7-5. 敗因の分析 | じゅげむの将棋ブログ https://shogijugem.com 将棋の戦法や定跡のまとめ、囲い、格言、自戦記、ゆるゆる研究シリーズなど。 Wed, 28 Sep 2016 12:37:59 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.5.3 111067373 将棋の敗因の分析「序中盤で攻め筋の見落とし」 https://shogijugem.com/haiin-semesuji-miotoshi-1450 Thu, 12 May 2016 10:57:02 +0000 https://shogijugem.com/?p=1450 将棋の敗因分析シリーズで、今回の敗因は「序中盤で攻め筋の見落とし」です。早速ですが、図1での先手の攻め筋を考えてみてください。     このページの目次 ・「攻め筋の見落とし」のパターンは幅広い ・攻...

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将棋の敗因分析シリーズで、今回の敗因は「序中盤で攻め筋の見落とし」です。早速ですが、図1での先手の攻め筋を考えてみてください。

 

敗因の分析「攻め筋の見落とし」(図1)

 

このページの目次

「攻め筋の見落とし」のパターンは幅広い

攻める側だけに攻め筋が見えているアドバンテージ

  ・不利の度合い

対策と勉強法

  ・受けが苦手な人は・・・

「攻め筋の見落とし」の実戦例

  ・敗因の細分化と多面化


 

「攻め筋の見落とし」のパターンは幅広い

「攻め筋の見落とし」のパターンはさまざまです。

 

攻め筋の見落としは、序盤、中盤、終盤のすべてで起こりえます。序盤では、攻め筋の見落としがその後の駒組みに大きな影響を与える場合もありますし、終盤では、攻め筋どころか詰み筋の見落としが絡んでいる場合もあります。

 

また、攻める側が見落としている場合は、その攻め筋は盤上に現れないので「攻め筋の見送り」という結果になります。逆に、受ける側が見落としている場合は、その攻め筋は盤上に現れるので「攻め筋の見落とし」という結果になります。

 

このように「序盤」「中盤」「終盤」という分け方、または「攻める側」「受ける側」という分け方で違いがあるので、一口に「攻め筋の見落とし」と言っても、その状況には幅があります。


 

攻める側だけに攻め筋が見えているアドバンテージ

見落としていた攻め筋で攻められた状況を考えてみましょう。

 

この場合、相手にはその攻め筋が見えていて、自分には見えていなかった、ということになります。(攻め筋を「見送った」場合は、自分と相手の両方ともその筋が見えていなかった可能性があります。)

 

このような状況は、その攻め筋が見えている側に明らかなアドバンテージがあります。

 

攻める側が見えている場合は、その攻め筋を選ぶかどうかの選択権があります。選択権があって、その攻め筋を選ぶということは、その攻め筋が有力であるということです。一方で、見えていない側は、有力な攻め筋に対して、相手に指されて初めて気付くことになります。特に早指しの将棋では、短い時間の中で上手く対処できるかどうかが問題となるでしょう。気付いた時にはもはや手遅れというケースもありえます。


 

不利の度合い

どのような攻め筋を見落としていたかによって、不利の度合いは異なります。ものすごく強烈な攻め筋を見落とすと、そのまま潰されて敗勢に陥ることもあります。

 

「攻める側」と「受ける側」で、有力な攻め筋が見えていなかった場合のリスクが異なることには注意が必要です。

 

有力な攻め筋を「攻める側」が見えていなかった場合は、「攻め筋の見送り」となり、すぐに潰されるわけではないのでリスクは低めです。しかし、「受ける側」が見えていなかった場合は、「攻め筋の見落とし」となり、潰されたり駒損をしたりなどのリスクが高くなります。


 

対策と勉強法

有力な攻め筋がどのくらい見えるかどうかは、将棋の地力と直結しています。

 

その意味では、実戦、棋譜並べ、将棋観戦、定跡書(特に序中盤)、詰将棋(特に終盤)、手筋集、次の一手問題など、一般的な将棋の勉強法はすべて効果があると思います。

 

特にオススメなのは、手筋集、次の一手問題で、実戦でよく現れる攻め筋の基本パターンについて覚えておくことです。これらの勉強法は中盤をテーマにした問題も多いです。問題形式の方が、盤面で攻め筋を見つける訓練はしやすいと思います。


 

受けが苦手な人は・・・

先ほども述べたように、「受ける側」の方が見落としのリスクは高くなります。しかし、「攻める側」以上に「受ける側」が攻め筋を見えていないケースが多いように感じています。

 

盤面を逆向きにひっくり返して「攻める側」ならその攻め筋が簡単に見えるけれども、同じ攻め筋を「受ける側」だとなかなか見えないということも起こります。私はそのパターンが多く、攻めの棋力と受けの棋力に差があります。

 

なぜ、同じ攻め筋が「攻める側」だと見えるのに、「受ける側」だと見えないのでしょうか?

