手筋の組み合わせです。

合わせの歩の場合は手抜きをされた場合が問題になりますが、次に▲7三歩成とすると何で取っても美濃囲いが乱れます。▲7三歩成△同銀▲7四歩とすれば、桂を足がかりにして歩の拠点を築くこともできます。


 

桂を補充する手筋

テーマ図から局面を少し巻き戻してみましょう。実は△7四桂の前にもう一つの桂馬の手筋が現れています。手筋と呼ぶには地味かもしれませんが、桂を補充する手筋です。

桂を補充する手筋

上図は自陣の3三の桂を△2五桂と跳ねた局面です。以下、▲4六角△3七桂成▲同角△7四桂(テーマ図)という流れでした。

自玉に近い駒は守備駒という認識で、攻め駒との交換は損であると考えてしまう場合が多いです。盲点になりやすい駒の補充方法と言えるでしょう。


 

桂馬の複合手筋「桂のふんどし+控えの桂」

さて、テーマ図(再掲)に戻ります。

 

郷田真隆vs羽生善治の相掛かり戦のテーマ図

テーマ図の△7四桂は、6六の銀に当たっています。以下、実戦は▲5五銀△8九歩成▲同飛△8六歩(下図)と進みます。

郷田真隆vs羽生善治の相掛かり戦(70手目)

△7四桂は両取りではないのですが、もう一つの狙いが△8九歩成~△8六歩でした。▲8六同歩とすると△同桂が7八の金取りで厳しく、先手陣を支えることはできないようです。こちらの狙いは、△8六歩の合わせの歩がクッションとして入っており、次に△8六同桂と跳ねたときに7八の金取りの厳しい手となるので、「控えの桂」の形となっています。

つまり、「6六の銀取り」と「次の7八の金取りを狙った控えの桂」の両者を天秤にかけた桂のふんどしと言えるわけです。「控えの桂の両取り」と呼びたいところですが、厳密には両取りではないので、「控えの桂のふんどし」とでも呼んでおきましょうか。

本譜の手順はある意味で、通常の両取りよりも効果的と言えます。というのは、△7四桂▲5五銀で守りの銀を遠くにどかしてから、もう一つの狙いである△8六歩を実現しているからです。△7四桂の6六の利きと8六の利きを両方とも生かす結果となっています。

「両取り逃げるべからず」の逆のような展開になってしまったわけです。

このような結果になりやすいのも「控えの桂のふんどし」の特徴と言えそうです。今すぐに厳しい手(6六の銀取り)と次に厳しい手(次に△8六桂と跳ねると7八の金取りが厳しい)の組み合わせとなっているので、手のスピードに時間差が生じています。すなわち、速い方の手を防ぐと、次に遅い方の手がやってくるという仕組みです。

実戦では△8六歩以下、▲7五歩△8五桂(下図)と進行します。

郷田真隆vs羽生善治の相掛かり戦(72手目)

先手は△8六歩に対して▲同歩とは取らず、開き直って▲7五歩から急所の桂を外しに行きました。しかし、上図の△8五桂からの手順も巧妙で先手陣は崩壊してしまいました。

具体的な手順としては、△8五桂以下、▲7四歩△7七桂成▲同金△8八銀▲7六金△8九銀不成▲7九銀△8八角(下図)です。

郷田真隆vs羽生善治の相掛かり戦(80手目)

捨て駒を何枚も使って、詰将棋を思わせるような華麗な寄せだと思います。


 

基本手筋の組み合わせとして考える

桂の補充も一つの手筋と考えると、テーマ図の周辺の一連の手順において、

・桂を補充する手筋
・桂のふんどし
・控えの桂
・成り捨ての歩
・合わせの歩

の5つの基本手筋を組み合わせています。

 

とても複雑な組み合わせなので、2つの基本手筋の組み合わせに分解して考えます。

・桂を補充する手筋 → 桂のふんどし
・桂を補充する手筋 → 控えの桂

は自然な流れでわかりやすいです。必要な桂馬を入手して、手筋を実行するという流れです。

・桂のふんどし + 控えの桂

プラス記号で表現しましたが、これは上記の矢印のように「順番に」実行するという手筋の組み合わせ方ではなく、「同時に」2つの手筋の要素を合わせ持っているという意味です。

・控えの桂 → 合わせの歩

合わせの歩が必要になるのは、控えの桂の一つのパターンです。素直に応じると▲同歩△同桂で、控えの桂の狙い(本譜では7八の金取りの狙い)が実現します。

・成り捨ての歩 → 合わせの歩

二歩は指せないので、邪魔な歩を成り捨ててから、合わせの歩の手筋を実行するという流れです。本譜では、△8九歩成▲同飛で玉飛接近の悪形にさせるという効果もあります。

 

これらの「2つの基本手筋の組み合わせ」を基礎として、さらにそれらを上手く組み合わせることにより、5つの手筋を内包した複雑な手順が盤上に実現しています。


 

「複合手筋」という思想

「複合手筋」という思想について考えてみましょう。本記事で研究した「桂のふんどし+控えの桂」も一つの複合手筋として捉えることができます。


 

「複合手筋」として認識することのメリット

「複合手筋」という言葉が一般的であるかはともかくとして、その考え方自体は目新しいものではありません。古くから「三歩あったら継ぎ歩に垂れ歩」と言われるように、継ぎ歩から垂れ歩という手筋の組み合わせ(複合手筋)は格言になるほど有名なものです。

 

「手筋はシンプルだからこそ価値がある、複合手筋まで手筋として認識する必要はない」という考え方もあります。すなわち、「継ぎ歩」や「垂れ歩」などのシンプルかつ重要な基本手筋のみをパターンとして把握して、あとはその場で組み合わせて考えればよいという思想です。

この考え方にも一理あります。基本手筋だけでも非常に多くの種類がありますので、さらに組み合わせるとなると複合手筋の種類は膨大になります。パターン化には、「パターンを増やしすぎると、パターン化することの意味が薄れる」という問題点があります。膨大なパターンを覚えるよりは、個々の問題を個別に対処した方がいい、ということになるからです。

 

しかし、あえて「複合手筋」として認識することのメリットを考えてみたいと思います。

「複合手筋」ではない基本的な手筋は広く認識されています。「継ぎ歩」「垂れ歩」「焦点の歩」「香の田楽刺し」「桂のふんどし」「桂先の銀」「銀の割り打ち」などの有名な手筋は、あまりにも定着しているので、これらの手筋が可能な局面が生じた瞬間に、とりあえず有力な候補手として頭の中に浮かんでしまうほどです。「桂を打たれたから、とりあえず桂先の銀の受けから考えてみようか」といった具合です。実際に「桂先の銀」を選ぶかどうかはともかく、真っ先に「桂先の銀」の筋が見えるのは、基本手筋として定着しているからです。

同じように、「複合手筋」を含むような複雑な手順についても、「とりあえずこの形は複合手筋がある」と一瞬で見えるようになれば、読みの精度や速さが上がるのではないでしょうか。

棋力が上がってくると、基本的な手筋については皆わかっていて、互いの読み筋に入っていることが多いです。差をつけるために、「複合手筋」として新たな手筋を増やしていくことも棋力アップの一つの方向性です。


 

羽生善治さんの手筋本と垣間見える思想

図7は有名な手筋本『羽生の法則1 歩の手筋(羽生善治著、2003年)』(文庫版第1巻 歩・金銀の手筋、2011年)に掲載されている局面です。

図7.手筋本『羽生の頭脳』

詳しい手順は本をご覧になっていただければと思いますが、「基本手筋」と呼ぶには少々複雑な手順です。一応、「焦点の歩」が主題となっていますが、「突き捨ての歩」「桂の両取り」などのいくつかの手筋が組み合わされています。扱っている駒も歩だけではなく、さまざまな駒が手順中に現れます。

しかし、手筋本の一項目として紹介しているということは、「このくらいの手順なら一つのパターンとして考えて構わない」ということです。意識的かどうかはわかりませんが、このような思想を見て取れます。比較的短い時間で膨大な読みをするためには、あるいは、読まなくても一瞬で判断できる局面を多くするためには、膨大なパターンを頭の中に入れておくことが重要でしょう。


 

形による手筋の認識と言葉による手筋の認識

もう一つ別の観点で考えてみましょう。

「複合手筋」という言葉を知らなくても、棋力が上がるにつれて、ある形を見た時に「これこれの有力な手順がある」と一瞬で見える範囲は広がります。しかし、「形や図面で認識する」と「言葉や論理や概念で認識する」というのは違います。人によってどちらかが得意という場合もあると思います。また、一つのものを両方の角度から認識するということにも意味があります。

少し話は脱線しますが、数学では「幾何」と「代数」の大きく2つに分けられます。簡単に言うと、「幾何」は図形の問題で、「代数」は方程式の問題です。そして、ある一つの問題を図形の問題として解くか、方程式の問題として解くか・・・実は、両方の視点から捉えることができる場合が非常に多いです。数学の問題では、「一見方程式に見える問題を、図形の問題として解くとあっさり解ける(あるいはその逆)」という趣向も多いです。

将棋の手筋に置き換えて考えてみると、「形から見えやすい手筋」と「言葉や論理から見えやすい手筋」の両方があると思います。片方だけではなく両方の視点から盤面を眺めることで、読み抜け防止や、気付きにくい手筋の発見に役立ちます。本記事で名付けた複合手筋「控えの桂のふんどし」も一つの言葉です。形から見えにくい場合でも、言葉をヒントとして手筋を発見できる場合もあるのではないでしょうか。

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