 

シンプルな理由の一つとして考えられるのは、逆向きの盤面に慣れていないということです。詰将棋、必至問題、次の一手問題など、市販の棋書では普通向きの問題が大半です。本を逆さまにして問題を解くという方法で簡単に解決できそうですが、そもそも逆さまにして解こうと思うかという問題もありますし、解説文などの文字が逆さまになると読むのに面倒臭いです。

 

しかし、本格的に弱点を克服しようと思ったときに、逆向きの盤面に慣れるという方法は有力だと思います。


 

攻め筋の見落としの実戦例

冒頭の図1はじゅげむの実戦からで、四間飛車vs三間飛車の相振り飛車の一局面です。先手がレーティング2200台の格上で、後手の私がレーティング2000ぐらいの対局です。

敗因の分析「攻め筋の見落とし」(図1)

6筋の歩交換に対して△6三歩と受けた局面ですが、ここで強烈な攻め筋があります。

実戦の進行は、▲5四飛△同歩▲2三銀(図2)

敗因の分析「攻め筋の見落とし」(図2)

飛車を切って、飛車角両取りの銀打ちです。先に飛車銀交換で駒損しているので、通常は図2から△4二飛▲2二銀成△同飛(変化図1)で駒の損得は飛車角交換で済むのですが、この場合は変化図1から▲4四角(変化図2)王手飛車が決まってしまいます。

敗因の分析「攻め筋の見落とし」(変化図1)敗因の分析「攻め筋の見落とし」(変化図2)

図2の▲2三銀に対する受けはなかなか難しいです。2二の角には飛車のヒモがついているので、3二の飛車の方を受けたいのですが、△4二飛と角にヒモを付けながら逃げると先ほどの王手飛車です。△4二金などで飛車にヒモを付ける手でも、▲2二銀成△同飛▲4四飛(変化図3)の王手飛車です。

敗因の分析「攻め筋の見落とし」(変化図3)

飛車にヒモを付けながら(3二に利かせながら)、王手飛車を防ぐ(4四に利かせる、または王手飛車のラインに駒を置く)必要があります。もし後手が銀を持っていれば△4三銀と打って耐えたいところですが、ないものはないです。あとは、△4二飛打、△3四飛打、あるいは△3三飛打の根性の自陣飛車です。

このうち△3四飛打(変化図4)には▲3二銀成や▲3四銀成で飛車を素直に取る手もありますが、▲4五銀(変化図5)という歩頭に銀を出る怖い手があります。△同歩なら▲2二銀成で飛車と角銀の二枚換えの駒損です。

敗因の分析「攻め筋の見落とし」(変化図4)敗因の分析「攻め筋の見落とし」(変化図5)

また△3三飛打は▲4四角の王手飛車で駄目なので、実戦は△4二飛打(図3)と指しました。

敗因の分析「攻め筋の見落とし」(図3)敗因の分析「攻め筋の見落とし」(図4)

図3以下、▲3二銀成△同飛▲2四飛(図4)で、ひとまず大きな駒損は避けられたのですが、▲2二飛成△同飛▲4四角の王手飛車の筋と▲2三飛成の筋の両方を受けることが困難です。以下、さらにボロボロになり、あげくの果てに秒読みの時間切れで短手数の負けという惨敗でした。

図1の局面図から、図4あたりまでの攻め筋を読めたでしょうか?


 

敗因の細分化と多面化

さて、この記事の最初の方で「攻め筋の見落とし」の状況には幅があると書きました。「序盤」「中盤」「終盤」という分類からすると、図1は序盤から中盤の入り口あたりです。本譜のような強烈な攻め筋をくらわなければ、もう少し序盤の駒組みが続いていた可能性もあります。

さらに図1は「序中盤の」「飛車切りの」攻め筋の見落とし、と細分化して特徴付けることができます。攻める側が駒損になるので、攻め筋を見落としやすい要素の一つです。特に序盤から中盤で飛車切りが成立するケースは、終盤に比べると少ないので、不注意になりやすいと思います。意識的に盲点を消していくことが大事です。

 

もう一つ、実は私が「四間飛車vs三間飛車」という戦型をあまり指したことがない、というのも見落としの一つの原因となっていました。

図1からの攻め筋は、先手が三間飛車でも向かい飛車でも可能です。ただし、普段指し慣れている戦型だと、「意識しないでも自然に危険な変化を避けている」ことが多々あります。定跡手順として覚えているとか、手数や手順の関係で構造的に危険な変化が実現しにくい、などです。

ともあれ、当たり前と言えば当たり前ですが、指し慣れていない戦型では普段以上に慎重になることが求められます。

 

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ゴキゲン中飛車で初遭遇の▲5八金右超急戦に潰される https://shogijugem.com/jugem-jissen-58kimmigi-chokyusen-vs-gokigen-nakabisha-1151 Sun, 08 May 2016 16:41:41 +0000 https://shogijugem.com/?p=1151 このページの目次 ・ゴキゲン中飛車 ・▲5八金右超急戦 vs ゴキゲン中飛車 ・将棋の敗因の分析 ・敗因その1:定跡の知識不足 ・敗因その2:自玉が寄り筋になる手順の見落とし   ゴキゲン中飛車 最近、ゴキゲン...

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このページの目次

ゴキゲン中飛車

▲5八金右超急戦 vs ゴキゲン中飛車

将棋の敗因の分析

敗因その1:定跡の知識不足

敗因その2:自玉が寄り筋になる手順の見落とし

 

ゴキゲン中飛車

最近、ゴキゲン中飛車を指しています。

 

ゴキゲン中飛車はプロ棋士の近藤正和さんが創始者の戦法です。近藤さんが四段になってプロデビューした1996年から既に20年近くが経とうとしています。すなわち、戦法としてはもう20年ぐらい指されていますが、現在でも主流戦法の一つとして数えられています。ゴキゲン中飛車が流行して升田幸三賞を受賞したのが2001年なので、プロ将棋界で集中的に研究されるようになってからでも15年ぐらいの年月が流れています。それだけ奥が深く、有力な戦法ということです。

 

私個人としては、ゴキゲン中飛車が流行していた時期は、ちょうど将棋に触れていなかった時期と重なります。流行期から指していた人と比べると知識も経験もかなりの差があります。実際勝率もあまり良くないですし、正直言ってトップクラスに苦手な戦法です。

居飛車側で指していて、ゴキゲン中飛車があまりにもやっかいなので、ゴキゲン対策を練ろうと思いました。しかし、対戦相手がみんなゴキゲン中飛車を指してくれるわけではないので、どうしても全対局数に占めるゴキゲン中飛車の割合が少なくなります。というわけで、自分から戦型誘導できる振り飛車側でも指してみようと思ったわけです。両方の側から指してみるのが、戦法の経験値を早めに上げるコツです。

 

ゴキゲン中飛車対策としては、超速▲3七銀、丸山ワクチンが有名で、実戦でも指されることが多かったのですが、ついに恐れていたあの戦法に初めて遭遇しました。

 

それは、▲5八金右超急戦です。

そして、一瞬で潰されました(泣)

 

▲5八金右超急戦 vs ゴキゲン中飛車

図1が超急戦の▲5八金右超急戦の基本図です。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦1

図1から超急戦を避けて△6二玉とする将棋もプロの実戦で指されていますが、超急戦を受けて立つとすると図1から△5五歩です。(図2)

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦2

図2から▲2四歩△同歩▲同飛△5六歩▲同歩△8八角成▲同銀△3三角▲2一飛成△8八角成(図3)が定跡手順です。非常に激しい手順ですが、タイトル戦でも何度も現れています。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦3

図3から▲5五桂△6二玉▲1一龍(図4)もほぼ必然で定跡化された手順です。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦4

図4は後手にとって色々と選択肢がある局面で、①△9九馬、②△5四銀、③△5四歩などの選択肢があります。

①△9九馬
2010年の第59期王将戦七番勝負第6局▲羽生善治vs久保利明戦では、△9九馬以下、▲3三角△4四銀▲同角成△同歩▲6六香△7二銀▲8二銀△2七角(参考図1)と進行して、後手の久保利明さんが勝っています。ただし、最近では△9九馬に▲3三香が有力とされているようです。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車(参考図1)

②△5四銀
2015年3月の第73期A級順位戦プレーオフ▲広瀬章人vs△久保利明戦では、△5四銀以下、▲7五角△2一歩▲同龍△3二銀▲1二龍△8九馬▲2三歩△9九馬▲2二歩成△7七馬▲6八金上△7六馬(参考図2)と進み後手の久保利明さんが勝っています。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車(参考図2)

③△5四歩
けっこう昔のタイトル戦になりますが、2007年の第78期棋聖戦五番勝負第4局▲渡辺明vs△佐藤康光戦では、△5四歩以下、▲6三桂成△同玉▲6六香△7二玉▲7五角△5一飛▲2三歩△6二銀打(参考図3)と進み、後手の佐藤康光さんが勝っています。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車(参考図3)

 

というわけで、どれも有力そうなのですが、どうやら最近指されているらしい②△5四銀(図5)採用しました。その結果が、37手の短手数でのじゅげむ投了です(泣)(もちろん△5四銀が悪いわけではないです。)

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦5

△5四銀以下、▲6六香△9九馬▲1三龍△4二銀▲4四角(図6)と進みます。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦6

▲4四角??

対局後の感想戦で、定跡の一手だと教えてもらったのですが、初見で30秒将棋でこんな手を指されると焦ります。

 

図6以下の有力な順として、

①△4四同歩と角を取ってしまう。飛車は取られるが、先に角得しているので駒損ではない。
図6以下、△同歩▲6三桂成△5一玉▲5二成桂△同金左(変化図1)

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦(変化図1)

②△7二玉から9九の馬を抜かせてしまう。その代わりに、桂香の持ち駒が手に入るし、先手の角が一瞬遊ぶ。
図6以下、△7二玉▲6三桂成△同銀▲同香成△同玉▲9九角(変化図2)

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦(変化図2)

があると教えてもらいました。

 

ところが実戦の手順は、

③4四の角は取らない。9九の馬は抜かせない。しかし、飛車も玉も取られる(泣)
△7二玉▲6三桂成△8二玉▲5二成桂△同金右▲7一角成△同玉▲6一飛△7二玉▲4一飛成(投了図)まで37手で先手勝ちとなりました。

▲5八金右超急戦vsゴキゲン中飛車のじゅげむの実戦7

 

こちらの記事は次戦の自戦記です。

ゴキゲン中飛車で▲5八金右超急戦を返り討ちにする
ゴキゲン中飛車vs▲5八金右超急戦の自戦記です。 将棋倶楽部24でのレーティング約2000同士の対局で、 後手のゴキゲン中飛車側がじゅげ...

 

将棋の敗因の分析

せっかく、清々しいまでの負けっぷりを披露したので、敗因の項目として加えておきましょう。

 

敗因その1:定跡の知識不足

本局の敗因を一言で言えば定跡の知識不足」です。

 

「▲4四角みたいな手を指されても、その場で考えて適切に対応すればいい」という考え方もありますが、それには「読み」や「大局観」などの将棋の地力が必要です。

例えば、変化図1のように飛車を取られても駒損ではなく、さらに▲6一香成と金を取られてもまだ駒損ではなく、以下△同玉▲6四飛のように5四の銀を狙われても大丈夫。とすぐに判断できるなら・・・。

あるいは、変化図2で9九の馬を素抜かれて角香交換の駒損でも、以下△5七歩のように手番を握って攻めれば難しい。とすぐに判断できればいいのですが・・・。

 

もちろん、定跡の知識なしで上手く切り抜けることができる可能性もありますが、「棋力に応じてどのくらい切り抜けられる確率がありそうか」というハードルを越えることになります。

ここで重要なのは、対戦相手と定跡の知識に差がある場合に、自分だけが大きなリスクを持っている可能性があることです。互いにリスクを持っているなら五分ですし、むしろ勝負としては面白いでしょう。しかし、自分だけが綱渡りというのは嫌なものです。特に本局のように、有名な急戦定跡の知識は頭に入れておいた方が無難です。

 

敗因その2:自玉が寄り筋になる手順の見落とし

将棋の勝率を上げるために「決め手を与えない」という考え方は大事です。

本局のように、一気に自玉が寄せられて将棋が終わってしまう手順は、何としてでも回避する必要があります。たとえ、その他の変化で形勢が思わしくなかったとしても、最悪の変化に飛び込む理由にはならないです。その意味で、「自玉が寄り筋になる手順の見落とし」は致命的です。

将棋は逆転のゲームなので、決め手を与えずに粘っているうちに、相手がミスをして逆転するというケースは非常に多いです。形勢が悪くなっても上手く粘って、虎視眈々と逆転のチャンスを狙いましょう。

 

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将棋の敗因の分析「最終盤で詰めの失敗」 https://shogijugem.com/haiin-saishuban-tsume-no-shippai-1042 Sun, 01 May 2016 14:36:05 +0000 https://shogijugem.com/?p=1042 将棋の敗因分析シリーズで、今回の敗因は「最終盤で詰めの失敗」です。 このページの目次 ・詰めの失敗の2つのパターン ・不利の度合いと対策 ・詰みを読み切れない場合 ・不詰に気付いたら・・・ ・詰めの失敗の実戦例 &nbs...

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将棋の敗因分析シリーズで、今回の敗因は「最終盤で詰めの失敗」です。

このページの目次

詰めの失敗の2つのパターン

不利の度合いと対策

詰みを読み切れない場合

不詰に気付いたら・・・

詰めの失敗の実戦例


 

詰めの失敗の2つのパターン

「詰めの失敗」は敗因としては非常にわかりやすいですが、次の2つのパターンがあります。

 

① 詰めろかどうかの判断が間違っていて、詰ましに行ったら詰まずに負け。
② 本当は詰んでいた局面で、正確に詰まし切ることができなかった。

 

どちらも「詰ましに行って詰まなかった」ことは共通していますが、①の場合はそもそも最初から詰まない局面で、②の場合は本当は詰んでいた局面、という違いがあります。


 

不利の度合いと対策

詰ましに行くときは、(場合によっては大量に)駒を渡すことがあるので、詰まなかったときの反動は大きいです。最終盤の切羽詰まった局面では、詰めの失敗は即負けに繋がります。

「詰めの失敗」は、敗因としてシンプルでわかりやすく、さらに将棋の勝ち負けに直結することが大きな特徴です。従って、勝率を上げるためには、「詰み」の部分を鍛えるのが一番手っ取り早いと言えます。「詰み」を鍛えるための王道は「詰将棋」を解くことです。「詰む局面かどうかを判断する力」と「詰んでいる局面を正確に詰ます力」の両方を鍛え上げることができます。

 

タイトル獲得13期(2016年5月現在)で永世棋聖の称号を持つトップ棋士である佐藤康光さんは著書で次のように述べています。

詰将棋とは、正確な「読み」のトレーニングであると同時に、「読み切れなくても判断できる」状態を保つためのメンテナンスでもある。一見矛盾するようだが、「読むこと」の積み重ねが「読まないこと」を可能にしているのだ。(『長考力』、佐藤康光著、p. 70)


 

詰みを読み切れない場合

しかし、実戦では持ち時間の制約もあるので、詰みを読み切れない場合も多いと思います。そのような場合に、詰ましに行く以外の選択肢として、

①(曖昧なままで詰ましに行かないで、)確実な詰めろ(必至)をかける。
②(曖昧なままで詰ましに行かないで、)受ける。
③(曖昧なままで詰ましに行かないで、)攻防手を探す。

が考えられます。

①は攻めの代替案で、自玉に詰めろがかかっていない場合は、相手玉に確実な詰めろ(必至)をかければ一手勝ちできる計算です。

②は受けの代替案です。自玉に詰めろがかかっている場合は、相手玉に詰めろをかける余裕はありません。その場合は、攻めを諦めて、一旦受ける必要があります。

もう一つの選択肢が、③の攻防手を探すことです。典型的なのは「詰めろ逃れの詰めろ」で、攻防手によって自玉と相手玉の寄せの速度を逆転させます。


 

不詰に気付いたら・・・

もし、詰ましに行って、途中で詰まないことが発覚したらどうしたらいいでしょうか?

① 反省して途中で引き返す。
② 潔く諦めて、投了図について考える。
③ 相手の受けミスを期待して、詰まないながらも難しい順を選び続ける。

正直どれもあまり考えたくありませんが、詰まないものは詰まないので仕方がないです。①の場合、上手く途中で引き返せればいいのですが、手遅れの場合はひどい局面になります。ひどい局面を晒すぐらいなら、②の方がマシだという考え方もありますが、この辺りは価値観や美意識の問題でしょう。じゅげむは諦めが悪い方なので、①か③のどちらかで、わずかでも勝ち目が高そうな方を選びたいところです。


 

詰めの失敗の実戦例

具体例があった方がわかりやすいので、じゅげむの実戦から「詰めの失敗」の例を見てみます。

敗因の分析:詰めの失敗の実戦図

図1は▲8三桂成と成られた局面です(便宜上、先後逆の図面にしています。「圭」は成桂のことです。)。盤面手前側の後手玉には、▲7二銀△6二玉▲6三香△5二玉▲6一龍△4二玉▲3一龍△5二玉▲6二金までの詰めろがかかっているので、盤面奥側の先手玉に詰めろをかけている余裕はありません。そこで、先手玉を詰ましに行ったのですが、ギリギリ詰まなくて(?)負けになってしまいました。詰ましに行く前に詰みを読み切っていないと、「詰みそうで詰まない」ということがありえます。

実戦の手順は、△8七角成▲同玉△7五桂▲7八玉△8七金▲7九玉△7八歩▲同金△同金▲同玉△8七角▲8八玉△7八金▲9七玉△9六角成▲同玉△9五歩▲9七玉(図2)と続き、

詰ましに行った途中図

以下、△9六歩▲9八玉△9七歩成▲同桂△同香成▲同玉△9六歩▲9八玉(図3)の局面で、詰ますのを諦めて私の負けになりました。しかし、ここからさらに、△8七桂成▲同玉△7七金と迫る筋もあったので、本当に詰まなかったかどうかは不明です。

詰ますのを諦めた局面

ちなみに、図2の局面で、△9六歩の代わりに△8五桂から迫る筋もあり、以下▲9八玉△8七桂成▲同玉△7七桂成(変化図1)の方が良かった可能性もあります。

詰ましに行く別の変化

結局、図1の局面で先手玉に本当に詰みがなかったかどうかは不明ですが、いずれにしても、詰ましに行って詰まなかった場合は負けに直結します。

すなわち、図3の局面では、先手に駒を大量に渡しているので、後手は「受ける」という選択肢を既に失っています。図1の局面なら、「受ける」という選択肢や、「攻防手を探す」という選択肢が残っていたかもしれません。

例えば、図1で△4一歩(変化図2)という受けがあり、▲同龍なら△8七角成▲同玉△4一龍の素抜きの筋があります。攻防手としてパッと見えるのは△5四角打(変化図3)の「詰めろ逃れの詰めろ」ですが、これは▲7六歩と受けられて大変そうです。

詰ましに行かずに受ける変化詰ましに行かずに攻防手を探す変化

図1の局面で何が最善手だったかはわかりませんが、詰ましに行って詰まないと明らかに負けなので、後手としては別の手段を考えるしかなかったと思います。

 

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将棋の敗因の分析「序盤の作戦負け」 https://shogijugem.com/haiin-joban-sakusemmake-936 Sun, 24 Apr 2016 20:04:48 +0000 https://shogijugem.com/?p=936 敗因の分析シリーズ、今回のテーマは「序盤の作戦負け」です。本シリーズでは、敗因の整理と分類、パターン化などを主眼としています。   ・作戦負けとは? ・作戦負けと形勢判断の4要素 ・不利の度合い ・対策と勉強法...

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敗因の分析シリーズ、今回のテーマは「序盤の作戦負け」です。本シリーズでは、敗因の整理と分類、パターン化などを主眼としています。

 

作戦負けとは?

作戦負けと形勢判断の4要素

不利の度合い

対策と勉強法

作戦負けの実戦例

作戦負けとは?

本格的な仕掛けが始まる前に、駒組みの段階で形勢が悪くなることを「作戦負け」と言います。作戦負けが敗因に繋がることは多いです。

一局の将棋を序盤、中盤、終盤のステージで分類すると、作戦負けは「序盤」に原因があります。ただし、作戦負けが明らかになるのは、序盤から中盤への入り口あたりであることが多いです。例えば、中盤の入り口で仕掛けの瞬間に、既に形勢に差がついていることがありますが、このような場合は、序盤の駒組みに問題があったと考えることができます。

通常、作戦負けという場合は、駒の損得はほとんどありません。駒の損得があったとしても、せいぜい1歩か2歩ぐらいまでの差です。それ以上の駒の損得がある場合は、「作戦負け」というよりは、むしろ「駒損」が原因で不利になったと考えた方が適切です。「駒の損得はない段階で形勢に差がついている」というのが作戦負けの大きな特徴です。

作戦負けと形勢判断の4要素

形勢判断の4要素は、①駒の損得、②玉の堅さ、③駒の働き、④手番です。作戦負けの場合は、「①駒の損得」が原因ではありません。また、本格的に駒と駒がぶつかる前の序盤なので、「④手番」の価値もそれほど高くありません。(ただし、プロレベルの厳密な序盤作戦では、手番を持っているかどうかの一手の違いで「作戦勝ち」と「作戦負け」の明暗が分かれる場合も多いでしょう。)

作戦負けの場合は、「②玉の堅さ」と「③駒の働き」の2つが主な判断項目になります。「②玉の堅さ」で負け、「③駒の働き」でも負けている状況で本格的な仕掛けが始まったら、まず作戦負けと考えていいと思います。②と③のどちらか一方は勝り、もう一方は負けている場合の判断は難しいです。

作戦負けかどうかを判断するもう一つの方法は定跡形との比較です。序盤なので、定跡書の局面と似ている局面が実戦で出現することは多いです。このような場合、定跡書で互角とされている局面と比較して、「②玉の堅さ」や「③駒の働き」で劣っている場合は、大なり小なり作戦負けとなっている可能性が濃厚です。

不利の度合い

作戦負けはどのくらい不利なのでしょうか?

不利の度合いは幅広いです。作戦負けから一気に攻められて、そのまま潰されてしまう場合もあるでしょう。優劣ははっきりついていなくて、「指しにくい」という程度の場合もあるでしょう。

しかし注目すべきは、作戦負けの段階ではまだ「①駒の損得」はないということです。それに加えて、序盤ですので、本格的な戦いはまだまだこれからです。その意味で、「序盤で作戦負けをしても中盤や終盤で十分に挽回が可能」と考えた方が将棋が面白くなると思います。

対策と勉強法

作戦負けを少なくするための対策として、定跡形については定跡書で勉強するのが一番手っ取り早いです。

定跡形から外れた力戦形でも、幅広く定跡を勉強していると、未知の局面での対応力は上がります。ただし、力戦では丸暗記というわけにはいかないので、経験や読みの力などの将棋の地力が試されます。

最後に、「作戦負けをゼロにすることはできない」と開き直ってしまうのも一つの手です。この場合、作戦負けになっても仕方ないと考えて、中終盤で挽回するためのテクニックを磨きましょう。

作戦負けの実戦例

具体的な図面があった方がわかりやすいので、じゅげむの実戦から作戦負けの実例を見てみます。

三間飛車vs居飛車急戦で作戦負け気味三間飛車vs居飛車急戦の参考図(羽生の頭脳より)

図1は三間飛車vs居飛車急戦の実戦で、後手の居飛車をじゅげむが持っています。不慣れな対三間飛車急戦で序盤の勉強不足が露呈してしまいました。

普段、振り飛車側で、しかもノーマル四間飛車を指すことが多いじゅげむです。先手のノーマル三間飛車に対して、特に決まった対策はなかったのですが、「四間飛車との類推で」さらに「振り飛車側で指している時の経験を生かして」何となく行けるのではないかという甘い見通しで序盤を進めた結果、簡単に作戦負けに陥りました。

おそらく、図1の局面で既に、居飛車は作戦負け気味になっているのではないでしょうか。

その根拠の一つとして、『羽生の頭脳第3巻(文庫版の第2巻、p. 72)』によると、そもそも「先手三間飛車に対する急戦策自体が大変」というニュアンスで述べられています。参考図1は、図1と比べて▲3六歩と△4二金直の交換がない形ですが、羽生の頭脳に掲載されています(p. 71)。それによると、参考図1では既に居飛車の仕掛けが難しくなっているので、作戦負けが濃厚と考えられます。「作戦負け」(あるいは「作戦勝ち」)の判断方法の一つは定跡形との比較ですが、実戦の図1と参考図1を比較すると、図1でも作戦負けの可能性が十分に高いことが予想されます。

三間飛車vs居飛車急戦で仕掛けを断念

図1から数手進んだ図2では、後手は△5五歩や△6五歩からの仕掛けを断念して△6三銀と陣形を整備しています。先手に▲3七桂型の高美濃まで作られてしまっていては、急戦を狙っていた後手としては不満です。さらに、図2から持久戦調になった場合の陣形の発展性も先手の方が優っています。

しかし、作戦負け気味とはいえ、駒の損得はないですし、まだまだ挽回のチャンスはあります。やる気をなくすには早すぎる局面です。実際に、本局では中盤で盛り返して、終盤の入り口あたりではかなり難しくなったと思います。

三間飛車vs居飛車急戦で終盤の入り口

図3は終盤の入り口あたりですが、形勢は簡単ではないと思います。将棋は序盤、中盤、終盤とありますので、序盤で作戦負けになっても悲観しないことが大事です。むしろ、逆転の可能性を模索することを楽しみましょう。

 

「作戦負けとはどのようなものなのか」「どのように作戦負けかどうかを判断しているのか」を少しでもわかっていただけたでしょうか?

敗因を分析することは、同じ敗因で負けることの回避に繋がります。特に序盤の場合は、全く同じ局面になる可能性も少なくないので、作戦負けの原因を分析して対策を練ることは効果的だと思います。プロの世界で序盤研究が盛んに行われているのも、特にプロレベルになると、作戦負けが勝敗に直結するという認識からでしょう。

プロのようには勝敗にこだわらないにしても、序盤作戦を考えることはなかなか面白いです。また、定跡書などで序盤を勉強することも面白く、それが上手く勝ちに繋がるとますます面白くなります。将棋の楽しさを増やすために、「作戦勝ち」「作戦負け」という視点で将棋を観てみるのも面白いのではないでしょうか。

 

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将棋の敗因の分析:じゅげむの実戦での3つの敗因 https://shogijugem.com/haiin-bunseki-jugem-jissen-646 Wed, 13 Apr 2016 19:12:23 +0000 https://shogijugem.com/?p=646 敗因の分析シリーズを始めます。プロの対局の敗因を分析できるほどの棋力はないので、じゅげむの対局がメインになりそうです。 このシリーズの一つの狙いとしては、敗因のパターン化です。 将棋の研究としては、勝ち負けに直結する部分...

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敗因の分析シリーズを始めます。プロの対局の敗因を分析できるほどの棋力はないので、じゅげむの対局がメインになりそうです。

このシリーズの一つの狙いとしては、敗因のパターン化です。
将棋の研究としては、勝ち負けに直結する部分です。

このページの目次

序盤の作戦負け

最終盤で詰み筋の見落とし

盤面全体が見えていない

一局の将棋に敗因は複数ある


 

序盤の作戦負け

向かい飛車vs三間飛車の相振り飛車の実戦で、先手がじゅげむです。将棋倶楽部24のレーティング2000ぐらいの対局です。

過去の記事「じゅげむの実戦:将棋倶楽部24での初対局」で、四間飛車を指すのがやや久しぶりと書きましたが、向かい飛車vs三間飛車の戦型も久しぶりです。久しぶりに指す戦型というのは怖いものです。

本局では序盤の注意点を忘れていて、案の定やらかしてしまいました(汗)

危険な▲3八銀

向かい飛車vs三間飛車の定跡形の出だしだったのですが、一つのポイントが図1の▲3八銀です。この手をきっかけに先手が作戦負けに陥りました。美濃囲いを狙った手ですが、やや危険な意味合いがあります。代わりに▲8五歩や▲2八銀の方が無難です。

機敏な一手

次の△3六歩(図2)が機敏な一手。▲同歩と取ると△5五角の変化が気になります。

△5五角以下、▲3七銀△同角成▲同桂△3六飛(変化図1)、あるいは▲6五歩△7七角成▲同桂△5五角▲6六角△同角▲同銀△6七角(変化図2)などが考えられます。厳密な形勢はともかく嫌な変化です。

気になる変化1気になる変化2

本譜では図2で▲4八玉としたので、以下、△3七歩成▲同銀△3六歩▲4六銀△4四歩▲5六銀△4三銀▲3八金△5四銀(図3)と進みます。しかし、結果的に作戦負けになったので、▲同歩の方が良かった可能性はあります。

作戦負けの局面

△5四銀と上がられた局面では、先手の「作戦負け」がはっきりしています。

理由1:いつでも後手から△4五歩の仕掛けがある。
理由2:先手の方が玉を堅くしづらい。

後手が△4五歩からの仕掛けの権利を握っています。別の言い方をすると、後手に主導権のある展開です。先手は常に仕掛けに気を配りながら駒組みを進めなければいけません。

△3六歩の拠点は後手の明確なアドバンテージです。まず、拠点の歩自体が攻め駒として働きます。さらに、駒組みに制限をかける駒として先手陣にプレッシャーをかけています。これらの二つの効果によって、先手の方が玉を堅くしづらいです。

先手としては、本当は△3六歩を取りに行きたいのですが、そもそもその手段が難しそうです。さらに、いつでも△4五歩の仕掛けを見せられているので、大きく陣形を乱して拠点の歩を取りに行くことはできません。

△5四銀以下は、▲6五歩△5二金左▲5八金△3三角▲1六歩△1四歩▲8五歩△8二玉▲7五歩△4五歩(図4)と進みます。

仕掛けの局面

このタイミングの仕掛けがベストだったかは難しいところですが、玉の堅さに差があり、△3六歩の拠点が重くのしかかっているので先手苦戦です。作戦負けになると、中盤で本格的な戦いが始まった時点で既に苦しくなっています。


 

最終盤で詰み筋の見落とし

終盤の局面

さて、作戦負けから盛り返して、図5は▲8二銀と打った局面です。ここから△3七歩成▲5九玉△4八と▲同玉△5五馬▲同成銀△3七角▲4九玉△3八歩(図6)と進みます。

後手玉に詰みがある局面

図6では後手玉に詰みがあります。手順としては▲9一銀成△8三玉▲9二角△9四玉▲9六香△9五桂▲同香△同玉▲9六歩△9四玉▲9五歩(変化図3)までの11手詰です。この詰みが見えていなかったので、別の手を指してしまい、結局この将棋は負けになってしまいました。

詰み上がりの図

「詰み筋の見落とし」という敗因は、シンプルかつ決定的です。
もし詰ますことができていたら、そのまま勝ちになるので、最も勝敗に直結する敗因と言ってもいいでしょう。


 

盤面全体が見えていない

実は図6の局面では、後手玉を詰ます以外にも勝てそうな順があります。
▲3二歩△同飛▲3三歩(変化図4)の連打の歩で飛車先を止める順です。

飛車先を止める(変化図)

後手の狙いは△3九歩成▲同玉△5五角成の開き王手です。
その筋を消すために飛車先を止めておくのも冷静な手だったと思います。

どうしてこの手が見えなかったのでしょうか。

図5からの後手の△3七歩成以下の攻めで、意識が盤面の右下に集中してしまったことが一つの原因であると思っています。

以前の記事「将棋の格言「四隅の香を見る」と木村一基vs羽生善治の相矢倉戦」で書きましたが、「四隅の香を見る」という格言があるように、盤面全体を見ることはとても重要な技術です。

本局では二つの意味で、盤面全体が見えていませんでした。

一つは盤面の右下に意識が集中していたことです。意識と視線はリンクするので、盤面全体が見えなくならないように注意が必要です。

もう一つは受けに意識が集中していたことです。攻めに意識を向ければ、後手玉の詰み筋も発見できたかもしれません。

このような観点から、敗因のもう一つを、「盤面全体が見えていない」と考えることができます。

ちなみに実戦では図6以下、▲4八金△3九歩成▲5九玉△4八角成▲同飛△6六香(図7)が詰めろで、以下負けました。▲5九玉の代わりに▲5八玉△4八角成▲6七玉なら勝っていた可能性もあります。

先手玉は詰めろ


 

一局の将棋の敗因は複数ある

本局では序盤で「作戦負け」から始まり、一度は逆転しましたが、最終盤で「詰み筋の見落とし」で敗北しました。「盤面全体が見えていない」状況に陥らなければ、最終盤では別の勝ち筋もあったと思います。

このように一局の将棋の敗因は複数あります。
このことは一局の敗戦から多くのことを学べるということを意味しています。

それどころか、強いプロ棋士は勝った将棋でも入念に調べています。タイトル戦の感想戦などでは、勝った将棋の悪かった部分を積極的に検討するのはおなじみの光景です。その様子は「勝っても敗因を探すのか」と思えてしまうほどの徹底ぶりです。

 

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